データサイエンス百景

未来の解像度を上げるデータサイエンス系大学進学情報サイト

【秋田大学】2025年より「情報データ科学部」を開設し、デジタル社会への変革をめざす! 【秋田大学】2025年より「情報データ科学部」を開設し、デジタル社会への変革をめざす!

【秋田大学】2025年より「情報データ科学部」を開設し、デジタル社会への変革をめざす!

秋田大学情報データ科学部

長縄 明大 教授
長縄 明大 教授
NAGANAWA Akihiro
秋田大学
新学部設置担当 副学長

秋田大学は、2025年4月に「情報データ科学部」を開設。文系・理系を問わず幅広い学生を受け入れ、新たな価値を生み出す“デジタル人材”を育成する。情報学・データサイエンスを体系的に学べることに加え、超高齢社会で生じるさまざまな課題を、データから見出した新たな知見により解決できる力を養う。

情報学・データサイエンスの応用分野に特色がある学部

秋田大学は、2025年4月より「情報データ科学部」を新設する。東北地方の国立大学に設置される情報学・データサイエンス系の独立した学部であり、高校での文理の学びを問わず多様な人材を集め、デジタル社会構築に向けて、データから見出した新たな知見を実装することができる人材の育成をめざしている。研究対象とする応用分野は幅広く、人間情報や防災・エネルギー情報等の情報分野のみならず、情報を活用して人間社会の支援を行う知能ロボティクスも内包しており、地域を、新たなデジタル社会へ導くための教育プログラムを展開する。入学時から、情報学やデータサイエンスを体系的に学び、身に付けた知識やスキルを実践的に活用できる力を磨くため、地域の企業や官公庁等とも積極的に連携する予定だ。設置の背景について、長縄副学長は次のように語る。

秋田大学手形キャンパス

「秋田県を含む東北地方では、少子高齢化や若者の人口流出が進み、さまざまな課題が生じています。このような課題を解決するキーワードが“デジタル”ですが、都市部と比較すると、地方ではデジタル技術を扱う情報関連産業が停滞しており、さらに、デジタル技術を活用できる人材が不足しています。一方、秋田県における唯一の国立大学として、これまで魅力ある大学づくりを進めてきましたが、大学で学ぶ全ての学生のみならず、地域社会においてもデジタル技術の重要性を醸成する必要があり、情報データ科学部の設置が必要であると考えました。本学部の設置により、デジタル技術を扱うことができる人材を育成できることに加え、地域の企業等と連携した取り組みは、関連産業の発展にもつながります。この2つが、情報データ科学部の新設に至った大きな背景です」

学部の特色は以下の通り。

秋田大学情報データ科学部 3つの特色

1 情報学・データサイエンスを体系的に学べる教育課程

1年次には、高校の「情報Ⅰ」で学んだプログラミング、ネットワークといったコンピュータサイエンス等を基礎とし、デジタル社会の概要について学びながら、情報学やデータサイエンスを専門として身に付けられるよう体系的に学修する。2年次以降でも、1年次の内容を深める専門的な授業を展開。ソフトからハード、理論まで、情報技術やデータ解析に関する知識や技能を入学時から学ぶことができるカリキュラムを提供する。

2 アントレプレナーシップの養成に注力

情報学やデータサイエンスを学び、社会で活用できるようにするためには、実践力を磨く必要がある。そうした思いから、情報データ科学部では、企業等と連携しアントレプレナーシップの養成に注力する。ここでのアントレプレナーシップとは、急激な社会環境の変化を受容し、新たな価値を生み出す精神のこと。単に専門知識を習得するだけではなく、それを社会で活用できる力とするため、基礎教育で社会科学の基礎を学び、企業等との連携した課題解決型授業(PBL:Project Based Learning)が必要になる。

