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同志社大学&企業に聞く「AI時代に考える力をどう育てるか――組織とシステムから読み解く、人とAIのこれから」|データサイエンスCROSSTALK 同志社大学&企業に聞く「AI時代に考える力をどう育てるか――組織とシステムから読み解く、人とAIのこれから」|データサイエンスCROSSTALK

同志社大学&企業に聞く「AI時代に考える力をどう育てるか――組織とシステムから読み解く、人とAIのこれから」|データサイエンスCROSSTALK

株式会社NTTデータ 守谷 祐一 さん
同志社大学 文化情報学部 阿部 真人 准教授

守谷 祐一 さん
守谷 祐一 さん(左)
MORIYA Yuichi
株式会社NTTデータ
テクノロジーコンサルティング事業部
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阿部 真人 准教授(右)
ABE Masato
同志社大学 文化情報学部
専門分野:複雑系科学、数理生物学、ネットワーク科学
阿部 真人 准教授

生成AIの急速な普及によって、企業の業務や大学教育は大きな転換期を迎えている。AIによって効率化できる仕事が増える一方、従来の評価方法では人間の能力や成長を捉えにくくなるなど、新たな課題も浮かび上がっている。AIと人間が共存する社会で、私たちは何を担い、どのような力を身につければいいのか。株式会社NTTデータでクライアントのAI・データ活用を支援している守谷祐一さんと、複雑系科学やネットワーク科学などを専門とする同志社大学文化情報学部の阿部真人准教授に語り合っていただいた。

ビジネスや教育現場で生成AIの影響は?

――生成AIの登場によって、大きく変わりつつあるビジネスや教育の現場をどのようにご覧になっていますか?

守谷祐一さん(以下、守谷) 生成AIが世の中に登場してから、4年ほどになると思います。今では社内のパソコン環境にも生成AIが入るようになり、使うこと自体は当たり前になってきました。一方で、セキュリティの観点から、社内のデータをどこまでAIに渡していいのかという制約は、まだまだ多いのが実情です。そうしたこともあり、生成AIの活用が大きな成果につながっていない場合がほとんどだと思います。今は、社内でAIをいかに安全に活用していくか、そのための体制を整えている段階です。

今は、社内でAIをいかに安全に活用していくか、そのための体制を整えている段階です。

阿部真人准教授(以下、阿部) 教育現場では、非常に大きな影響が出ています。例えば、特定のテーマについて調べ、1500字程度の文章を書きなさいといったレポート課題は、生成AIを使えばすぐにアウトプットが出てきます。プログラミングの課題も、AIに質問すれば答えを得られる。従来型のレポート課題では、学生の能力を評価することが難しくなってきています。そのため、テスト形式の試験を一定程度取り入れるなど、評価方法そのものの見直しが求められていると思います。

卒業論文についても同様です。学生との対話を通じて、本人がどこまで理解しているのかを見極める必要があります。教育の役割は、入学前と卒業時を比べ、学生がどのように成長したのかを見ることでもあります。その変化を追うことが難しくなるのは、非常に大きな問題です。

――学習の過程がブラックボックスになってしまうということですね。

阿部 そうですね。一方で、生成AIが学びを助ける場面もあります。これまでは、プログラミングや数学の課題でつまずき、そこで壁を感じて挫折してしまう学生も多かったと思います。そうしたときに、生成AIならいつでも気軽に質問できる。学習や理解を促すツールとしては、大きな可能性があります。

学習や理解を促すツールとしては、大きな可能性があります。

結局のところ、自分の学びを促進するために生成AIを使うのか、それともラクをするために使うのか。前者であれば、さらに学びを深めていけると思いますが、後者では逆の結果になりかねません。

もう一つ難しいのは、生成AIを使って作成したレポートでも、ある程度の質を担保できてしまうことです。その結果、学生が自分の頭で考え、時間をかけて書いたレポートよりもAIを使ったレポートのほうが高く評価されてしまうケースもある。ここも、教育現場が向き合わなければならない難しい問題だと思います。

