大阪工業大学(学長:井上晋)工学部応用化学科の藤井秀司教授とタイ・チュラロンコン大学(学長:Bundhit Eua-arporn)理学部化学科のApichat Imyim准教授の共同研究グループが、天然由来の高分子粒子を使用して、食品の腐敗検出センサーとして機能する液滴(リキッドマーブル)の開発に成功しました。
【本件のポイント】
●カニ・エビに含まれる高分子とココナツに含まれる成分から水を弾く天然由来粒子を合成
●天然由来粒子で表面を覆ったリキッドマーブルが、食品腐敗検出センサーとして機能
●開発した食品腐敗検出センサーは簡便に作製可能で、食品に触れても安全
賞味期限を過ぎた食品を廃棄することによるフードロスの問題が大きな話題になっています。肉や魚などが本当に腐っているのかどうかを知ることができれば、フードロスの削減につながると考えられます。食品が腐敗すると、アンモニアなどのアミン化合物が腐敗ガスとして発生するため、これらを検出する食品腐敗検出センサーが開発されています。ただ、従来のセンサーには、高価な装置が必要になることや、微細空間における検出が困難である等の問題がありました。
本研究では、カニ・エビに含まれる高分子(キトサン)とココナツに含まれる成分(ステアリン酸)を複合化して合成した天然由来粒子が表面を覆ったリキッドマーブル(直径約2ミリ)を、食品腐敗検出微小センサーとして利用することに成功しました。内側の水滴には、腐敗ガスと触れると色が変わる試薬を溶解させています。簡便に作製が可能で、転がしたり滑らせたりして狭い空間に導入することも可能です。目視にて容易に色変化で食品の腐敗検出が可能であるなどの利点を有しています。
この成果は日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)の支援を受けて得られたもので、米国化学会の学術雑誌ACS Sustainable Chemistry & Engineeringに論文が掲載(2024年2月27日付)されています。また、Supplementary Cover Artに選ばれています。
URL: https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acssuschemeng.3c07724
(DOI: 10.1021/acssuschemeng.3c07724)
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肉や魚の腐敗を色で知らせる液滴開発 カニ、エビ、ココナツ由来の天然成分を使用--大阪工業大学
データ提供:大学プレスセンター