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医学研究者 医学研究者

医学研究者

治療や診断の研究を通して
医学の進歩に貢献する仕事

大学や研究機関で行う医学系の「基礎研究」、臨床医が医療機関で行う「臨床研究」を通して、医学の進歩に貢献するのが医学研究者だ。新たな治療法や診断技術の開発には、データサイエンスの知識がますます求められている。

医学研究者の仕事内容と学べる大学

医学研究者の仕事内容

医学研究者は、研究医として「基礎研究」に携わるパターン、臨床医として「臨床研究」に携わるパターンが一般的だ。臨床医として、患者の治療にあたりながら、専門的な研究を続ける医学研究者もいる。一方、医師免許を持たなくても医学系の基礎研究に携わることはできる。

「基礎研究」は、組織学、解剖学、病理学、分子生物学、遺伝子学、生理・薬理学、免疫学、社会医学(法医学・環境医学・公衆衛生など)、予防医学など多様な知識をベースに進められる。新たな治療の発見や生物のメカニズムを深く理解するために、培養細胞やマウスなどの実験動物を用いた研究も行われる。研究の成果は、論文にまとめ、学会で発表を行う。ときには、国内外の学会へ出向き、見識を深めることも大切になる。

「臨床研究」は、新たな治療法・予防法の有効性の検証、治験(新規薬剤の有効性を調べる)などを目的として、実際の患者を対象に行われる。こちらは、臨床医として治療や診断に従事しながら、研究を行うのが一般的だ。いわゆる「お医者さん」を指す場合には、臨床医であることがほとんどだと言っていいだろう。

「基礎研究」「臨床研究」とも最近は、特定のタンパク質などを対象にしたデータ分析やコンピュータを使った治療のシミュレーションなど、データサイエンスの知識・技術が幅広く活用されている。医学研究者を目指す上でもデータサイエンスの学びは必須といえる。

医学研究者の年収や勤務先は?

医学研究者の平均年収は600〜900万円で、日本の平均年収と比較して、かなり高い水準といえる。30代になれば研究医、臨床医ともに年収1,000万円を超えるのが一般的だという。医師免許を持たない医学系研究者の平均年収も同様と考えていいだろう。

医学研究者の勤務先として代表的なものは以下の通り。

基礎医学研究:
  • 医学系の大学・大学院
  • 医学系研究機関
  • 大学病院
臨床医学研究:
  • 大学病院
  • 総合病院
  • 一般病院
  • 診療所
  • 企業の産業医

医学研究者になるには?

医学研究者に必要な資格

臨床医の場合は、実際の現場で患者さんに接することになるので医師免許が必須になる。研究医も基本的には、医師免許を持つ研究者を指す。一方、医学系の基礎研究者の場合、医師免許は必須ではないが、医学、生理学、生化学などの専門知識は必要になる。

  • 医師免許

医学研究者に必要なスキル

医学研究者は新たな治療法・診断法の開発のために、組織学、解剖学、病理学、分子生物学、遺伝子学、生理・薬理学、免疫学、社会医学など、幅広い知識が必要となる。また、最先端の治療機器・検査機器を使いこなすためのIT知識も必須だろう。

近年はAI機械学習などを活用した治療法や診断法の開発も一般的になっており、データサイエンス系の知識もますます強みになるだろう。また、論文や学会での発表は英語で行われるため、英語を扱う高度な能力も不可欠となる。

もちろん、上記を踏まえた上で、病気やケガで苦しむ多くの人々を助けたいという情熱が何よりも重要になる仕事だ。

医学研究者を目指せる大学・学部・学科

研究医・臨床医を目指す場合には、大学の医学部で6年間学ぶ必要がある。その後、医師国家試験に合格し、研修医として2年間の勤務を経て、晴れて医師になることができる。臨床医として経験を積んだ後、「基礎研究」「臨床研究」に携わっていくのが一般的。なかには、大学院の医学系研究科に進学し、基礎研究に専念する人もいる。

医学系の基礎研究者を目指す場合は、医学部進学は必須ではなく、理工系学部の化学系学科・生物学系学科で、病気の治療や予防医学の基礎研究につながるテーマを探すことができる。最近は「医療」や「医用工学」など、医学研究につながる学びに携われる学科も探せる。農学部、薬学部でも医学研究に携われる学科を設置していることが多い。

また、データサイエンスと医療系の学びは相性がいいことから、「情報」系学部・学科でも医療診断や医療機器開発に携われる研究室を探せる可能性がある。いずれにせよ、本気で研究者を目指すならば、基本的には博士課程まで進むことが条件になるだろう。

Illustration by カヤヒロヤ

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