【大阪成蹊大学】先進的なカリキュラムでデータ活用のスペシャリストを育成
大阪成蹊大学データサイエンス学部
学部長
30年あまりで、世界時価総額ランキングにおけるトップ企業の顔ぶれは製造業からIT企業などに様変わりした。そんな社会の動きに伴い、企業のDX化やデータ活用はどの業界でも加速している。大阪成蹊大学データサイエンス学部の吉川正俊学部長は、「大学における学生の学びと企業が求める人材の開きが最も大きいのが情報分野」とデータサイエンス人材育成の必要性を訴える。同学部の先進的な学びを見ていこう。
理想のデータサイエンス教育カリキュラム!
「情報機器の高度化、小型化に伴い、社会活動のあらゆる側面においてデータの取得が容易になり、データをいかに活用するのかが組織の命運を握るようになってきました。社会や組織が解決すべき課題の多くが、データに裏付けられた証拠に基づく、より確度の高い意思決定を必要とします。今日の課題解決のためには、データ活用が必須なのです」
そう語るのは、大阪成蹊大学データサイエンス学部の吉川正俊学部長。2023年4月に新設されたこの学部は、データのスペシャリストを育成するため、情報処理学会データサイエンス・カリキュラム標準(専門教育レベル)に基づく、最先端のデータサイエンス教育が展開されている。データサイエンス基礎科目や基幹科目などで理論を学び、1年次前期から3年次前期まで続く専門演習科目「未来クリエーションプロジェクト1-5」で実践力を養う。3年次後期からは研究室に配属され、1年半をかけて卒業研究を深化させていく。この相互作用を意識したスパイラル教育が特色だ。
さらに、大阪成蹊大学が力を入れているLCD教育プログラムの一環として、文章表現やプレゼンテーションなどのアカデミックスキルを養う初年次教育科目も充実している。LCDは「リテラシー(Literacy)、コンピテンシー(Competency)、ディグニティ(Dignity)」の略称。幅広い教養や確かな基礎スキルがデータサイエンスの学びを加速させる。
「私もレポートの書き方やプレゼンテーションなどを扱う科目を担当しましたが、このような基礎となる能力を身につけることは非常に大切です。卒業論文を書く際に、基礎的なスキルがないと、学生自身が困るだけでなく、教員も対応が難しくなります。早いうちから、これらのスキルを身につけることは、学びを深めるために重要なのです」
大阪成蹊大学では、高校の数学まで遡って、基礎を固めていく科目があるなど、文系出身の学生でも、データサイエンスのスキルを身につけることができる体制が整う。多様なバックグラウンドを持った学生に対応できるカリキュラムになっているのが特長だ。
吉川学部長に聞いたデータサイエンス学部の特色は以下の通り。
大阪成蹊大学データサイエンス学部 3つの特色
1 学会標準に基づく、体系的なカリキュラム
大阪成蹊大学データサイエンス学部では、一般社団法人 情報処理学会データサイエンス・カリキュラム標準(専門教育レベル)に基づく、データサイエンス教育を実施。基礎となる数学・確率・統計学はもちろんのこと、データサイエンティストに求められる3つのスキル、そして応用領域に広がるデータ活用の実践力まで、幅広いスキルを着実に身につけることができる体系的なカリキュラムを展開している。
2 教員は一流のデータサイエンティスト!
