中部大学と世界最大級の量子コンピューティング企業であるQuantinuumは、人工知能の量子モデルの世界的な専門家である小澤正直教授とボブ・クック(Bob Coecke)教授が共同で主導する新たなパートナーシップを発表します。
この分野の世界的リーダーとして知られる両教授は、量子計算言語学と量子認知科学を探求する学際的なチームを設立し、量子人工知能における将来のアプリケーションの構築を目指します。
量子情報・量子基礎論分野のパイオニアの一人として知られる小澤教授は、2003年に「ハイゼンベルクの不確定性原理」を修正する新しい誤差-擾乱関係式(小澤の不等式)を導き、2012年にその実験的検証に成功しました。その後、小澤教授は認知心理学に対する量子操作論的アプローチの研究を主導しています。クック教授は20年にわたり、圏論的量子力学と量子計算言語学の研究のパイオニアとして、当初はオックスフォード大学で、現在はQuantinuumで研究を行っており、量子人工知能のリーダーとして知られています。
複数年にわたるプロジェクトとして、この共同研究は最新世代の量子コンピュータの新しい応用分野の開拓を目指して、認知システムの圏論的構成モデルの開発に焦点を当てます。
Quantinuumの創業者兼最高製品責任者であるイリアス・カーンは、次のように述べています。「小澤教授とクック教授の先駆的な研究は、量子コンピューティングがAIに真に革命的な進化を引き起こす大きな可能性を持ち、AIの進化にますます重要な役割を果たすことを明らかにするでしょう。言語学と認知科学は、古典計算機によるシミュレーションでは依然として解明困難ですが、これらに量子コンピューティングが最大限に活用される可能性があります。Quantinuumは、量子コンピュータとそれを使用するアプリケーションやアルゴリズムの開発におけるあらゆる段階において、変革をもたらす研究をサポートしています。AIとそれに関連する分野は、長い間、量子コンピュータの応用が見込まれてきた分野の一つです。Quantinuumは量子自然言語処理や量子機械学習などの認知科学に関連する分野への量子コンピューティングの応用研究で世界的リーダーとしての地位を確立しています。」
今回のパートナーシップは、量子システムと認知システムの間に類似性があるという小澤教授とクック教授による初期の発見に基づいて、人間の言語と認知の観察された特徴が量子論の数学的構造によって適切に記述される可能性を探求します。この研究により、文章の意味生成における文脈の役割や、「質問順序効果」のような認知現象など、様々な難問に対する説明が可能になることが期待されます。
小澤正直:
中部大学特任教授(AI数理データサイエンスセンター)/中部大学創発学術院運営委員/ 名古屋大学名誉教授。
2008年 日本数学会賞秋季賞、2010年文部科学大臣表彰科学技術賞 (研究部門)、2010年International Quantum Communication Award (量子通信国際賞)受賞。2015年紫綬褒章受章。
ボブ・クック(Bob Coecke):
Quantinuum チーフ・サイエンティスト/オックスフォードを拠点とするQuantinuumの量子NLP&コンポジショナル量子インテリジェンス・グループ責任者/ペリメーター理論物理学研究所特別客員研究委員長/オックスフォード大学ウルフソン・カレッジ名誉フェロー/オックスフォード大学コンピュータサイエンス学部および数学研究所客員フェロー。
Quantinuum:
Honeywell Quantum Solutions のハードウェアと Cambridge Quantum のミドルウェアおよびアプリケーションを併せ持つ世界最大級の統合型量子コンピューティング企業です。科学主導・企業駆動(science led, enterprise driven)で、量子コンピューティングと化学、サイバーセキュリティ、金融、最適化などのアプリケーションの開発を加速しています。エネルギー、物流、気候変動、健康などの分野で、世界で最も差し迫った問題を解決するためのスケーラブルで商業的な量子ソリューションを創造することに重点を置いています。米国、欧州、日本に拠点を有し、350 名以上の科学者を含む 480 名以上の従業員を擁しています。
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【中部大学】中部大学とQuantinuumの量子物理学リーダーが量子人工知能と量子認知の分野で共同研究を開始 ◆小澤正直教授とボブ・クック教授は、言語、意味、心理学のモデルへの量子論の応用を探求する研究チームを牽引します◆
データ提供:大学プレスセンター