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【関西学院大学】日本IBMとの共同開発「AI活用人材育成プログラム」に迫る 【関西学院大学】日本IBMとの共同開発「AI活用人材育成プログラム」に迫る

【関西学院大学】日本IBMとの共同開発「AI活用人材育成プログラム」に迫る

関西学院大学

経済産業省の資料によると、2030年にはIT人材が最大で約79万人不足すると予想されるなど、デジタル技術を活用できる人材の育成は日本にとって喫緊の課題となっている。そんななか、関西学院大学と日本アイ・ビー・エム株式会社は、2017年9月より「AI共同プロジェクト」を推進。「AI活用人材育成プログラム」を関西学院大学・全学部生を対象に、2019年4月から提供。このような取り組みに至る背景や関西学院大学の狙いに迫る。

日本IBMと共同開発した「AI活用人材育成プログラム」

関西学院大学は、14学部、大学院14研究科で構成される総合大学。キリスト教主義に基づく全人教育によって、「“Mastery for Service”を体現する世界市民」を育成することを使命としている。これは第4代の院長・初代学長であったC.J.L.ベーツ先生が学生に向けて語った言葉であり、自己修養(練達)と献身(奉仕)を合わせ持つ生き方に、人間の真の生き方を示したものである。

関西学院大学は、その実現に向けて、すべての学生が卒業後に学部の区別なく共通に身につけるべき知識・能力・資質を「Kwanseiコンピテンシー」と定め、これを大学の教育に通底するものとして位置づけている。

コンピテンシー

デジタル変革が急速に加速する今日、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させて、経済発展と社会課題の解決をめざす「Society5.0」は目前に迫っている。超スマート社会とも言われるそのような社会では、AIデータサイエンスなどの情報系の学問を、文系・理系問わず、さまざまな学問分野に応用していくことが求められる。つまり、これからの情報社会にとって、AIやデータサイエンスは、学部の区別なく共通に身につけるべき知識・能力・資質(=Kwanseiコンピテンシー)なのだ。

そのような社会情勢に先んじて、2017年に「AI共同プロジェクト」を立上げ、「AI活用人材育成プログラム」の開発を進め、2019年度から同プログラムを全学に提供。AIやデータサイエンスを活用して、新たなビジネスの創出や社会課題を解決できる「AI活用人材」を育成していく。

すべてのプログラムをオンライン・オンデマンドで提供することによって、いつでもどこでも何度でも受講することが可能。現在、このプログラムにおける「入門編」の履修者は5,500人(2022年実績)となっており、今後さらなる増加が見込まれている。関西学院大学は2024年度以降、大学教育DXの最先端モデルとして、企業や自治体、他大学にも幅広く有償提供を行っていく。そうすることで、受講者を年間5万人まで拡大し、デジタル変革の推進を担うことができる人材を数多く輩出することをめざしている。

「AI活用人材」とは?

関西学院大学は、AIに関わる人材を以下の3つに分類。最先端のAI技術そのものを研究・開発する「AI研究・開発者」、AI技術を社会で使えるようにシステムを開発したりデータを分析したりする「AIスペシャリスト」、AI技術を活用したサービスや製品を提供する「AIユーザー」だ。そして、「AI・データサイエンス関連の知識を持ち、それらを活用して、現実の社会課題・ビジネス課題を解決できる能力を有する人材」を「AI活用人材」として定義している。

AI活用人材

ハード(開発者)の育成環境は既に整っており、これからはソフト(提案者や活用者)の育成が最重要。「AI活用人材育成プログラム」でも、主に「AIスペシャリスト」と「AIユーザー」の育成をターゲットとしている。業界を問わず、多くの企業がAIソリューションを求めており、人材需要のボリュームゾーンも「AIスペシャリスト」や「AIユーザー」にある。「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIを使いこなす」人材を育成・輩出していくことが関西学院大学の目標だ。

「AI活用人材育成プログラム」 6つの特長

AI活用人材育成プログラム

1 初学者を念頭においた授業内容

予備知識が無くても段階的に学べるカリキュラムとなっており、文系理系問わず、初心者でも着実にAI・データサイエンスのスキルを身につけることができる。

2 体系的かつ実践的なスキルの修得

全10科目はすべて新規開発であり、既存の内容の流用はなし。日本IBMと全体を一から共同開発することによって、すべての科目を体系的・有機的に組み上げている。

3 実践的PBL(Project Based Learning)

実際の現場での課題に取り組む実践的PBL(Project Based Learning)を設置。修得したAI・データサイエンスのスキルを発展演習科目で実践的に活用することで、自己完結型に体系化したカリキュラムとなっている。

4 ビジネス視点の醸成

日本IBMとの共同プロジェクトで開発したことにより、IBMをはじめAI活用企業の実務の視点をふんだんに取り入れた授業内容に設計。ビジネス現場で即戦力となれるような人材育成をめざす。