「組織変革」と「システムの研究」

――生成AIの影響について伺ったところで、改めてお二人のご専門についてお聞きします。まず、守谷さんの業務内容について教えてください。

守谷 私が所属するテクノロジーコンサルティング事業部では、NTTデータのテクノロジーに関する専門性を活かし、さまざまなクライアント(顧客企業)の課題解決や将来構想を支援しています。そのなかで私は、クライアント社内におけるAI・データ活用の推進をサポートする仕事をメインにしています。

具体的なユースケースを確立するというよりも、企業全体としてAI・データ活用をどう推進し、変革を起こしていくか。そのための仕組みや方向性を考えることがミッションです。クライアントは一般企業や行政などさまざまですが、主に社員数2万人規模の組織を担当しています。

1つのプロジェクトには、NTTデータ側からコンサルタント3人ほどで入ります。実際に関わるのは、クライアント内部で変革を主導している部署の方々です。まずはその方たちと議論しながら方向性を模索します。ただ、そこだけで話していてもわからないことは多いので、「今日はこの部署の方たちと話してみましょう」といった形で、現場の方々とも対話しながら具体的な施策に落とし込んでいきます。

横断支援による現場起点のDX価値提供サイクル
横断支援による現場起点のDX価値提供サイクル

これまで社内のデータ活用は、データサイエンティストなどが商品の売上や解約率を分析するといった形で行われてきました。私たちも、そうしたデータサイエンティストが使うデータ基盤をどう構築するか、といった支援をしてきました。しかし今後は、そうした業務自体をAIエージェントが担う世界になっていくと思います。そうなると、AIが社内データにアクセスする際、どこまでのデータを渡していいのか。また、データの質を担保するために、人間がどこまで関与すべきなのか。社内でAIを安全かつ適切に活用するためのガバナンスが、これまで以上に重要になります。現在は、そうしたAI活用の仕組みづくりの支援が増えてきています。

――続いて、阿部先生のご専門について教えてください。

阿部 専門は、複雑系科学、数理生物学、ネットワーク科学などで、数理モデルや定量的なデータから「システム」について探究しています。ここでいうシステムとは、多数の要素が相互作用することで成り立つ仕組みのことです。

例えば、約1000億個の神経細胞が情報を交換する人間の脳、コミュニケーションを通じて他者との関係性が生まれる学校、多数の生物種が関わり合う熱帯雨林など、私たちの周囲には実にさまざまなシステムがあります。こうした現実世界に存在する複雑なシステムを「複雑システム(複雑系)」と呼び、私はその仕組みや機能を明らかにすることを目指しています。具体的には、人間の脳や社会、アリの集団などを対象に、理論と実験の両面からアプローチしています。

もともと私が興味を持っていたのは、人間を含む生命システムや「知性」がどのように成立しているのかということでした。例えば、アリは人間とはまったく異なる生き物ですが、集団になると、個体だけでは成し得ないような賢い振る舞いを見せます。では、そうした集団としての知性は、どのように生まれるのか。そうした問いに関心があります。

最近では、AIエージェントと人間が共同で作業する際に、どのような関係性が生まれるのかといったテーマにも興味を広げています。AIエージェントも、単体で動くだけではなく、複数のエージェントが協調して動くことで、個々の能力を超えた振る舞いを見せる可能性があります。人間や生物の集団に見られる「知性」が、AIエージェントの集団でもどのように生まれるのか。そうした問題も、これから研究の射程に入ってくると考えています。

さまざまな構成員がいる組織をシステムとして捉える

――「システム」というキーワードが出ましたが、守谷さんの立場からは、企業組織をどのように捉えていますか。

守谷 会社という組織は、複雑なシステムとして捉えることができると思います。私たちコンサルタントは、データ基盤などを構築し、それがどのように成果につながっているのかを測定します。ただ、例えば、売上が伸びたとしても、それが構築したデータ基盤の成果なのか、データ分析を行ったデータサイエンティストの成果なのか、それとも営業部門の努力によるものなのか……。実際には、さまざまな要素が絡み合っています。

そのため、何を成果として捉え、どのような基準で評価するのかを設定することが重要になります。こうした評価の指標を、ビジネスの世界では「KPI(Key Performance Indicator)」と呼びます。

