高校の共通必履修科目に「情報Ⅰ」が導入された

AI・プログラミングに代表される「情報」教育の注目度の高まりを受け、高校の教育現場にも動きが出ている。まず、新学習指導要領のもと、2022年4月から高校の共通必履修科目として「情報Ⅰ」が導入された。これは、情報学のほか、情報ネットワーク、コンピュータサイエンスなどの分野も範囲に含まれる。そして、再来年にあたる2025年1月実施の「大学入学共通テスト（以下、共通テスト）」から新たな出題科目として「情報Ⅰ」が加わることも何かと話題だ。

高校の現場においても情報科の担当教員以外は、なかなか知る機会がない「情報」の授業や新試験「情報Ⅰ」について、代々木ゼミナール教育事業管理本部の佐藤雄太郎本部長に詳しく解説してもらった。

「あまり知られていませんが、高校では現行の課程（現在の3年生までの課程）のなかで、これまでも『社会と情報』『情報の科学』という科目があり、情報科の生徒はいずれか1科目を履修する必要がありました。『社会と情報』は主に情報リテラシーについて、『情報の科学』はプログラミングやネットワークまで幅広く学ぶ内容でした。その両者の単元をいずれも履修できるようにした科目が『情報Ⅰ』となります。共通テストの『情報Ⅰ』は、この科目の内容が出題範囲となります。試験時間60分の100点満点で、コンピュータの仕組みやプログラミングの幅広い知識・技術の理解度を問われます」

「情報Ⅰ」のサンプル問題はいつでもダウンロード可能

共通テスト「情報Ⅰ」の実施状況も続々と明らかになっている。2025年度の共通テストでは、すでに4年制の国公立176大学のうち、国立大学では北海道大学、香川大学、徳島大学が「情報Ⅰ」を「配点しない」と決めている（2022年度時点）。共通テストを運営する独立行政法人大学入試センターは、すでに「情報Ⅰ」のサンプル問題を公式サイト上に公開しており、誰でもダウンロードすることができる。気になる受験生は、早めに挑戦してみるといいだろう。

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大学入試センター　令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題など

「試作問題は大問3題構成の全11問で、選択式ながら思考力や判断力が問われる問題になっています。つまり、共通テストの他の科目と同様、しっかり問題を読んで理解する力が求められます。また、プログラミングの問題では、『共通テスト手順記述標準言語』と呼ばれる独自のプログラミング言語が使われています。C言語やPythonなどのプログラミング言語を学んでいれば、理解できる言語ですが、共通テストを受験するつもりならば、独自の対策は必要になるでしょう」

データサイエンス系学部が私立大学でも増加中

一方、私立大学においてもデータサイエンス系学部・学科の新設が相次いでいる。2019年の武蔵野大学データサイエンス学部、2021年の立正大学データサイエンス学部の新設を皮切りに、2023年には亜細亜大学経営学部データサイエンス学科、東京都市大学デザイン・データ科学部が新設されるなど、独自のカラーを打ち出す大学も出てきた。代々木ゼミナールが調べた主なデータサイエンス系学部・学科の実質倍率は下図の通り。すべての大学で、志願者が伸びているとはいえないのが実状だ。

「まだまだ新しい学部・学科で、受験生にとっても保護者にとっても卒業後のイメージが湧きにくいことが考えられます。また、4年間で何を学び、どのようなスキルが身につくかも理解しにくい。大学側も丁寧な情報発信が必要だと思います。ただ、統計学の知識やデジタルツールを扱うスキルが、これから求められることは間違いありません。学ぶ内容の将来性を考えれば、狙い目の学部・学科といえるかもしれません」

代々木ゼミナールでは、共通テストを見据えた「情報Ⅰ」の対策講座が用意されている。詳しくは、代々木ゼミナールのWebサイトで確認を。

取材協力

代々木ゼミナール
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代々木ゼミナールWebサイト

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今すぐチャレンジ！ 高等学校情報科「情報Ⅰ」クイズ

2025年1月実施の「2025年度 大学入学共通テスト」から新たな出題科目「情報Ⅰ」がスタートします。そこで、「データサイエンス百景」編集部では、受験に役立つ「情報Ⅰ」クイズを作成しました。
あなたは何問正解できる？