

【大阪工業大学】実践的なデータ教育で社会への価値創造力を育む
大阪工業大学情報科学部データサイエンス学科
入試部入試課
2022年度に学園創立100周年を迎え、更なる飛躍と社会貢献を目指して教育改革を実施する大阪工業大学。情報科学部データサイエンス学科では、人は好意を寄せる相手をデートに誘うときにもデータ分析を活用しているとして「デートサイエンス」というキャッチーなメッセージを打ち出すなど、データサイエンスを身近に感じてもらうための施策に取り組んでいる。工業系大学の強みを活かして2021年に新設された同学科について、入試部入試課の有吉渉さんに話を聞いた。
データサイエンスは身近な学問
他分野と併せればより社会に貢献できる
大阪工業大学情報科学部データサイエンス学科の特設サイトを開くと思わず「データサイエンス」という言葉とは縁遠いと感じてしまう、映画のワンシーンを切り取ったような写真や動画が並んでいる。添えられているのは思わず胸が締め付けられるエモーショナルな文章だ。入試部入試課の有吉さんはこう語る。

「世の中のデータサイエンスに対する関心の高まりを受け、大阪工業大学では2021年にデータサイエンス学科を新設しました。本学は大学名からもお分かりいただける通り理系分野、中でも『ものづくり』に特化した大学です。情報科学部の基盤となっているソフトウェア、ハードウェアといった情報科学分野の汎用的な知識をしっかりと身につけたうえで、AIやビッグデータなどの本格的なデータサイエンス分野の技術活用を学べるところが強みだと考えています。文理を横断した学びも大きな特徴で、金融や経済と併せて実践的な学修を積むこともできます。データサイエンスは、『誰かを幸せにしたい』『日々の暮らしを快適にしたい』といった思いを実現できる、非常に身近な学問だと考えています。しかし、高校生の方々には少し伝わりづらいところがある。そうした課題を解決するため、ウェブサイトなどを通じて洗練されたキャッチーなメッセージを発信しています。こちらはぜひ皆さんにご覧いただきたいですね」
学科の特色は以下の通り。
大阪工業大学情報科学部データサイエンス学科 3つの特色
1 基礎から応用まで文理融合の学びを提供
アプリやプログラミングの基礎学習から、AIの使い方やPCによる統計処理といった高度な情報処理技術までをしっかり学ぶことができる。同時に、人や社会・ビジネスなど、データサイエンスを適用する分野の知識も学修。文理融合の学びで、社会の課題に対して価値創造ができるデータサイエンスのプロフェッショナルを育成する。
2 情報科学部4学科と連携してイノベーションを創造
同学科では、データサイエンス的なアプローチと情報科学部既存4学科(情報知能学科・情報システム学科・情報メディア学科・ネットワークデザイン学科)の最先端情報技術の融合からイノベーションを生み出している。5学科の学生がチームを組み、AI・IoTを基盤としたシステム開発を行うなど、実社会の課題に取り組みながら学ぶ。
3 企業や行政と共同してPBL教育を実施
情報科学部では企業や行政と共同してPBL(課題解決型学習)教育を実施。2019年には枚方市役所、北大阪商工会議所と連携し、枚方市が提供する公共オープンデータ(ビッグデータ)などを活用してAIデータサイエンス的アプローチから地域の課題を解決するプロジェクト「Hirathon(ヒラソン)」を設立した。
【特徴的な授業やプログラム】
データサイエンスの理論を学ぶだけではなく
社会に実装する手法まで考えるカリキュラム
次に特徴的な授業について見ていこう。大阪工業大学情報科学部データサイエンス学科の教育カリキュラムは、「IT」「データ分析」「価値創造」の3分野から構成され、さらに「AI(人工知能)」「情報技術」「ソフトウェア開発・プログラミング」「統計分析」「問題解決」の5つを柱にして展開している。
こうした教育が目指しているのは、「ITスキル×データ分析力×価値創造力」という総合的な能力の育成である。統計の手法や理論を理解するだけではなく、コンピュータとソフトウェアを使って実際に存在するデータを分析してその結果を解釈する。そして、プロジェクトを通じて地域が抱える課題の解決に挑戦する。このような実践に焦点をあてた学びが、価値創造のマインドを育んでいるのである。
「データサイエンス学科の課題では、地域や企業からいただいた実際のデータを活用し、課題解決に向けたアイデアの提案を行うこともあります。社会の最前線に立ってデータ活用をしている方々と一緒にチャレンジできるのが本学科の大きな魅力のひとつですね。データサイエンスの理論的な部分は理解できていたとしても、どのようにして社会に実装していくのか、その掛け合わせを考えることが重要になります。その点、本学は他学科授業の履修が充実しており、『経済学を学びたい』『メディア系のことを学びたい』『セキュリティのことを学びたい』といった一人ひとりの想いに応えることができます。文理融合も含め、さまざまなことを複合的に学べるところが本学科の強みですね」
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大阪工業大学情報科学部データサイエンス学科