例えば、先ほど阿部先生から伺ったアリの集団行動も、個体の行動を一定の方向へ導く仕組みがあることで、結果として集団全体がうまく機能しているのだと思います。社内でAI・データ活用を進める場合も同じです。最初は「まずAIを使ってもらう」ことを目的として、AIへのログイン回数などをKPIに設定することがあります。ただ、組織が成熟してくると、今度は「ログインすること」自体が目的になってしまう。そうならないためにも、組織の成熟度や状況に合わせてKPIを見直し、次の段階へと移していくことが必要になります。

阿部 アリの場合でいえば、進化を通じて、集団で行動する仕組みが形づくられてきました。人間の集団行動にも、こうした進化の影響が一定程度あると考えられます。

人間はできるだけラクをしたいと思うものです。そうした個人の行動を、会社という組織全体にとって望ましい方向へどう結びつけていくのか。そこには、インセンティブ(報酬)の設計やルールづくりが必要になります。その意味では、私の研究とも非常に近い部分があると思います。

私の研究では、「ゲーム理論」なども使います。簡単に言えば、自分の行動だけでなく、相手の行動によっても得られる利益が変わる状況で、それぞれがどう行動し、どのような結果になるのかを考える学問です。そのテーマの1つが、利害が必ずしも一致しないなかで、どうすれば協力関係を築き、維持できるのかという問題です。ただ、これが意外に難しい。

「ゲーム理論」は意外に難しい。

そもそも、人間はなぜ協力するのでしょうか。誰かに利益を与えるために自分がコストを負担すれば、自分にとっては損になる。進化の観点から考えれば、そうした行動は淘汰されるはずなのです。それでも協力という行動が残っているのはなぜなのか。これは、生物学や進化生物学のなかでも、長く議論されてきた非常に難しい問題です。

アリは、その一例です。アリのコロニーには女王アリと働きアリがいますが、基本的に子を残すのは女王です。それでも働きアリは、自ら子を残すことなく、女王やコロニーのために働きます。なぜそのような協力行動が生まれるのか。これはダーウィンの時代から続く謎でした。その後、血縁関係に着目することで説明されるようになりました。働きアリが女王を助けることは、結果として自分と共通する遺伝子を残すことにつながるからです。

しかし、会社は必ずしも血縁関係のある人たちだけで構成されているわけではありません。むしろ、血縁関係のない人たちが協力して1つの組織をつくることが一般的です。では、そうした組織のなかで、なぜ協力関係を維持できるのか。これは実は、まだ完全には解明されていない問題なのです。

――「協力」という言葉が出ましたが、守谷さんの役割も組織の協働のなかでAI・データ活用を進めていくことですよね?

守谷 はい。しかしAI・データ活用を組織で推進していく際には、当然、変革に伴う痛みがあります。社内で「AIを使ってください」と言えば、すぐに使い始める人もいます。一方で、これまで慣れ親しんできたやり方を変えたくない人もいる。新しいツールを覚えるには、それなりの労力も心理的な負担も伴います。そうした負担を上回るインセンティブがなければ、なかなか新しい方法には乗り換えてもらえません。だからこそ、KPIなどをうまく設定しながら、組織全体をどうよい方向へ持っていくのかを考える。この取り組みは、阿部先生の研究内容と親和性が高いかもしれませんね。

この取り組みは、阿部先生の研究内容と親和性が高いかもしれませんね。

阿部 そこには、「局所解(局所最適解)」という考え方も関係してくると思います。ある限られた範囲ではいい状態でも、全体を見渡すと必ずしも最善の状態とは限らないこともあるわけです。例えば、AIを活用したほうが、組織全体の効率が上がるとしても、現場ではこれまで慣れ親しんだ方法を続けたい。そこからよりよい状態へ移行するには、変革のコストがかかる。そこで、「今のやり方で、そこそこうまくいっているから、このままでいい」と考えてしまうわけです。

「揺らぎ」がよりよい解にたどり着くキーワードに?

――組織やシステムをよりよい方向へ導くには、どうすればいいのでしょうか?

