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【東京工業大学】「データサイエンス・AI全学教育機構」とは? 【東京工業大学】「データサイエンス・AI全学教育機構」とは?

【東京工業大学】「データサイエンス・AI全学教育機構」とは?

東京工業大学

東京工業大学は、専門分野の境界を越えて課題解決・教育指導を行うことのできる「共創型エキスパート」人材を育成するため、2022年度に「データサイエンス・AI全学教育機構」を設置した。「世界最高峰の理工系総合大学」をめざす東京工業大学の取り組みに迫る。

データサイエンス・AIの「共創型エキスパート」人材育成の拠点に

授業風景

東京工業大学は、創立から140年を越える歴史をもつ国立大学であり、2018年3月には指定国立大学法人の指定を受けた理工系総合大学。世界を舞台に科学技術の分野で活躍できる人材の輩出と地球規模で人々の課題を解決する研究成果によって社会に貢献し、「世界最高峰の理工系総合大学」の実現をめざしている。

同学では、2019年度から開始した「データサイエンス・AI大学院全学教育」による大学院修士課程・博士後期課程学生向けの教育を皮切りに、2020年度からは学士課程を対象とした科目も設置し、「データサイエンス・AI全学教育プログラム」を行ってきた。「データサイエンス・AI全学教育機構」は、(1)学士課程から大学院まで一貫した全学教育プログラムの拡大・推進、(2)社会的課題解決能力を身につけるための企業連携、(3)国内外の他大学への授業配信などの連携の、3つの柱を中心とし、2022年12月1日に設置された。

すでに存在する「データサイエンス・AI全学教育プログラム」をさらに発展させ、トップ人材を育成するためのプログラムを確立し、高度なデータサイエンス人工知能教育を国内外の他大学へ展開することで、専門分野の境界を越えて課題解決・教育指導を行う「共創型エキスパート」人材を育成することを目的としている。

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東京工業大学「データサイエンス・AI全学教育機構」

「共創型エキスパート」人材とは?

東京工業大学の考える「共創型エキスパート」人材とは、データサイエンスやAIの高度な専門知識や技術を有するだけでなく、専門分野の境界を越えてイノベーションを創出し、その未来を担う人材育成もできる専門家のこと。所属する学院の専門に依らずに、基盤となる数理・データサイエンス・AIの素養を習得する過程において、学生にはデータサイエンス・AIを(1)「駆使できる理論的な基盤を身につけ」、(2)「専門の境界を越えて多様な人々と交わり」、さらには学んだことを生かして(3)「未来を担う若者を教えられる」トップレベルの人材に成長できるよう取り組んでいる。

「共創型エキスパート」人材とは?

大学院では、エキスパートレベルの科目群を履修するだけではなく、連携企業からのデータサイエンス・AI活用事例の学びや四大学連合(東京工業大・東京医科歯科大・東京外国語大・一橋大)での相互受講といった他大学との連携企業や他大学と連携したプログラムにより、「共創型エキスパート」人材を育成している。

「データサイエンス・AI全学教育」 3つの特長

1 学士課程から大学院まで一貫した全学教育プログラム

①データサイエンス・AIを駆使し、②データサイエンス・AIで交わり、③データサイエンス・AIを教えることのできる「共創型エキスパート」人材の育成をめざす。第1の能力である「データサイエンス・AIを駆使するための理論的基盤」を強化し、第2の能力である「データサイエンス・AIを介して多様な人々と交わる力」を醸成するだけでなく、第3の能力である「データサイエンス・AIを教える力」を身につけるプログラムも設置。これらの3つの能力を備えたトップ人材を育成するために、リテラシーレベル、応用基礎レベル、エキスパートレベルという学士課程から修士、博士課程までを包含する体系化された全学教育を提供している。

体系化された全学教育

2 社会的課題解決能力を身につけるための企業連携

35社以上もの企業が参加する国内最大規模の企業連携コンソーシアムを確立し、社会的課題解決能力の養成を組み込んだ多様な授業科目を展開。
各企業の技術者がオムニバス形式で講義を行う大学院科目『実践AI・データサイエンス』『応用AI・データサイエンス』や、イベント『キャリアフォーラム』『AI・データサイエンスフォーラム』『インターンシップガイダンス』などを開催している。

3 国内外の他大学への授業配信などの連携

文部科学省により選定された「数理・データサイエンス・AI教育の全国展開の推進」拠点校として、他大学の教育支援にも力を注いでいる。英語で行われる一部の大学院授業を海外大学、TAIST(Thailand Advanced Institute of Science and Technology /タイ王国)へ配信していることも特長のひとつだ。

