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【早稲田大学】情報系の学びを力に、大学在学中に起業! 【早稲田大学】情報系の学びを力に、大学在学中に起業!

【早稲田大学】情報系の学びを力に、大学在学中に起業!

二宮 忠志郎 さん
二宮 忠志郎 さん
NINOMIYA Tadashiro
株式会社B-Roca
代表取締役CEO

情報系/データサイエンス系の学びは、どんな未来につながっている? 今回話を聞いたのは、株式会社B-Roca代表取締役CEOの二宮忠志郎さん。早稲田大学在学中に起業し、現在は従業員300名規模以上の中堅・大企業を中心に、生成AIを安全に活用するためのガバナンス体制の構築を支援している。大学で培った知識やスキルをどのように社会で活かし、事業へつなげてきたのか。これまでの歩みと、今後の目標を聞いた。

高校時代の探究からAIへの関心が芽生えた

――情報系の学びに興味を持ったきっかけを教えてください。

高校生の頃から、興味の方向性としては理系でした。数学は比較的得意だった一方、暗記が苦手で、歴史などの文系科目はあまり得意ではなかったんです。プログラミングにも高校生の頃から少し触れていました。私の高校は、先取りして授業を行うことも多く、情報の授業でプログラミングに取り組む機会があり、そこで興味を持ちました。

また、探究学習では、自分で研究テーマを決めて取り組む機会があり、私は情報系のテーマを選びました。

――具体的には、どのような内容ですか?

スマートフォンのカメラで動画を撮影しているとき、スマートフォンを動かすと、画面に映っている対象も動きますよね。そこで、「画面上のピクセルの動きは、現実世界では何センチの移動に当たるのだろう」と考え、三角関数を使って幾何学的に計算してみました。

ただ、ピクセルの動きを追う作業を手動で行うのは非常に大変です。そこで、情報系の学びを活かし、プログラミングを使って効率化しながら取り組みました。

xy座標で捉えて、「この座標とこの座標の関係なら、こう計算できるのではないか」と考えていくような内容です。高度なことをしていたわけではありませんが、現実世界の現象を数学的にモデル化して結び付けていけるのが、面白かったですね。

――その経験が、大学での進路にもつながったのでしょうか。

はい。「手動で点を捉えているけれど、これは絶対に自動化できるだろう」と思っていました。それならAIを使えばいい。そう考えるようになり、AI系の学びができる早稲田大学基幹理工学部に進学しました。

高校時代から、原始的なアルゴリズムを勉強するなど、少しずつ情報系の学びには取り組んでいました。ただ、本格的なアルゴリズムやディープラーニングのモデルを扱うには、GPUなどの計算環境も必要です。当時の高校生のパソコンでは、なかなか難しかった。そのため、大学に進んで、より専門的にAIや情報系の領域を学びたいと考えていました。

高校時代の探究からAIへの関心が芽生えた

基礎から学び、AIを自分の手で実装する

――実際に大学に進んでみて、いかがでしたか?

1・2年次には行列の計算などを学びながら、「これはどこで使うんだろう」と思うこともありました。しかし、3年次になるとAIや機械学習をテーマにした授業が増え、ディープラーニングをゼロから実装するなかで、それまで学んできた行列の計算が実際に使われる。そこで初めて、「こういうふうにつながるんだ」と実感しました。基礎から一つずつ学んできたことが、AIの仕組みを理解するなかでつながっていく。ワクワクしながら学んでいました。

――研究的な取り組みでは、どのようなことをしていましたか?

私は高校生の頃から筋トレを日課にしていたので、筋トレをテーマに取り組んでいました。例えば、ダンベルカールは腕を動かす角度などによって、負荷がかかる筋肉が変わります。しかし、当時使われていた画像認識のモデルでは、身体の一部の動きを点として追うことはできても、角度まで細かくどのように動いているのかまでは十分に捉えられませんでした。

そこで、ダンベルの両端を判定した上で、その位置関係や動きを捉え、「どのようなフォームで動かしているのか」を分析する仕組みを簡易的に実装しました。高校時代からの興味や関心が、研究的なテーマにつながっていった感じですね。

就職するつもりが、気がついたら休学&起業していた

――そのまま大学院でAIや機械学習などの研究をするのではなく、就職を考えていたんですよね?