3 特色ある3つの応用科目を通じて将来像を明確にできる

3年次では、情報学・データサイエンスを応用する分野について学ぶ。人と人のつながりの質を高める「人間情報」や、新たな防災対策やエネルギーの安定供給等を扱う「防災・エネルギー情報」等の情報分野を設定。さらに、情報を活用して人間社会の支援を行うロボットの設計や制御プログラミング等を扱う「知能ロボティクス」も設定。3年次の前期にこれら3つの科目群から最大2つを選択して応用分野の基礎を身に付け、後期には将来の進路の選択に係る応用分野を1つに絞り、所属する研究室で卒業研究を行いながら、実践的に活用できる技能を身に付ける仕組みになっている。

情報学・データサイエンスを応用する分野について学ぶ

【特徴的な授業やプログラム】
企業等と連携して実践力を育む「デジタル社会PBL科目」

次に特徴的な授業について見ていこう。秋田大学情報データ科学部の魅力は、社会課題の解決に向けた地域密着型のプログラムを実施する点だ。その最たる例が、地域のIT企業を中心に産業界と連携した「デジタル社会PBL科目」だろう。学生は実際の企業が所有するデータを活用し、新しい価値の提案に向けて学びを深めていく。それに付随し、情報技術を社会で正しく活用するための知的財産に関する授業や、データサイエンスとマーケティング等を学ぶための授業も展開するのだという。

「情報データ科学部の設置に際し、地域からの強い期待を感じています。そのため、地域の課題解決を常に意識しながら教育プログラムを検討してきました。それを特に色濃く反映したデジタル社会PBL科目では、『デジタル社会のプラクティス』や『DXプロジェクト実践』など、社会や企業と連携した授業の開講準備を進めています。こうした実践的な学びを通じて、デジタル社会の構築に貢献できる人材を輩出したいと考えています。」

【注目すべき研究】
大学院ではヘルスケア・医療分野と情報技術を融合した研究も

秋田大学情報データ科学部で学んだ学生にとって、進路の選択肢のひとつとなるのが大学院への進学だ。秋田大学の情報系大学院は、情報データ科学部の開設4年後に設置予定。一方、秋田県のような超高齢社会で暮らす人々にとっても、健康で生き生きと暮らせることは非常に重要だ。

秋田大学では、医学系研究科と理工学研究科が連携した「先進ヘルスケア工学院」という大学院を設置し、学生教育と本分野に関する最先端の研究を行っている。この大学院には、健康維持・向上、予防、診断を扱う「検査・診断支援領域」と、診断、治療、予後を扱う「運動・治療支援領域」がある。前者は、情報データ科学部の人間情報系の研究室と関連しており、高齢者の見守りシステムや認知機能を評価するデバイスの開発等を行っている。後者は、情報データ科学部の知能ロボティクス系の研究室と関連しており、高齢者等の運動機能を支援するロボットや身体機能を補綴(ほてつ)するデバイス開発等を進めている。なお、情報系大学院においても、ヘルスケア・医療分野に関する教育研究を続けていく予定であるという。

情報系大学院においても、ヘルスケア・医療分野に関する教育研究を続けていく予定

「秋田県は人口の約4割を高齢者が占めており、健康リスクも非常に高い地域です。そうした背景を踏まえて2021年に開設したのが『先進ヘルスケア工学院』です。この大学院では、情報データ科学部の人間情報系や知能ロボティクス系の教員が、最先端の情報技術を活用したヘルスケア・医療分野の研究などを進めています。これから日本全体も超高齢社会になっていくと思いますが、それに先駆けた大学院組織での取り組みであり、情報データ科学部に入学する学生さんにもぜひ一緒に立ち向かってもらいたいと思っています」

【入試制度】
文系・理系のそれぞれに応じた柔軟な入試制度

秋田大学情報データ科学部の入試として、一般選抜(前期・後期)、特別入試(総合型選抜Ⅰ・総合型選抜Ⅱ)がある。多くの国立大学と同様に、一般選抜の前期日程では大学入学共通テストと大学独自の個別学力検査を課す。この入試では、文系・理系双方とも大学入学共通テストより個別学力検査の配点比率を高くした「a方式」と、個別学力検査の比率をa方式よりさらに高くした理系のみの「b方式」を設定している。各試験の日程や受験科目などについては、Webサイトなどをしっかり確認しておこう。
詳細はこちら
秋田大学 情報データ科学部(仮称)の設置に係る入学定員及び入学試験科目について

