気象予報士の仕事内容と学べる大学
気象予報士の仕事内容
気象予報士の仕事は、気象庁から提供されたアメダス、気象衛星、気象レーダー、気象台などの観測データをもとに、独自で天気予報を行うこと。予想した天気、気温、湿度、降水確率などを提供して、人々の生活に役立てている。特に、リゾート地などの天候の変化によって大きく影響を受ける場所に情報を提供することは重要な仕事だ。
また、農林水産業や交通機関、流通・販売業やイベント業種など様々な産業分野においても大きく役立っている。これらの企業は天気予報をもとに商品の需要を考えたり、生産量を調整したりする。
伝えることも気象予報士の仕事のひとつ。放送業界に就職すると、お天気キャスターが読む原稿を書き、最近では自らがお天気キャスターとなって視聴者に天気の解説をする人もいる。春に桜の開花情報を予想する仕事も気象予報士が担っている。
気象予報士の年収や勤務先は?
気象予報士の勤務先は主に気象庁、気象会社、放送業界の3つがある。放送業界では前述の通り、お天気キャスターが読む原稿を書いたり、自分自身がテレビに出演して、天気の解説をしたりすることもある。民間の気象会社では、テレビやラジオで放送される原稿を作成し、放送局に送る。気象予報士の平均的な月給は30〜40万円、年収で600万円前後と言われている。
民間の気象会社に新卒で就職した場合は初任給月18万〜22万円で、経験に応じてアップしていく。就職先によってそれぞれ違うが、特に放送業界は給料が高い。気象庁に入ると国家公務員として扱われるので、給料は安定しているだろう。
気象予報士の勤務先として代表的なものは以下の通り。
- 気象庁
- 気象会社
- テレビ局
- 芸能事務所(お天気キャスターとして登録)
気象予報士になるには?
気象予報士に必要な資格
「気象予報士」の国家資格が必要になる。合格率は4〜6%と低く、社会保険労務士や一級建築士と並ぶ難関資格である。受験資格は年齢、経歴、性別に制限はなく、すべての人が受験可能だ。
試験には学科と実技がある。学科試験は多肢選択式で、「予報業務に関する一般知識」(大気の構造、大気の熱力学、降水過程、大気の力学、気象現象、気候の変動、気象業務法その他の気象業務に関する法規など)と、「予報業務に関する専門知識」(数値予報、短期予報・中期予報、長期予報、局地予報、短時間予報、気象災害など)の2科目。
実技試験は記述式で、「気象概況及びその変動の把握」、「局地的な気象の予報」、「台風等緊急時における対応」の3科目。気象予報士試験に合格した人が気象予報士になるには、気象庁長官の登録を受ける必要がある。
気象予報士に必要なスキル
観測データを解析することが気象予報士の主な仕事であるため、観察力や注意力、論理的な思考力を持っていることが求められるだろう。加えて、膨大な量のデータを読み取り、顧客のニーズに合わせて情報を処理しなければならないため、数字や図表をしっかりと解読できる数学や物理が得意な人が向いているだろう。
最近は、気象予報にAIの機械学習などを活用するケースも増えている。データ分析やプログラミングの基礎知識があれば、強みになるかもしれない。
気象予報士を目指せる大学・学部・学科
気象予報士の資格試験には一般教養レベルの数学と物理学の問題が出題される。大学では地球科学や環境学について学べる理学部や農学部に進学するのがいいだろう。特に、気象とのつながりが深い地学や地球科学などの自然科学分野を学べる学科を選ぶと学びが将来に直結する。
Illustration by カヤヒロヤ