5 専門分野と両立するもの・補完しあうもの

自身が専攻する各学部での専門分野の学びに「AI活用人材育成プログラム」の学びは応用可能。お互いの学びの特長を活かし、学びの深化を手助けする相乗効果が期待される。発想力や論理的思考力をワンランク上のレベルへ引き上げ、新たなソリューションや製品を生み出していく。

6 バーチャルラーニング化

同プログラムのバーチャルラーニングは、解説動画だけでなく、AIアプリ開発やデータ解析などの実践的な演習や、講義内容の質問に回答するチャットボット、双方向コミュニケーションのためのトークボードなど、さまざまな要素から構成された、完全オンラインによる新たな学びの形態となっている。2023年4月から5科目をバーチャルラーニングで開講している。

データサイエンスを用いて学ぶ総合政策学部

総合政策学部

関西学院大学でデータサイエンスの活用を専門的に学びたいなら、社会科学系では総合政策学部が特徴的だ。データを使った分析・表現が必須となった現代社会。総合政策学部では、複雑に絡み合う社会課題を解決に導く、高度なデータサイエンス教育を提供している。

総合政策学部の学びは、「メディア論」「国際政策」をカリキュラムの柱として、法学・政治学・経済学・経営学・社会学・社会福祉学・工学・理学・言語文化を組み合わせた、従来の学問の枠にとらわれないものとなっており、あらゆる分野にAI・データサイエンスを応用していくスキルを身につけることができる。

StataやRなどの統計分析ツールやPythonなどのプログラミング言語を習得し、環境や経済、選挙、マーケティングなどに関するさまざまなデータを、回帰分析や因子分析、ディープラーニングなどの手法を用いて分析していく。1年次から統計学の基礎を固め、2年次以降は少人数制の実習科目や研究演習で各種の手法を学び、応用力を養う。データを用いて課題を特定しソリューションを提示できる人材の育成をめざしている。

ソリューション

分野横断的に学ぶ工学部の課程制

工学部

理系学部でAI・データサイエンスを基盤技術から学ぶ道もある。関西学院大学工学部は、「学科制」を廃止し、専門分野以外の学びも深められる柔軟な教育形態で幅広い知識と複合的な視点を養うことができる「課程制」を導入している。自らの専門を基軸に、興味や目的に合わせて分野を横断しながら学ぶことが可能になり、豊かな教養と応用力を身につけることができる。

さらに、(自分が)所属する課程の主専攻分野に加え、隣接する専攻分野の専門性をさらに深めることができるマルチプル・メジャー(複専攻)制度も導入。2つの専攻分野を学ぶことにより、卒業研究や大学院進学、就職等の選択肢を広げることにつながる。

学科制

AI・データサイエンスの理論から実践まで極めていくには、「情報工学課程」と「知能・機械工学課程」がおすすめだ。各自が所属する課程の学びを軸に、その他の課程の学びを積極的に履修していくことで、社会の課題解決や新たな技術・製品の創出にも役立つはずだ。

工学部について/関西学院大学
情報工学課程
知能・機械工学課程

【受験生へのメッセージ】
「AI活用人材育成プログラム」で広がる選択肢

現在、AI・データサイエンスのスキルを身につけた学生は、あらゆる業界で求められている。そのため、「AI活用人材育成プログラム」を履修し、専門的なスキルを身につけることができれば、想定される進路も自ずと広がっていくはず。最後に、関西学院大学広報室から、受験生へのメッセージをいただいた。

AI活用人材育成プログラム

「AI・データサイエンスは、文系理系を問わず、あらゆる研究分野・ビジネス分野に応用可能。むしろこれからは何の研究を行うにしても、必須のスキルと言えます。各研究分野の学びを深めたり、社会の課題を解決したりすることを目標とする学生にとって、『AI活用人材育成プログラム』は有意義なプログラムであると思います。そして、社会の課題を解決するためには、数学などの理論的な知識やプログラミングなどの技術的スキルだけでなく、それらをどのように社会に実装していくかという実践的なスキルや思考力も必要です。本プログラムでは、AI・データサイエンスを活用して、現実の社会課題・ビジネス課題の解決、新たな価値を創出することができる人材育成を目標としています。次世代を担う受験生には、Society5.0を生き抜くための『AI活用人材』をぜひめざしてほしいと思います」

Text by 丸茂健一(minimal)

UNIVERSITY INFO

関西学院大学
KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY
「AI活用人材育成プログラム」を日本IBMと共同開発
関西学院大学
「AI活用人材育成プログラム」を日本IBMと共同開発

AI・データサイエンス教育を全学で展開

14学部と大学院14研究科を擁する総合大学である関西学院大学。日本IBMとの共同開発による「AI活用人材育成プログラム」を2017年に立ち上げ、2019年度から全学で開講している。AI・データサイエンスを活用して、新たなビジネスの創出や社会課題を解決できる「AI活用人材」を育成していく。

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