「データサイエンス系の学部をめざす文系の受験生の方も多くいるかと思いますので、それに対応できるよう柔軟な入試制度を設計しました。大学入学共通テストの科目や個別学力検査の出題範囲も文系・理系に応じて変更しています。また、高校で理系クラスに所属していた受験生が、文系寄りの試験方式を選択することも可能です。『理系だけど理科より社会が得意だ』、『数学のみが得意だけど国立の情報系学部に進みたい』というように、自分の個性や得意科目を活かして受験できる入試になっていると思います。また、前期日程では、全体として個別学力検査の配点比率が高いところも本情報データ科学部の特徴です。大学入学共通テストがうまくいかなかった受験生の方にも、逆転のチャンスが残されているといえるでしょう」

【想定される資格】
所定の履修により情報の高校教員科目を取得可能

情報データ科学部では、所定の科目を履修することで高等学校教諭第一種免許状を取得することができる。
※申請中。ただし、文部科学省における審査の結果、予定している教職課程の開設時期等が変更となる可能性があります。

また、ITに関する基本的な知識を証明できる国家試験に挑戦することができる。

  • ITパスポート試験
  • 基本情報技術者試験  など

【想定される進路】
デジタル人材として新たな社会の構築に貢献しよう!

情報データ科学部を卒業した後の進路として、さらに専門性を磨くための大学院進学や、多様な分野におけるデジタル人材としての活躍が想定される。情報サービスや情報通信機器を扱うITエンジニアはもちろんのこと、官公庁などでDX部門に関わるデータサイエンティストとして、防災・エネルギー、観光等の領域で地域に貢献する未来も選択できるだろう。また、ロボティクス系の知見を活かして医療福祉機器や輸送機器、他の製造業等のシステムエンジニアとして活躍する道もある。

デジタル人材として新たな社会の構築に貢献しよう
阿部モノ / PIXTA(ピクスタ)

「情報技術やデータサイエンスをさまざまな場面で応用していくためには、技術的な知識のみならず、産業振興や地域振興等に関する社会科学の基礎的な知見も必要になります。そのため、文系の受験生の方にも積極的に入学してもらい、多様な人材が集まる刺激的な環境のなかで切磋琢磨していただくことが理想だと考えています。これからの時代、世の中のあらゆるところで情報技術やデータサイエンスが求められていくでしょう。これらを活用し新たな価値を見出すことによって、人々の生活はより豊かで便利なものになっていくはずです。ぜひ本学で基礎から学び、新しいデジタル社会の構築に貢献してもらいたいと思います」
詳細はこちら
秋田大学 情報データ科学部Webパンフレット

Text by 上垣内舜介(minimal)

UNIVERSITY INFO

秋田大学情報データ科学部
AKITA UNIVERSITY Faculty of Informatics and Data Science
情報学・データサイエンスの応用分野に特色がある学部
秋田大学情報データ科学部
情報学・データサイエンスの応用分野に特色がある学部

情報技術やデータサイエンスを活用し、デジタル社会を構築する

情報技術やデータサイエンスを活用して諸課題の解決を図り、新たな価値を創造することができるデジタル人材を養成するため、2025年4月に新設。人間情報や防災・エネルギー情報に加え、知能ロボティクスを内包する特色ある学部。地域や日本のデジタル化を推進し、情報関連産業をけん引できる人材の輩出を目指す。

カテゴリ

国立大学

学部・学科

【データサイエンスを学べる学部】
■情報データ科学部/情報データ科学科
【その他の学部】
■国際資源学部 ■教育文化学部 ■医学部 ■総合環境理工学部

所在地・アクセス

手形キャンパス(情報データ科学部)
〒010-8502 秋田市手形学園町 1番1号
JR「秋田」駅よりバスで約5分「秋田大学前」下車すぐ

問い合わせ先

秋田大学 総務企画課 新学部設置準備室
TEL:018-889-2268
詳しくはこちら

この記事に紐づくタグ

TOP