【神奈川大学】情報学のトップ研究者が横浜キャンパスに集結!
神奈川大学情報学部
学部長
2023年4月に神奈川大学の横浜キャンパスに新設された「情報学部」。2学科1プログラムで、学生の目的や将来像に合わせたカリキュラムを提供している。学びの起点になるのは、「コンピュータ」「システム」「データ」。母体となる旧学部学科に新たな教員も加わり、バージョンアップした神奈川大学発の「情報学」について、学部長の秋吉政徳教授に話を伺った。
2023年4月、進化した「情報学部」が始動
2023年4月の改組により、東急東横線「白楽」駅徒歩圏の横浜キャンパスに、理工系5学部が集結する新体制がスタートした神奈川大学。AI・データサイエンス系の学びの拠点となるのは、新設された「情報学部」だ。計算機科学科、システム数理学科、先端情報領域プログラムの2学科1プログラムで、学生の目的に合わせた学びの機会を提供。ここで情報学の普遍的な基礎知識・技術と高い専門性を身につけたプロ人材を育成している。
「まず、コンピュータを主体に学ぶのが計算機科学科。こちらは旧理学部情報科学科が母体になっています。次に、システムを主体に学ぶのがシステム数理学科。こちらは旧工学部情報システム創成学科が母体です。最後にデータを主体に学ぶのが先端情報領域プログラムです。こちらは1・2年次にプログラム独自のカリキュラムで学び、3年次から前出2学科のいずれかに所属して学ぶことになります」
そう語るのは、秋吉政徳学部長。「集合知」「知的エージェント」「認知モデリング」など、現在のAIの基盤となる技術が専門で、主にシステム数理学科で授業や研究室を担当している。秋吉学部長の話をベースに、2学科1プログラムの学びを深掘りしていこう。
神奈川大学情報学部 3つのアプローチ
1 コンピュータ主体で学ぶ「計算機科学科」
コンピュータサイエンスを本格的に学ぶ拠点が「計算機科学科」。コンピュータのアーキテクチャ(構造)、アルゴリズム、プログラミング、ソフトウェア開発、通信の仕組みなど、コンピュータが可能にする新しい社会について主体的に学びたい人に向いている。
2 システム主体で学ぶ「システム数理学科」
コンピュータが実現するシステムを発展的に学ぶ拠点が「システム数理学科」。交通システム、物流システム、Webシステムなど、世の中はシステムで溢れている。こうしたシステムを運用して、新しい社会の仕組みを設計する能力をここで養うことができる。数理モデリング、システムデザイン、AI(人工知能)といったキーワードがこの学科の学びに当てはまる。
3 データ主体で学ぶ「先端情報領域プログラム」
ビッグデータ時代におけるデータ利活用を学ぶ拠点が「先端情報領域プログラム」。ここでは時代によって変わるさまざまなツールを駆使しながら、データを中心にすえて処理やモデルを扱う考え方である「データセントリックな方法論」を学んでいく。SNS、ゲーム、メタバースなど話題のキーワードに触れられるのがここだ。
「2学科1プログラムの学びが相互に連携している点も情報学部の特色です。『自動運転の実現』を例に説明するとこうなります。まず、自動運転を行うためのプログラミングは『計算機科学科』で学ぶコンピュータサイエンス、プログラミングの技術が基本となります。そして、自動運転を円滑に行えているかといった交通状況などのデータ分析の技術は『先端情報領域プログラム』で身につけることができます。こうして得たデータ分析の結果をもとに、自動運転を社会実装するシステムを開発するうえで、『システム数理学科』で学ぶ数理モデリングの考え方が必須となります。このように情報学部ではそれぞれの分野の学びが相互に関係し合いながら、よりよい共創社会の実現に貢献できる人材を育成しているのです」(秋吉学部長)
【特徴的な授業やプログラム】
世界標準の情報教育に準じたカリキュラム
計算機科学科では、アメリカのコンピュータ関連学会が手がけた国際的に広く認められたカリキュラム「CS2013(※)」に準じて授業がデザインされている。これにより情報学の基礎となる「計算機科学」がしっかりと身につくカリキュラムになっている。
※CS2013(Computer Science Curricula 2013) :アメリカのコンピュータ関連学会 ACM (Association for Computing Machinery) と IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers) によって提示された情報科学技術5分野(計算機科学、計算機工学、情報システム、情報技術、ソフトウェア工学)の専門教育課程のガイドラインのひとつで、国際的に広く認められている。
「2学科1プログラム共通で少人数制の演習や実習科目が充実している点も特長です。AI、システム開発、暗号、情報セキュリティ、ネットワーク科学などユニークな研究室が集まっています。また、演習科目ではAmazonやYahoo!など最先端のIT企業のエンジニアを招いて、クラウドサービスなどを体験する実践的な講義・演習なども積極的に導入していく方針です」(秋吉学部長)
【注目すべき入試制度】
特技を評価する「公募制推薦入試」も
一般選抜は、3科目型(A方式)、得意科目型(B方式)、共通テスト併用型(C方式)があり、いずれも数学の選択は必須になる。範囲は数学Ⅲまで含まれる(得意科目型(B方式)は除く)。入学後、プログラミングやデータ分析を学ぶうえで、解析学、線形代数、離散数学、統計学などの知識は不可欠で、入試でもその素養が問われる。
「情報学部では公募制推薦入試も実施しています。数学検定やゲームコンテントで成果を出した経験がある人は、こちらを目指すのもいいと思います。詳しくは、大学公式サイトの入試情報をご覧ください」(秋吉学部長)
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神奈川大学 入試情報
給費生試験(2024年度)|出願期間:11月22日(水)~11月30日(木)
【想定される進路】
母体となる学科の卒業生は大手IT企業などで活躍中
情報学部の卒業生は、プログラマー、システムエンジニア、ソフトウェア開発者、データサイエンティストなどの職業で活躍していくことが想定される。最近では、AIやビッグデータを扱うコンサルタントやゲームクリエイターなどを目指す道もあるという。
「母体となる旧・理学部情報科学科、工学部情報システム創成学科の卒業生の多くは、大手IT企業、システム開発企業、電機メーカーなどへの就職を決めています。現在は、DX(デジタルトランスフォーメーション)へのニーズの高まりから、あらゆる企業でIT人材が求められています。ここで情報学の基礎をしっかり身につければ、自分が興味のある業界・職種への就職が可能だといえます」(秋吉学部長)
最後に秋吉学部長から神奈川大学情報学部を目指す高校生にメッセージをいただいた。
「全体として、非常にモチベーションの高い情報学分野のトップ研究者がひとつのビジョンを掲げて集まっているのが、神奈川大学情報学部の大きな強みです。ここでの学びを通じて、『世の中を変える独自のシステムやプログラムをつくってみたい』と思えるようなモチベーションの高い学生を数多く輩出したいと思っています。移り変わりの激しい現代においては、確固たる知識が大切になります。情報学の基礎・基盤に関わる分野を深く学ぶことで新しい時代のニーズに柔軟に応えていくことができ、情報のあらゆる分野に精通する専門家を養成していきたいと考えています」
Text by 丸茂健一(minimal)