筋トレが好きだったので、健康やトレーニングをサポートするような食品メーカーで働きたいと考えていました。実際に就職活動をして、大学4年次の4月には、そうした分野で事業を展開する食品メーカーから内定をいただきました。個人的には、エンジニアとして開発をするというより、事業会社のなかで開発組織と関わり、テクノロジーやソリューションを事業につなぐような仕事がしたいと思っていました。

一方で、入社したらすぐに活躍できるよう、実務経験を積んでおきたいとも考えていました。そこで、AI系のシステムの受託開発を行うIT企業で、インターンを始めました。それまでチームで開発した経験がなく、実際の開発現場について知らなかったので、ITエンジニアとしての実務を経験しておこうと思ったんです。

――具体的には、どのような業務をしていたのでしょうか。

エンジニアとして、実際のシステム開発に携わりました。バックエンドはPython、フロントエンドはTypeScript、インフラはAzureという構成で、フロントエンドからバックエンド、インフラまで、ウェブ開発・システム開発の全体像を経験することができました。

現在ではChatGPTなどの生成AIが、検索した情報をもとに回答を生成することも当たり前になっていますが、インターンをしていた当時は、まだ現在のような生成AIの精度ではありませんでした。そうしたなかで、情報を取得して処理するシステムなども自分たちで実装していました。

かなり幅広い経験をさせてもらいましたし、興味深い案件にもアサインしていただいたので、とてもありがたかったですね。

――かなり濃密なインターンだったのですね。

自分でも驚くくらい、かなり働いていました。週7日でインターンに行くような時期もありましたね。

半年ほど経った頃に、自分がハードに働いて成長していけることに気づいたんです。一方、内定先の内定者懇親会に参加すると、みんな4年次後半なので「卒業旅行をどうするか」といった話をしていました。それ自体は当然のことなのですが、そうした環境の違いを感じるなかで、自分はもっとハードワークして成長していきたいと思うようになりました。

そこで改めて自分の将来を考え、内定を辞退して、大学も休学することにしました。

――そこから、起業という選択肢が出てきたのですか?

インターン先には、仕事に対する意識が高く、これから起業しようとしている人もいました。そうした人たちと話すなかで、起業という選択肢が少しずつ現実的なものとして見えてきたんです。

また、周囲との会話をきっかけに国内のAI研究を牽引する研究室発のAI企業で業務委託として働く機会を得ました。メーカー向けの対話システムの改善に携わり、利用者の反応を推定するモデルを開発して、その結果を応答の生成側に反映させる仕組みをつくりました。モデルの出力をシステム側が次の処理に使う構成で、現在のAIエージェントに紐づく技術を研究開発の目線から学べたことは大きな収穫でした。

そうした経験が重なるなかで、やはり起業しようと考えるようになりました。「思い切って起業した」というより、周囲に起業している人や挑戦しようとしている人が多く、自然とその選択肢に進んでいったという感覚に近いですね。

就職するつもりが、気がついたら休学・起業していた

システムの受託開発から、中堅・大企業のAIガバナンス支援へ

――どのような事業で起業したのですか?

システム開発を一貫して請け負える受託会社として起業しました。最初の案件が決まったタイミングで、IT企業のインターン時代の同期も参加してくれて、一緒に事業を進めていきました。

ただ、1年半ほど事業を続けるなかで、AIのガバナンス体制の構築を支援するほうが、よりニーズがあるのではないかと考えるようになり、徐々に事業の方向性を変えていきました。きっかけの一つは、いくつかの開発案件に携わるなかで、「これまでシステム開発として請け負っていたことも、生成AIを使えばできるようになる」と感じるようになったことです。

もう一つ感じたのは、会社の規模が大きいほど、現場が生成AIを使い始める速さに、社内のルールや管理の仕組みが追いつかないということです。人数が多く、部署が分かれていて、使っているツールの種類も多い。だから、誰がどのAIに何を入力しているのかを、会社として把握しきれなくなる。会社が許可していないAIツールが現場の判断で使われる、いわゆる「シャドーAI」と呼ばれる状態です。