データサイエンス学部の定員80名に対して、京都大学出身者を中心とした17名の強力な教員チームが指導を行う。教員1人あたりの学生数4.7人の質の高い超少人数教育が魅力だ。研究室の隣に設置した、教員と学生の共同研究室「Co-Labo(コラボ)」によるゼミ活動で、研究を行う環境・レベルは最先端。
3 産学連携、広がる卒業後の進路
25の企業・自治体と連携し、さまざまな人との「共創」のなかで、データサイエンティストとしての技能を磨くことができるのも大阪成蹊大学データサイエンス学部の大きな特長だ。半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア)と連携協定を締結するなど、産学連携を強化するとともに、AI時代の人材育成をめざす。学生が1年次からインターンシップにいくこともあり、実践的なスキルを早期から養うことができる。
【特徴的なプロジェクト型科目】
理論と実践のスパイラル教育「未来クリエーションプロジェクト」
大阪成蹊大学データサイエンス学部では、さまざまな実課題を解決する実践力を身につけるため、1年次からプロジェクト型の演習科目「未来クリエーションプロジェクト」を実施する。理論に先んじて演習科目を行うことにより理論習得の動機づけを与え、理論習得後にはその実践による理解定着を行う。この相互作用を意識した、理論と実践のスパイラル教育が学びの深化を手助けする。
「理論だけ学んでいても、実践の場で活用できなければ意味がありません。一方で、実践において最大限の成果を出すためには、理論を着実に学んでいくことが大切になります。つまり、理論と実践の相互作用によるデータサイエンス教育が重要なのです。演習科目は、3つのテーマに分けて、全学生がすべてのテーマに取り組めるようにカリキュラムを構成しています。Pythonというプログラミング言語を駆使してドローンの自動制御を行ったり、Rというプログラミング言語を用いて統計学やデータ解析を行ったりする科目があります」
【注目すべき施設】
学生との共同研究室「Co-Labo(コラボ)」
私立大学では珍しい、教員と学生が隣り合う「共創型」の研究室がゼミ活動の拠点。データ活用には自分だけでなく、他者の気づきや発想が欠かせない。大阪成蹊大学データサイエンス学部では、常に教員のそばで、仲間とともに研究に打ち込むことができる。教員の研究室までわずか0分のため、疑問点もすぐに解決!
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次代のAI・データサイエンスを学ぶ最新の教育施設
【注目すべき入試制度】
大阪成蹊大学独自の奨学金制度も
データサイエンス学部の一般選抜は2科目型、3科目型があり、「数学」の選択は必須となる。そのほか、大学入学共通テスト利用入試もある。また、総合型選抜も実施されており、こちらでは「活動報告書」の提出が課される。ここで、科学オリンピック、ロボコン、プログラミングコンテスト等での受賞歴があれば、高く評価されるかもしれない。
さらに、大阪成蹊大学が独自に実施する奨学金制度も充実している。データサイエンス学部が対象となる制度には、「第2期入学生奨学金」と「成績優秀者特別奨学金」がある。
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大阪成蹊大学独自の奨学金制度(2024年度入試)について
【想定される進路】
データサイエンスはあらゆる業界で求められている
複雑化する消費行動を分析して目標達成に貢献するビジネスの場面や、データベースに蓄積された膨大なデータをもとに人々の生活を支えるAIサービスなど、データはすでに社会や暮らしを変え始めている。そして、その流れはより一層、加速していくだろう。
「データサイエンス学部の卒業後の進路は業界、業種を問いません。なぜなら、今後、どの企業にもデータの活用が求められるからです。まだ何を専門的に学ぼうか決めかねている生徒の皆さんには、ぜひデータサイエンス学部をおすすめしたいと思います。データサイエンスを学んでおけば、あらゆる分野で応用可能です。データサイエンティストに求められる3つの力のどれを極めていくかによって、卒業後の進路は変化していきますが、キャリアの到達点として目指してほしいのは、CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)やCDO(チーフ・データ・オフィサー)です。組織でデータを扱うトップになってほしいという願いがあります。およそ30年あまりで、トップ企業の顔ぶれがガラッと様変わりしたように、この先30年後の未来も予測できません。新しいものを柔軟に吸収して、新しい価値を見出していく自己学習能力が重要です。大阪成蹊大学データサイエンス学部には、それを養うことができる環境が整っています。人生100年時代において生涯にわたり通用する武器を身につけましょう」
Text by 仲里陽平(minimal)