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【東洋大学INIAD】実習で学んだ「連携」の経験が企業の仕事でも役立っています! 【東洋大学INIAD】実習で学んだ「連携」の経験が企業の仕事でも役立っています!

【東洋大学INIAD】実習で学んだ「連携」の経験が企業の仕事でも役立っています!

梶田翔さん
梶田 翔 さん
KAJITA Sho
東洋大学
情報連携学部(INIAD)2023年度卒業
食品メーカー勤務

東洋大学情報連携学部(INIAD)では、データサイエンスと多様な学問分野を連携させた独自の学びを展開している。「文・芸・理」の融合領域を学んで卒業した先輩たちは、IT業界だけでなく、金融、コンサルティング、メーカーなど幅広い業界で活躍している。食品メーカーでDX推進の業務にあたる卒業生の梶田翔さんに4年間の学びについて聞いた。

デジタル技術を用いて業務改善を推進する仕事

——現在の仕事内容について教えてください。

梶田翔さん

2023年3月に東洋大学情報連携学部(INIAD)を卒業して、現在は食品メーカーでDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進の仕事をしています。DXとは、デジタル技術を用いて業務改革することと考えていいでしょう。メインとなる仕事は、営業支援システムの開発です。食品メーカーは自社の商品を全国のスーパーや飲食チェーンに販売します。その営業活動を効率化するためのシステムを開発するわけです。

具体的な業務は、まさにデジタルに関する仕事全般です。顧客や売上に関するデータ分析からシステム開発まで自ら担当します。最近は、営業支援システムに関わるデータベース構築をしています。営業担当の社員の皆さんからヒアリングをして、システムの機能を考えるプロセスにおいて、INIADの「情報連携チーム実習」(後述)で学んだことがそのまま役立っています。

プログラミング経験ゼロからの学生生活スタート

——INIADを目指したきっかけを教えてください。

INIADを目指したきっかけ

もともとは、航空・宇宙の分野に興味があり、機械工学科に進学したいと考えていました。しかし、いざ受験の時期になると情報工学やデータサイエンスの分野も面白そうだなと思うようになり……。迷っていたときに知ったのが、データサイエンスと多分野の融合領域を幅広く学べるINIADのカリキュラムでした。ここなら情報系の基礎技術を身につけながら、面白い学びのテーマを探せるのではないかと思い、受験することにしました。

高校時代は、理系進学クラスに在籍していたものの情報系の知識は、高校の情報の授業を受けたレベル。具体的には、HTMLを使ってWebサイトのテキストを更新することくらいしかできませんでした。Pythonなどプログラミングの経験もなく、まったくのゼロから情報連携の学びをスタートしました。

——入学後は、どのような授業がありましたか?

1年次は数学、統計学、コンピュータ・サイエンスの基礎を幅広く学んでいきます。Pythonを使ったプログラミングやネットワークセキュリティ、データ分析の基礎にあたる科目もありました。そして、2年次からコースに分かれて専門的な知識を深めていきます。現在の専門科目でいうと「データサイエンス」と「ビジネス構築」の科目群を履修して、ビッグデータのビジネス応用をメインテーマとして学んでいきました。

INIADでの4年間

印象に残っている授業は、「統計とデータ分析I,II(現:データサイエンス基礎)」です。統計学の手法を用いて、さまざまなデータをどのように解析・評価するべきかを、講義と演習を組み合わせた形式で学びます。ここでPythonを使った回帰分析など、本格的なデータサイエンスの手法を初めて経験しました。

統計とデータ分析
統計とデータ分析

そして、3年次からINIADの看板ともいえる「情報連携チーム実習」が始まります。これは異なるコースの学生とチームを組んで、課題解決を行う実習形式の授業です。その年の課題テーマは、「デジタルデバイド(デジタル格差)」。問題を自分たちで設定し、それをチームで共有し、さまざまな視点を持ち寄って解決する方法を模索します。

強みが異なる仲間と協力して防災アプリを開発

——「情報連携チーム実習」では、どのようなテーマに挑戦しましたか?

情報連携チーム実習

私たちのチームが選んだテーマは「防災」。いくつか考案したソリューションの中の一つとして、「デジタルデバイド」に起因する高齢者の被災を解消するためのアプリを開発したいと考えました。アプリの名称は「かんたん防災」。スマホで動く高齢者向けの防災アプリです。1年に渡る実習を通して、競合分析を行い、アプリの機能やデザインを設計、実際にエンジニアチームがアプリの開発も行いました。機能としては、気象庁が提供する災害情報と連携させて、地震などの災害が起こった際にアラートを発信して、最寄りの避難所までの経路を表示します。このアプリを大学祭で公開し、計74名のアンケート回答を得て、さらに改善を加えました。

情報連携チーム実習」で開発したアプリ「かんたん防災」
「情報連携チーム実習」で開発したアプリ「かんたん防災」
アプリ開発では高齢者も見やすいデザインにこだわった
アプリ開発では高齢者も見やすいデザインにこだわった

