芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田純)情報工学科・新熊亮一教授らの研究チームは、株式会社エクサウィザーズ(東京都/代表取締役社長 春田真)、株式会社ガイアックス(東京都/代表執行役社長 上田祐司)らと取り組む、データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究が国立研究開発法⼈情報通信研究機構(東京都/理事長 徳田英幸、以下「NICT(エヌアイシーティー)」)の「令和4年度高度通信・放送研究開発委託研究(採択番号22002)」において、S評価を獲得しました。これは、本研究成果がデータ連携・利活用による地域課題解決のための実証として高く評価されたことを示し、今後の展開も期待されています。
本研究成果によって、NICTによる令和4年度委託研究「Beyond 5G研究開発促進事業(一般型)」にも採択されており、今後さらに多くの研究活動に繋がっていくことが期待されます。
■ポイント
・「令和4年度高度通信・放送研究開発委託研究」において、S評価を獲得
・「Beyond 5G研究開発促進事業(一般型)」等のより大型の研究プロジェクトへも採択されている
・今後も社会への実装に向けて、より多くの研究活動に繋がることが期待されている
■研究の背景
配車サービスやカー・バイクシェアリング、自動運転タクシーといったMaaS (Mobility as a Service)に代表されるような「移動」は、さまざまな消費行動を生むため、今後の経済活性化には必要不可欠です。しかし、移動により事故や犯罪、ウイルス感染などのリスクも発生します。例えば、平成25〜29年における小学生歩行中の交通事故死傷者数は99,040人(死者数168人)というデータがあります。また、高齢運転者による死亡事故が社会問題となるなど移動のリスクは増大しています。移動は経済活性化の源ですが、移動する人々を事故、犯罪、ウイルス感染のリスクから守る基盤が将来的に求められています。
■研究の概要
本研究は、人や様々なモノの接点を検知可能とするセンサネットワーク基盤に関するものです。異常な接点を検知し、事故や犯罪を予測する、それだけでなく、ウイルス感染の経路を推定することも可能になります。このようなセンサネットワーク基盤のセンサとしては、カメラや3次元イメージセンサ(LiDAR: Light Detection and Ranging)が有効ですが、これらイメージセンサのデータ容量は膨大であり、かつ、個人が特定できてしまうなどプライバシー問題も抱えています。
そこで、独自の機械学習によるデータの目利き技術と、ブロックチェーンの融合技術により、「厳しい帯域制限下での高精度の検出」と、「イメージセンサデータのリアルタイム保護」を両立させる研究に取り組みました。機械学習によるデータの目利き技術とは、接点の検出に機械学習を用いる場合、機械学習により生成されたモデルから入力データの重要度をスコアとして抽出し、そのスコアを通信における優先制御に用いる技術です。これにより、重要なデータに、通信帯域やプライバシー保護の処理を優先的に割り当てることができます。
本研究では、実機を用いて要素技術を確立するとともに、それら要素技術を用いてネットワーク基盤を構築しています。そして、モデル地域での実験を通じ、有効性を実証するとともに、3次元イメージセンサデータと人、車両の接点のデータを取得します。実際に、実機での精度の検証も行い、100%近い精度を達成しました。これらの研究成果により、移動に伴うリスクの検知に有効なセンサデータを、安全に複数の自治体間で共有・相互活用可能な情報流通基盤が確立することができます。
■今後の展望
本研究成果によって、NICTによる令和4年度委託研究「Beyond 5G研究開発促進事業(一般型)」にも採択されており、今後さらに多くの研究活動に繋がっていくことが期待されます。
■研究者情報
芝浦工業大学システム工学部情報工学科教授 新熊 亮一
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【芝浦工業大学】「令和4年度高度通信・放送研究開発委託研究」において、終了評価でS評価を獲得しました
データ提供:大学プレスセンター