国内外の他大学への授業配信などの連携

3つのレベルの全学教育プログラムを実施

「データサイエンス・AI全学教育機構」では、①リテラシーレベル、②応用基礎レベル、③エキスパートレベルの3つの全学教育プログラムを実施。これは、学士課程から修士、博士課程までを包含する体系化された全学教育となっている。それぞれの教育プログラムについては、修了者に対して電子的な修了証である「オープンバッジ」を半期ごとに発行し、教育を受けた学生であることを速やかに社会に示すための土台がつくられている。

また、同機構が開講する授業はどれも特徴的であると言える。
①リテラシーレベルに含まれる『情報リテラシ第一・第二』『コンピュータサイエンス第一』『基礎データサイエンス・AI』では、数理・データサイエンス・AIの基礎的素養の習得と利活用に関する基本的な能力の獲得をめざす。

②応用基礎レベルには『コンピュータサイエンス第二』『応用基礎データサイエンス・AI第一・第二』が含まれるが、これはリテラシーレベルの素養を基として、より発展的な素養や実践スキルを習得し、エキスパートレベルへと繋げていくことを目標としている。

3つのレベルの全学教育プログラムを実施

大学院修士課程・博士後期課程の学生を対象とする③エキスパートレベルでは、東京工業大学ならではの特徴がある。データサイエンス・AIの理論を学ぶ『基盤系科目群』『発展系科目群』、企業におけるデータサイエンス・AIの活用事例を学ぶ『応用系科目群』『実践系科目群』、最先端の内容に即してデータサイエンス・AIの理論的・倫理的側面を深く学ぶ『先端系科目群』という全く種別の異なる5種類の科目群を提供し、それらを横断的に履修することで、データサイエンス・AIで社会的問題を解決する能力、データサイエンス・AIを他分野とつなげる力、および、データサイエンス・AIを教える能力を養っていく。

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「データサイエンス・AI全学教育プログラム」

約40社の企業がデータサイエンス・AI関連の講義を担当

授業風景

「データサイエンス・AI全学教育機構」は、企業と共同で教育コンソーシアムを形成している。エキスパートレベルの「応用」科目や「実践」科目で、同機構と連携関係にある約40社の企業が講義を担当。これらの講義はいわゆる基盤系の理論的なものとは異なり、産業界の各分野におけるデータサイエンス・AI技術の考え方や活用、また、企業におけるデータサイエンス・AIの実装など応用・実践的な知識や技術を学生が学ぶプログラムとなっている。

その領域も金融系、素材系、製薬系、IT系、建築系、電子機器系、重工業系、自動車系など、幅広い分野にわたっており、いずれの講義も第一線で活躍している研究・技術者たちが、世の中の激しい変化を生き抜く視点で実施している。「データサイエンスや人工知能への興味が拡がった」、「自身の研究と実際に企業で行われていることの関係性が理解できた」など、受講生からのフィードバックも多くある。

また、企業からの教育プログラムの提供だけでなく、同機構が開講している科目を企業に提供するリカレント教育や、受講生の今後のキャリア設計に役立ててもらうことを目的として、企業と直接交流できる意見交換会「AI・データサイエンス フォーラム」などを実施することで、同学と企業とが互いに協力しあう体制を構築している。

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「データサイエンス・AI全学教育機構」の企業連携

【受験生へのメッセージ】
データサイエンス・AIは新たな可能性を切り拓く!

データサイエンス・AIは、あらゆる業界、研究分野で応用可能。そのため、「データサイエンス・AI全学教育機構」で専門的なスキルを身につけることができれば、新たな価値の創出やビジネス上の課題解決にも役立つはず。最後に、データサイエンス・AI全学教育機構長から、受験生へのメッセージをいただいた。

「データサイエンスとAIは未来を形づける鍵です。データは私たちの生活のあらゆる側面に関与し、AIは新たな可能性を切り拓きます。これらのスキルを修得することで、さまざまな分野の専門家と協力し、社会的な課題に対処する手段を身につけることができます。例えば、ビジネス戦略の策定、医療診断、環境保護など、AIとデータサイエンスは持続可能な未来への道を拓く助けとなります。データを分析し、パターンを発見する能力は、問題解決の鍵となり、効率性を高めてくれるはずです。高校生の皆さん、われわれと共に学びましょう」

Text by 丸茂健一(minimal)

UNIVERSITY INFO

東京工業大学
TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY
「世界最高峰の理工系総合大学」をめざす
東京工業大学
「世界最高峰の理工系総合大学」をめざす

トップ人材育成をめざし「データサイエンス・AI全学教育機構」を設置

創立から140年を越える歴史をもつ国立大学であり、2018年3月には指定国立大学法人の指定を受けた理工系総合大学。世界を舞台に科学技術の分野で活躍できる人材の輩出と地球規模で人々の課題を解決する研究成果によって社会に貢献し、「世界最高峰の理工系総合大学」の実現をめざしている。2022年度には、「データサイエンス・AI全学教育機構」を設置し、データサイエンス・AIにおけるトップ人材の育成を行っている。

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