阿部 これは私自身の研究ではないのですが、局所解の話に関連して、興味深い研究事例があります。人間20人ほどの集団で1つのタスクに取り組む際、そのなかにAIエージェントをいくつか組み込むというものです。すると、局所解に陥ることなく、より早く最適解にたどり着けたと報告されています。ここから見えてくるのが、「揺らぎ」の重要性です。

組織も慣習や人間関係がガチガチに固まっていると、物ごとがスムーズに動かなくなりますよね。どんなに揺さぶっても動かない。そこに、ある程度の柔軟性や「揺らぎ」が組み込まれていることが大切なのだと思います。そうすれば、一時的にコストがかかったとしても、別の状態へ移行し、よりよい解にたどり着ける可能性がある。

これは、企業組織だけでなく、社会のさまざまなシステムにも当てはまるはずです。どのような「揺らぎ」がシステムに変化をもたらし、よりよい状態への移行を促すのか。私自身も、現在、理論と実験の両面から研究しているテーマの1つです。

どのような「揺らぎ」がシステムに変化をもたらし、よりよい状態への移行を促すのか研究している

守谷 その「揺らぎ」をどうつくるかというのは、企業においては、人事異動などを用いて昔から行ってきたことですよね。人を入れ替えたり、異なる部署の人を組み合わせたりすることで、組織が硬直しないようにする。AIエージェントを組織のなかに入れるというのも、確かに同じ発想として考えられるのだなと、今お話を聞いて思いました。

ただ、人間とAIでは少し違うところもあります。例えば、新しく人が入ってくれば、さすがにその人を完全に排除するわけにはいかないので、周囲も含めてお互いに馴染もうとします。一方で、それがAIエージェントだとわかった途端に、「AIの言うことには従わない」といった反応が出る可能性もあります。

AIを使わなければ次の業務に進めないような仕組みをつくるのか、あるいはAIを活用することでメリットが得られるようなインセンティブをどう設計するのか。いわば「北風と太陽」のような部分も含めて、組織にAIをどう組み込んでいくかを考える必要があります。

そのためには、単に「AIを導入しましょう」と言うのではなく、クライアントが抱えている課題や目指している目的をしっかりとすり合わせる。そのうえで、現場の方々を含め、さまざまな立場の人と膝を突き合わせて議論しながら、具体的な施策に落とし込んでいくことが大切です。

領域を超えていける人材が求められる

――社会の状況がめまぐるしく変化する「AI時代」において、どのような人材が求められると思いますか?

守谷 NTTデータというIT企業の立場から言えば、自分の専門領域を超えて考えられる人が求められると思います。例えば、私たちのプロジェクトでは、さまざまな専門家と一緒に仕事をします。コンサルタントだけでなく、データサイエンティスト、システム開発を担ってきたエンジニア、さらに社内文化を深く知るクライアントの方々もいます。

データサイエンティストも、データを分析して結果を渡せば仕事が終わるわけではありません。その結果をクライアントがどう捉え、どのような判断に使うのか。組織のなかでどう活用されるのか。さらに、その分析をクライアント自身が継続して行えるようにするには、どのような仕組みが必要なのか。その後の運用や保守まで含めて考え、関係者とコミュニケーションを取りながら、最終的な成果につなげていく必要があります。

そう考えると、専門家としての能力の高さだけではなく、自分の領域に閉じず、好奇心を持って視野を広げられる人が求められているのだと思います。

データサイエンティストも好奇心を持って視野を広げられる人が求められている

阿部 文系・理系を横断して、幅広いテーマを学ぶ「文化情報学部」という組織で人材を育てている教育者としては、少し安心しました(笑)。私たちが育成しているのは、まさに専門に閉じず、多様な視点で物ごとを考えられる人材です。そのうえで、私自身は「問いを立てられる人」が今後ますます求められると思っています。問いは、立てようと思えばいくらでも立てられます。重要なのは、その人が置かれている状況や文脈を理解したうえで、いま何を問うべきなのかを考えることです。そうした文脈を踏まえて物ごとを判断する力は、現状のAIにはない、人間に求められる能力です。

大学で研究をするうえでも、問いを立てる力は欠かせません。まず先行研究を読み、そのうえで、どのような問いを立てれば、これまでの研究を一歩進め、大きなインパクトにつなげられるのかを考える。そこが研究の出発点です。一方で、これまで人間が苦労してきたコーディングなどの作業をAIが担ってくれることは、素直に歓迎していいと思います。大切なのは、その先です。

AIやデータを使って何を実現したいのか。そして、それを社会のなかでどこに着地させるのか。これからは、技術そのものだけでなく、「何のために使うのか」「どう使うのか」を考え、社会の仕組みとして成立させることが、ますます重要になると思います。