しかも、こうした企業には、すでに情報管理の基準や承認の手順があります。それ自体は整っているのに、生成AIだけがその枠の外で使われてしまう。禁止すれば現場は止まりますし、放置すれば情報が外に出ていきます。

そこで、利用状況を会社として見えるようにして、社内規程をつくり、既存のセキュリティ基準のなかに生成AIを位置づけ直すところまでを支援するようになりました。現在は、従業員300名規模以上の中堅・大企業を主なクライアントとしています。

――AIのガバナンス体制構築を支援する上で、どのようなことを大切にしていますか。

AIは常に進化していて、そのスピードも非常に速い。情報も次々に更新されるので、そうした変化を継続的にキャッチアップしていくことが大切だと考えています。

もう一つは、自分だけですべてを判断しないことです。私は大学在学中に起業しているので、一つの企業に長く勤めた経験はありません。そのぶん、大企業の情報システム部門を長く経験してきた方や、セキュリティの専門家に必ず入ってもらい、現場で実際に運用できる形かどうかを検証したうえで提案しています。判断を一人に寄せない。それ自体を、AIガバナンスを設計するときの進め方として組み込んでいます。

ただ、ルールを整えること自体がゴールではありません。安全に使える状態をつくるのは出発点で、本当に見るべきなのは、そのあと業務がどう変わっていくかだと思っています。

また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の次にはAX(AIトランスフォーメーション)を進めていく、という考え方が一般的にあると思います。それはたしかにそうなのですが、個人的には、AXで終わりではなく、その先にもう一度DXが必要になると考えています。

例えば、AIを導入することで、顧客とのトーク履歴など、これまで以上に多くのデータを取得できるようになったとします。そこで得られたデータを、その後どう活用していくのか。人間が一つひとつ判断して処理していくのではなく、必要に応じてシステムに組み込んでいくことも重要です。

せっかくAIを導入したのに、人が介在する工程が増えて、かえって業務効率が落ちてしまっては意味がありません。AIを導入するだけで終わらせず、その先の業務プロセスやシステムまで含めて設計する。AIのガバナンス体制の構築支援に加えて、そうしたシステム構築まで提案できるようにしていきたいと考えています。

システムの受託開発から、中堅・大企業のAIガバナンス支援へ

情報系の知識やスキルは幅広い業界で求められる

――今後の目標を教えてください。

具体的な数値目標を立てているわけではありませんが、やはり何らかの業界に貢献できる会社にしたいですね。「この会社があったから、この業界が変わった」と言ってもらえるような実績を、自分たちの手でつくれたらうれしいです。

そのためには、企業として一定の規模まで成長させることも必要だと思っています。今後は事業を広げ、会社としての規模も大きくしていきたいです。

――最後に、情報系を学んでいる大学生や、興味がある高校生にメッセージをお願いします。

情報系の学びを選んでいる時点で、結構センスがいいと思います。私の大学の同期を見ても、卒業後はIT企業だけでなく、商社や広告、デベロッパーなど、さまざまな業界に進んでいます。情報系の学びは、特定の業界にしか使えないものではありません。

情報系では、情報をどのように扱い、そこから何を見いだし、どのように活用して価値につなげるかを考えます。そうした学びを通じて、課題を整理し、解決策を考える力や、論理的に物事を捉える力も身につくと思います。

これからは、情報系の知識やスキルが、専門職だけに求められるものではなく、社会人として働く上での基本的な素養になっていくと思います。だからこそ、今のうちから愚直に学んでおくことが、きっと将来につながっていくと思います。

情報系の知識やスキルは幅広い業界で求められる

プロフィール

二宮 忠志郎
株式会社B-Roca
代表取締役CEO

早稲田大学基幹理工学部在学中に起業。機械学習モデルの開発から、業務システムへの統合・運用設計まで一貫して手がける。現在は従業員300名規模以上の中堅・大企業を中心に、生成AIの利用規程づくり、社内のAI利用状況の可視化、既存のセキュリティ基準と整合したAIガバナンス体制の構築を支援している。

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株式会社B-Roca

※掲載情報は、2026年10月時点のものです。

Text by 仲里陽平(minimal)

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