「情報連携チーム実習」を通じて、学んだのは同じ学部でも選んだコース次第で考え方が大きく違うということ。具体的には、デザインやシステム開発の担当者は、自分がいいと思う画面表示や操作性にこだわるのに対し、ビジネスやデータサイエンスの担当者は、ファクトベースで対象にとって必要な機能を提案します。例えば、どれだけ便利な機能やデザインでも、本当にユーザーが求めているかはわからないのが現実ですよね。異なる意見をまとめるのは大変でしたが、これはアイデアを形にする上で非常に重要なことで、アプリが完成したときは大きなやりがいを感じました。

「情報連携チーム実習」でのミーティングの様子
「情報連携チーム実習」でのミーティングの様子

機械学習のツールを用いて航空写真から階段を検出

——「情報連携チーム実習」が終わると次は「卒業研究」ですね!

INIADでは、4年次から正式に研究室に所属し、専門科目を履修しながら、卒業研究に取り組むことになります。私は、現在のINIAD学部長でもある中村周吾教授の研究室に所属し、「歩行空間ネットワークデータ作成のための航空写真を用いた階段の検出に関する研究」に取り組みました。

これは、バリアフリーに対応した歩行経路案内を実現するための方法をデータサイエンスを用いて模索する研究です。このテーマに興味を持ったのは、3年次の「情報連携チーム実習」がきっかけです。高齢者向けの避難経路案内をつくるにあたり、バリアフリー対応のデータがまったく揃っていないことに気づいたのです。

国土交通省が「歩行空間ネットワークデータ」をオープンデータとして公開しているのですが、まだまだ使えるエリアは主要駅周辺などに限られます。課題は、データ収集のコストです。そこで公開されている航空写真データから階段などの障害物を自動検出するシステムを構築して、バリアフリー対応に貢献できないかと考えました。

航空写真を用いた階段検出に関しては、マルタ島で先行研究があり、その手法を参考にしました。具体的には、物体検出に特化したYOLOやReDetと呼ばれる機械学習の技術を用いて、試行錯誤を繰り返し、精度向上を目指しました。最終的には、異なる機械学習モデルをどう組み合わせると効率的に学習できるかなどの知見も得ることができ、無事卒業論文として仕上げることができました。プログラミング経験ゼロだった自分が機械学習やディープラーニングの技術まで使いこなせるようになったのは、間違いなくINIADの実践的な学びのおかげです。

機械学習を用いた航空写真データからの「階段」検出の例
機械学習を用いた航空写真データからの「階段」検出の例

INIAD独自の「企業マッチング制度」で現在の勤務先と出会う

——就職活動はどのタイミングからスタートしましたか?

勉強と同時に就職活動も積極的に行っていました。3年次夏のインターンシップに向けた準備を5月くらいからスタート。IT企業を中心に3社でインターンシップを経験し、データ分析やDX推進の仕事をやりたいという気持ちが強くなりました。企業の現場を見て思ったのは、「想像以上にITを使いこなせていない現場が多い」ということ。自分が学んできたことが大きな価値になるという自信を得ることができました。

現在の勤務先は、INIAD独自の「企業マッチング制度」で知りました。もともとIT企業への就職を志望していたので、メーカーという選択肢があることをここで認識しましたね。そこで3年1月に一次面接を受け、社員の方と話すなかでカルチャーが合いそうだと確信し、3月に内定をいただくことができました。大学で学んできたことをしっかり評価してもらうことができ、自分としても満足のいく就職ができたと思っています。

「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえる人になりたい

——改めてINIADで学んだことは何だと思いますか?

就職活動はどのタイミング

INIADで学んだのは、ひと言でいうと「連携」なんだと思います。コンピュータ・サイエンスとビジネスの連携、データと人の連携、人と人の連携……と「連携」を意識しながら過ごした4年間でしたね。まさに学部のコンセプト通りの学びを思う存分吸収したことになります。

社会に出て思うのは、やはりコミュニケーションが大切だということ。現在、開発を担当している営業支援システムも実際に営業担当の皆さんに使ってもらえなければ意味がありません。そこで、ミーティングを通して、現場のニーズを引き出し、機能に反映させていく必要があります。これは、まさに「情報連携チーム実習」で、体験ユーザーの声を聞いて、機能改善に反映したプロセスと同じです。今後は、生成AIがプログラミングを代行してくれる時代が来るかもしれません。ただ、どんなに技術が進歩しても機能を発想するのは、人間の役割で、そこにはコミュニケーションが不可欠だと実感しています。

——最後に、現在のお仕事における将来の目標を教えてください。

INIADで学んだこと

社内のさまざまな業務をデジタル技術によって変えていける人材になりたいですね。「梶田がやってくれた機能は便利だ」と認識してもらえるようになるのが目標です。あと、技術力はもちろんですが、人間としての魅力も手に入れたいですね。やはり部門のTOPにあたる先輩は、「この人から学びたい」と思わせる雰囲気があります。「DX推進」を強みとしながら、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるような社会人でありたいと思います。

※掲載情報は、2024年5月時点のものです。

Text & Photo by 丸茂健一(minimal)

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