

【北里大学】データには未来を救う力がある
北里大学未来工学部データサイエンス学科
2023年4月に誕生した新学部。目指すのは、ビッグデータを駆使した先端的アプローチによって、まだ顕在化していない「未来の課題」を見極め、先回りして解決するデータサイエンティストを育成すること。ライフサイエンティストの総合大学である北里大学だからこそ集結する最前線の生命科学データをもとに、自然や生命の真理に迫る実践的な学びを展開している。
未来を救うドリームツールで、人類を次のステージへ
世の中にあふれるデータを、数学や統計学、プログラミングを駆使して解析し、新しい価値を生み出す学問がデータサイエンス。現在、大きな注目を集めているAI分野など、いたるところでその活用が始まっており、新薬開発、スポーツ戦略、マーケティングから、地球環境にやさしい素材開発、衛星データによる宇宙開発まで、あらゆることを次々と進化させていく道具といえる。データサイエンスは、いわば未来の問題解決に役立つドリームツールなのだ。
ライフサイエンスの総合大学である北里大学は、2023年4月に未来工学部データサイエンス学科を新設。環境問題、生物の多様性の問題、食料問題、医療問題、感染症のリスクなど、複雑で広範囲な社会課題を解決するため、膨大なデータから新たな価値を創出し、社会に実装することで「未来の課題」に挑む。

北里大学の学祖・北里柴三郎は「医学と工学の融合こそが未来の医学研究を切り拓く」として、その必要性を自身の門下生に説いてきた。未来工学部データサイエンス学科の誕生は、学祖の願いを実現することに繋がるともいえ、生命・医療系7学部15学科(大学院6研究科1学府)との大きな「知」のネットワークにより、課題解決へと導いていく。
未来工学部が目指すのは、「UPDATE HUMAN」。データサイエンスを学ぶことで、自分自身をアップデートし、暮らしを、社会をアップデートさせる人材を育成していく。
北里大学未来工学部データサイエンス学科 3つの特色
1 ゼロから始めるプログラミング
データサイエンティストにとって欠かすことのできない知識・技術のひとつであるプログラミングを基礎から身につけられるカリキュラムを用意。自ら積極的に手を動かし、人工知能や機械学習に関するツールを自ら作り、使えるようにする実習授業も豊富!
2 北里大学だからこそ扱えるビッグデータ
医学部や薬学部などの既存7学部はもちろん、大学病院や感染制御の世界的研究所である大村智記念研究所とも連携し、最前線の生命系データを研究対象にできる。自由な発想で、さまざまな切り口のデータを集められるため、教育・研究の可能性も大きく広がっていく。
3 医療現場を肌で感じる大学病院見学

医療データの取扱いにおける倫理観や基礎知識を身につけるため、医療データの処理現場を実際に見学する機会を用意。臨床医学を含む、医療分野で活躍するデータサイエンティストの将来像を明確にできる。
【特徴的な授業やプログラム】
3つの履修モデル「ライフサイエンス・ヘルスケア」「マテリアル+創薬」「AI×DX」
北里大学未来工学部データサイエンス学科における4年間の学びの流れは、以下の図の通り。1年次は、哲学や倫理学、芸術や文学をはじめ、心理学や文化人類学、法律や経済、健康など充実した基礎科目で幅広い視野と豊かな人間性を身につけるとともに、データサイエンティストに求められる数学力の基礎も固めていく。
2年次は、専門基礎科目としてプログラミング言語を学び、実際に手を動かしながらプログラミングを習得していく。高校で学んだ統計や確率などとデータサイエンスのつながりを学びながら、数理の力も向上させる。
3年次からは、研究室に所属。例題に対して仮説を立て、データの収集・分析を行うなど一連のプロセスを体験。データサイエンティストに求められるスキルを理解する。ディープラーニング(深層学習)に関わるプログラミングや実社会のデータ、生命系データを用いた演習科目も実施される。
4年次になると、興味のある研究分野から課題を設定し、卒業研究などを通じて、これまでに学んだ知識の統合と実践的なデータ解析を行う。

北里大学未来工学部データサイエンス学科の学びには、「ライフサイエンス・ヘルスケア」「マテリアル+創薬」「AI×DX」という3つの履修モデルが用意されている。卒業後の進路にあわせて、いずれかの分野の科目を重点的に学べる仕組みになっており、各領域におけるデータサイエンスの力で複雑な「未来の課題」を解決できるプロフェッショナルを育成する。

科目履修例として、「ライフサイエンス・ヘルスケア」領域では「バイオインフォマティクス」、「メディカルインフォマティクス」、「神経系の情報処理」など、「マテリアル+創薬」領域では「統計の物理学」「ケモインフォマティクス」「物質科学」など、「AI×DX」領域では「データモデリング演習」「アルゴリズム」「IoT電子工作実習」などが挙げられる。
【注目すべきプロジェクトや施設】
生命科学の「知」の連携を加速させる未来工学部
ライフサイエンスの総合大学である北里大学の強みは、生命科学系7学部や3病院、さらに感染制御の世界的研究所である大村智記念研究所などとの連携により現場でしか扱えないデータが集結していることだろう。
キャンパス内には病院施設や臨床教育研究棟(IPE棟)があり、臨床現場と教育が一体化した理想的な環境が整っている。現場の最前線から生まれるデータをもとに、未来の答えを導き出す最先端のデータサイエンスに取り組むことができる。

さらに、すべての学部の1年生が相模原キャンパスに通うため、一般教育科目はさまざまな学部の学生と同じ教室で履修することが可能となる。多くの学びや気づきが得られる、学部の垣根を越えた交流の機会が多くあるのも魅力だ。
【注目すべき入試制度】
講義理解力を問う総合型選抜
北里大学未来工学部データサイエンス学科には、総合型選抜として、「講義理解力試験」がある。40分の数理的内容を含む自然科学に関する講義を受講した後、60分の試験時間で、その内容に基づく課題を600字程度の論述形式で解答する。 講義を理解し、自分の知識と結びつける力、自分の考えをまとめる能力が求められる。
総合型選抜
一方、一般選抜試験は「数学」「外国語」の2教科。「数学」は「数学II・B」までが出題範囲となる。大学入学共通テスト利用選抜試験もあり、こちらは「数学」「理科」「外国語」の3教科。理科は「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」から2科目選択、または「物理」、「化学」、「生物」から1科目選択となる。「国語」が科されないこと、教科が少ないことなどから、得意分野次第では、有利な選抜方法になる人もいるはずだ。
【総合型選抜】
出願受付:2023年9月1日(金)
~9月29日(金)
(当日消印有効)
試験日 :2023年10月22日(日)
詳細はこちら
北里大学未来工学部 入試情報
【想定される進路】
情報通信業を中心に製造業やサービス業も
医療、製薬、化粧品、食品など生命科学に関連する業界をはじめ、IT、金融など、データ/情報を扱う、あらゆる業界が進路となる。
データサイエンティストの仕事は、現場に存在する「何か」に気づき、隠れている課題を解決に導いていくこと。これからの社会で、活躍の場はますます広がっていくと期待されている。
Text by 丸茂健一(minimal)