守谷 企業側もこうした若手を育てていかなければなりません。今この瞬間だけを考えれば、若手社員が担っている業務をAIに任せることもできます。しかし、5年後、10年後まで考えたときに、その業務をすべて自動化してしまっていいのかというとそうではない。やはり、次の世代を育てる必要があります。

これは、対談の最初に話されていた「AIがつくったレポートのほうが、学生が書いたレポートよりも評価される」という問題ともつながっていると思います。従来の評価指標ではAIのほうが高く評価されてしまう可能性があるのは、評価の仕方そのものをまだ十分にアップデートできていないからだと考えています。

企業の提案書などでも同じです。生成AIがつくった提案のほうが、論理的には優れているかもしれない。しかし、「実際にお客さまの立場になったら、この施策を実行できるのか」「実行した後に、次のアクションは何なのか」と考えていくと、AIがつくったものだけでは足りない場合があります。そうした視点まで含めて評価できるように、評価指標そのものを変えていく必要がある。企業側にも、そうしたマインドの転換が求められていると感じます。

企業側にも、マインドの転換が求められていると感じます。

学生時代に「考え抜く力」を身につけてほしい

――最後に、次世代を担う若者に向けてメッセージをお願いします。

阿部 生成AIに聞けば、すぐに答えが返ってくる時代だからこそ、簡単には答えの出ない問いを考え続けることが大切だと思います。今の学生は、わからないことがあるとすぐに生成AIに聞いて、答えを得ることで「わかった」気になってしまうことがあります。しかし本当に大切なのは、すぐに答えを得ることではありません。例えば、卒業研究では、何か月もかけて1つのテーマについて考え続けることになります。そうした経験を通じて、なかなか答えが出ない問題に向き合い続ける「知的体力」を身につけてほしいです。

なかなか答えが出ない問題に向き合い続ける「知的体力」を身につけてほしい

守谷 一般論や既存の知識であれば、AIを使えば簡単に手に入る。提案書についても、ベースとなる「60点」のものをつくることは、以前よりずっと速く、簡単になりました。その一方で、誰がつくっても一定の水準まで到達できるようになり、差がつきにくくなっています。

しかし、クライアントごとに抱えている課題は、本当にさまざまです。「このお客さまが本当にやるべきことは何なのか」「どのような施策なら実際に受け入れてもらえるのか」を、とことん考え抜くことが重要になります。そのためには、自分にしか取れない情報を持っていることが強みになります。実際に現場を見て、自分なりの仮説を立て、そこで得た情報を自分なりの判断軸で解釈する。そうした経験を積み重ねることで、AIが簡単には出せない答えに近づいていけるのだと思います。

阿部 その「考え抜く力」を、大学教育のなかでどう身につけてもらうのか。教員として、改めて身が引き締まる思いです。守谷さんがおっしゃった「現場の情報を取る」ということも、まさにその通りだと思います。今は、数学の研究やシミュレーション、データ解析など、パソコンのなかだけで完結する研究の多くが自動化できるようになっています。

そのため、これからは実際にデータを取ること、実験すること、そしてリアルな世界に触れることの価値が、ますます高まっていくのではないでしょうか。人間の行動を対象にする場合も、実際の人々から得られるデータには大きな価値があると考えています。

そして、人間だからこそ持てる「好奇心」も大切です。「これが好きだ」「これについてもっと知りたい」という思い入れや、自分だけの興味を大切にしてほしい。そうした一見、尖った部分こそが、AI時代に新しい問いを生み出す原動力になるのだと思います。

一見、尖った部分こそが、AI時代に新しい問いを生み出す原動力になるのだと思います

【取材協力】

株式会社NTTデータ

豊かで調和のとれた社会づくりをめざし、世界70ヵ国以上でITサービスを提供。デジタル技術を活用したビジネス変革や社会課題の解決に向けて、お客さまとともに未来を見つめ、コンサルティングからシステムづくり、システムの運用に至るまで、さまざまなサービスを届けている。
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株式会社NTTデータ

※掲載情報は、2026年9月時点のものです。

Text by データサイエンス百景編集部/Photo by 小島マサヒロ

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