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高校で新たに必履修科目になった「情報Ⅰ」の教科書2冊を比較レビュー! 高校で新たに必履修科目になった「情報Ⅰ」の教科書2冊を比較レビュー!

高校で新たに必履修科目になった「情報Ⅰ」の教科書2冊を比較レビュー!

データサイエンス百景編集部
データサイエンス百景編集部

高等学校では2022年4月より「情報I」が共通必履修科目となりました。また、大学入試共通テストでは2025年度よりプログラミングを含む「情報」の選択が可能になる予定です。ここでは、令和4年に発行された「情報Ⅰ」の教科書2冊を比較して、学べる内容を深掘りしたいと思います!

今回レビューするのはこの2冊!


写真左:『最新情報Ⅰ』(実教出版)
写真右:『新編情報Ⅰ』(東京書籍)

『最新情報Ⅰ』(実教出版)は、表紙からいかにも教科書らしい硬派な印象を受けました。普段から慣れ親しんでいる教科書のフォーマットなので、安心して学びを深められそうです。

本編は全6章に分かれており、各章で学べる内容は以下の通り。

  • 第1章 情報社会と私たち
  • 第2章 メディアとデザイン
  • 第3章 システムとデジタル化
  • 第4章 ネットワークとセキュリティ
  • 第5章 問題解決とその手法
  • 第6章 アルゴリズムとプログラミング

ページ数が多く割かれている第5章では、問題発見から解決までのプロセスがわかりやすく図式化されていて、それに基づいた表計算ソフトの使い方(関数・グラフ・分析)など、かなり実践的な内容が充実しています。「情報Ⅰ」のなかではかなりの難所になりそうですが、例題も多く設定されているので一歩ずつレベルアップできるのではないでしょうか。

取り扱っているプログラミング言語としては表計算マクロ言語がメインなので、PythonやJavaScriptなどに関心がある人には少し物足りないかもしれません。そのため、ゲームやアプリをつくる発展的なプログラミングを学びたいというよりも、情報分野の基本を着実に学びたい人におすすめできる内容だと感じました。

『新編情報Ⅰ』(東京書籍)は表紙のポップさそのままに、内部にもイラストや1コマ漫画が散りばめられていて、全体的に楽しげなイメージを持ちました。カラフルな図式や興味深いコラムもたくさんあって、ついつい引き込まれてしまいます。とにかく読みやすい!

本編は全5章に分かれており、各章で学べる内容は以下の通り。

  • 第1章 情報で問題を解決する
  • 第2章 情報を伝える
  • 第3章 コンピュータを活用する
  • 第4章 データを活用する
  • 第5章 活動して提案する

なかでも特筆すべきは、全体の集大成になる第5章でしょう。「実習編」ということで、「職業人インタビュー」や「クラスの実態調査」など、これまで学んできた内容を楽しく活用するための具体例が提示されています。また、章末のコラム「私の問題解決」では、情報技術を問題解決のために活用している人へのインタビューが掲載されていて、こちらもアイデアを生み出す上での参考になりそうです。

取り扱っているプログラミングツールは、Python、JavaScript、表計算マクロ言語、Swift、ドリトル、Scratch、マイコンボードなど豊富。あくまで巻末資料なのでそれぞれの内容は多くありませんが、自分にあったツールを選択する上でのきっかけになるかもしれません。同じく巻末には、情報分野に関わる法律や偉人、主なファイル形式などが紹介されているのもうれしいです。

まとめ

2冊の教科書を比較してみて、『最新情報Ⅰ』はしっかりと基礎を固めたい人、『新編情報Ⅰ』は楽しく実践したい人に向けた内容だと感じました。もちろん、絶対に押さえておくべき必須知識は両方に共通して掲載されています。ページ数が10進数だけでなく2進数でも表記されているところに、情報の教科書らしいこだわりを感じました。

大学入試センターのWebサイトでは、「情報Ⅰ」を含む2025(令和7)年度試験の問題作成の方向性や試作問題を公開しています。教科書を読んで興味を持った人は参考程度に挑戦してみましょう!

詳細はこちら
令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等

Text&Photo by 編集部

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