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遺伝子工学

遺伝子工学とは?

生物学や生命科学の分野で、生物の遺伝子を研究し、改変する技術・方法のことを遺伝子工学という。遺伝子は、生物の発生、成長、代謝、行動、繁殖などの機能に重要な役割を果たしており、遺伝子の情報を改変することで、生物の性質や機能を変えることができる。

具体的には、DNAやRNAなどの遺伝子分子を操作し、新しい遺伝子の創出や既存の遺伝子を編集・修正することで、がん細胞の増殖を抑えたり、遺伝性疾患の治療法を開発したりすることができる。

1970年代に、特定の機能を持つ他の生物の遺伝子を組み込む「遺伝子組換え」の技術が開発され、遺伝子工学が盛んになった。2000年代に入ると、他の生物の遺伝子を組み込むのではなく、生物自身が持つ特定の遺伝子を狙って編集する「ゲノム編集」の技術が研究者の間で注目されるようになる。2012年には、ゲノム編集のなかでも「CRISPR-Cas9」と呼ばれる酵素を使った画期的な手法が開発され、その手法の開発者が2020年にノーベル化学賞を受賞したことで、ゲノム編集技術は社会的にも大きな注目を集めている。

遺伝子工学で何ができる?

ゲノム編集の登場により、遺伝子を改変する技術はさまざまな応用が期待されている。そのひとつが、遺伝子の異常によって発生する遺伝性疾患に対する治療だ。ゲノム編集によって疾患の原因とされる遺伝子を導入したマウスを作製し、病因の解明、創薬の加速も期待される。

また、農作物や食肉、水産物の品種改良も、ゲノム編集によって加速し多様化していくだろう。病気や害虫に強い品種や、栄養成分を高めた品種などの研究開発が進められている。さらには、植物の光合成機能を遺伝子改変によって高め、光合成による二酸化炭素吸収量を増やすことで、温室効果ガスの削減につなげる技術なども注目されている。

遺伝子工学を学ぶ

遺伝子工学はどの学部・学科で学べるの?

遺伝子工学の応用分野は、農業・医療・創薬・化粧品など幅広い。そのため、遺伝子工学を学べる学部・学科は、生命科学、生物工学、化学、物理学、農学、獣医学、医学系など多岐にわたる。医学部や薬学部から大学院に進学し、遺伝子工学を専門的に研究する道もあるだろう。

近年では、情報工学やデータサイエンス系の学部・学科でも遺伝子工学に関連する分野を学べるようになっている。遺伝子工学のなかでもどのようなテーマに興味・関心があるかを詳しく調べ、師事したい研究者や研究室レベルで進学先を選ぶのが理想といえる。

遺伝子工学についてもっと知りたい方は

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