【横浜市立大学】「数理モデル学」と「データサイエンス」で生命現象や医学の謎に挑む!
横浜市立大学データサイエンス学部
中村直俊研究室

データサイエンス学部
中村直俊研究室
専門:数理データ解析
AI・データサイエンス系大学・学部の研究室では、どのような研究が行われている? 医療分野とデータサイエンスを融合した研究領域に注目が集まっている。横浜市立大学データサイエンス学部の中村直俊研究室では、「数理モデル学」と「データ駆動型解析」の知見を用いて、生命現象や医学の謎を解き明かす研究に取り組んでいる。自らも医学博士である中村直俊教授に研究の魅力や将来の目標について聞いた。
身近な生命現象は「数」や「式」で説明できる!?
「病気のリスクや体の中で起こる現象には、実は『数』や『式』で説明できることがたくさんあります。私たちの研究室では、数学やデータの力を使って、生命現象や医学の謎を解き明かす研究に取り組んでいます」
そう語るのは、横浜市立大学データサイエンス学部の中村直俊教授だ。専門は、生命科学・医学分野の数理データ解析。生命科学の研究者や臨床医学の研究者とコラボレーションをしながら、データ解析を通して新たな発見につなげることを目指している。

「近年行った研究の一例としては、『新型コロナワクチンを接種した人がブレークスルー感染(※)をするリスクの予測』があります。コロナワクチン接種後の免疫(抗体価)の動態を数理モデルと機械学習で『層別化』し、免疫が持続しやすい人と持続しにくい人がいることを明らかにしました。こうした分析が進めば、リスクが高い人から優先的にワクチンを届けることができるようになります」
※ワクチン接種をした人が、免疫の壁を超えて、ウイルスに感染すること
この研究では、2021年4月から2022年11月にかけて、福島県在住の2,526名を対象に、基本的な人口統計情報および健康情報に加え、抗体価を含んだ各種免疫応答に関するデータを収集し、独自の手法で解析を行った。「層別化」とは、調査対象のデータから特徴を読み取り、グループ分けすること。ここでは、抗体価の数値から対象を「耐久型」「平均型」「急速低下型」「脆弱型」の4グループに分け、再感染のリスクが高いグループを「見える化」した。
「医療×データサイエンス」の融合領域
中村教授が得意とするのは、「数理モデル駆動型解析(数理モデルをベースとした解析)」と「データ駆動型解析(統計や機械学習などのデータ解析)」を組み合わせた解析手法だ。数理モデルとデータサイエンスが相互補完的に働くことで、現象を精密に把握し、予測することが可能になる。この手法を用いて、自らのバックグラウンドである生命科学・医学の領域に挑む。まさに、横浜市立大学が得意とする「医療×データサイエンス」の融合領域の研究といえる。

研究対象としては、細胞や個人の性質の不均一性(ばらつき、個性)の理解に興味があると語る中村教授。これまで均一に見えていた対象に対して、機械学習などを用いた「層別化」の処理を行うことで、新たなメカニズムが見えてくるという。
「体の中の細胞も個々人で少しずつ違いがあります。数理モデルやAIなどを活用したデータ駆動型解析を融合させてこうした不均一性を解析する、新しい手法を開発しています。このような手法を身につけることで、未来の可能性を『見える化』し、最適な判断をする材料を手に入れることができるでしょう」
科学の使命は「未来の可能性を可視化すること」
医学部出身で、医学博士号を持ちながら現在は、データサイエンス学部で研究に取り組む異色の経歴を持つ中村教授。細胞のはたらきや感染症のしくみなど、異なる生命現象を「数理」という共通した切り口で扱うことができるのがデータサイエンス研究の面白さだと語る。医学部があり、貴重な臨床データも入手できる横浜市立大学データサイエンス学部は、中村教授にとって絶好の研究環境なのだ。
「横浜市立大学に着任して以来、教育体制の充実度には驚かされています。教育カリキュラム全体を見通した細やかなフォローアップ体制や少人数での綿密な指導が受けられるところは他大学にはない強みだと思います。また、理学部・医学部など他学部との交流も盛んで、データサイエンスに不可欠な分野横断的な学びができる体制が整っている点も魅力だと思います」

「未来の可能性を可視化すること」は、科学が人類にできる重要なことの一つだと中村教授は語る。数理モデルは、将来のシナリオの検討を可能にし、判断のための材料を与える。AI時代と言われる今こそ、数理モデルとデータ駆動のアプローチを組み合わせた独自の手法を多くの学生に知ってほしいのだという。
「データって、こんなことにも使えるんだ! そんな驚きや発見と出合えるのがデータサイエンスという学びの大きな魅力です。その面白さを味わいながら、医学や生命現象の謎の解明に一緒に挑める仲間を待っています」
研究室の詳細
中村直俊研究室
数理モデル学(数理モデル駆動型解析)とデータサイエンス(データ駆動型解析)を融合した手法で、生命科学・医学の謎に迫る。生命科学の研究者や臨床医学の研究者とコラボレーションして、データ解析を通して新たな発見につなげること、またそのための解析手法を開発することを目指している。
Text by 丸茂健一(minimal)/Illustration by 高橋由季
横浜市立大学のオープンキャンパスは、3通り。春と冬に来校型を、夏にオンライン形式を開催している。
- 開催日程
- 春のミニ・オープンキャンパス
- 2026年3月26日(木)
- Online Open Campus 2026
データサイエンス学部 - 2026年8月6日(木)
- 冬のミニ・オープンキャンパス
- 2026年12月19日(土)
※ Online Open Campus 2026は、学部・学科により日程が異なる。