【注目すべきプロジェクトや施設】
データサイエンス活用を実例に当てはめるPBL教育
注目すべきプロジェクトとして、企業や行政と共同したPBL(課題解決型学習)教育が挙げられる。2019年には枚方市役所、北大阪商工会議所と連携して、地域課題解決プロジェクト「Hirathon(ヒラソン)」を設立。健康、人材不足、防災・災害対応、働き方改革、空き家問題などの地域課題に対して、枚方市が提供する公共オープンデータ(ビッグデータ)などを活用し、AIデータサイエンス的アプローチで、アイデア創出の「アイデアソン」、システム開発の「ハッカソン」形式で課題解決を目指すものだ。このプロジェクトは多数の企業や団体から協力を受けている。他大学の学生も参加できるオープンなイベントのため、自らチームを編成して、企業や地域が持つ課題に挑戦することもできる。
「長期間にわたって地域課題の解決に向けて取り組むこのプロジェクトでは、課題を感じている自治体や企業と連携し、実際に近い状態で事業化などの可能性を検討することになります。有用なアイデアについては、早期に社会実装されることを期待しています」

【入試制度】
情報科学部では第5志望まで学科を選択できる
大阪工業大学情報科学部データサイエンス学科に特化した入試は特に存在しない。一般選抜(前期・後期)、総合型選抜(AO)、学校推薦型選抜が主な試験形式である。日程や受験科目などについては、WEBサイトをしっかりと確認しておこう。
「データサイエンス学科の一般選抜では、『物理/化学/生物から選択できる理系型入試』と『国語/地理歴史から選択できる文系型入試』があり、また一部の学校推薦型選抜でも同様に理系型・文理型の入試があります。高校で理系科目を中心に学んできたけれど国語や社会の方が得意だという受験生には文系型入試がおすすめです。従来の併願制度にくわえ、情報科学部では出願時に第5志望まで学科を選択できるため、他学部学科に比べて合格のチャンスが広がります。また、全学部学科で募集している総合型選抜も利用できます。成果物をプレゼンテーションしていただく試験もあるので、アプリなどの制作実績をご用意いただく必要があります」
※出願する入試により内容は異なります。
詳細はこちら
大阪工業大学入試サイト
【想定される進路】
学生の希望するあらゆる進路に応じて就職支援を行う

情報系学科、文理横断の他学部学科との連携にくわえ、PBL(課題解決型学習)教育にも力を入れている大阪工業大学情報科学部データサイエンス学科。こうした教育を通じて実践的なデータサイエンスの知識や技術を身につけた学生たちには、多方面に及ぶ進路が想定されている。
「情報系の学びを修得しておけば、就職にはほとんど困らないはずです。主に想定している就職先は情報サービス業界ですが、文系出身者が多く活躍している分野でもスキルを発揮してほしいですね。本学では、学生の希望に応じてあらゆる業界への就職に向けたサポートを行っています。どの業界においてもデジタル技術が求められている時代なので、幅広く社会に飛び出して行ってもらいたいです」
Text by 上垣内舜介(minimal)