ITコンサルタント:IT技術を駆使した提案で企業の経営を支援する仕事
コンサルティング本部
ITコンサルタント
あらゆる業界においてIT活用が推進されるようになった時代。企業にとって心強いパートナーになってくれるのがITコンサルタントだ。アルサーガパートナーズ株式会社のコンサルティング本部に所属する岩本康寛さんに、ITコンサルタントのやりがいや、エンジニアからのキャリアパスについて聞いた。
ITコンサルタントってどんな仕事?
クライアントの課題に応じ柔軟な提案を実施
「コンサル」という言葉はよく耳にするけれど、具体的にどんな仕事をしているのか知らないという人も多いのでは? コンサル、すなわちコンサルタントとは、クライアントから相談を受けて企業の強みや課題を分析し、成長や業績改善に貢献する職業だ。
「ひと口にコンサルタントといっても、総合的な経営課題の解決を担うものから、会計や財務、人材開発などの各分野に特化してアドバイスを実施するものまでさまざま。アルサーガパートナーズでは、IT分野のコンサルタントから開発・運用・保守までを一貫して担っており、そこで『ITコンサルタント』として勤務する私は、主にシステム面からクライアント企業の経営を支援しています」
IT技術によって解決できる課題は多岐にわたる。DX化の促進によって業務を効率化することはもちろん、人材面で困っていることがあれば、採用に関する新しいシステムを開発することもできる。目的に合った提案をするために、クライアントが抱える問題をヒアリングするところからITコンサルタントの仕事は始まるという。
「直近ではとある不動産企業が運営する商業施設についてのコンサルティングに携わりました。当然ながら、最大のミッションはお客さまを増やすこと。そのために、実際に買い物にきたお客さまに関する膨大なデータを可視化するところから担当しました。お客さまの性別や年齢、買い物をした時間帯、住んでいる地域、購買履歴……。戦略を考えるヒントとして、こうしたデータは比較的イメージしやすいかもしれません」
しかし、人々の購買行動を左右する条件は他にもたくさんある。雨が降ったときには何が売れやすいのか、クーポンの発行がどれだけ売り上げにつながったのか、イベントを実施したことで集客は増加したのか。ありとあらゆる視点からデータを分析することによって、より効果的な施策を提案することが可能になるという。
「もちろん、1回だけのフィードバックで劇的に業績が改善されることはありません。日々クライアントと連携しながら、『このデータもあったほうがいい』というようにブラッシュアップを重ねていきます。そのため、クライアントとは長いお付き合いになることが多いですね」
“宝の持ち腐れ”状態のデータや人材に価値を与える
ここまでの話は、ITコンサルタントの仕事の一例に過ぎない。データは蓄積されているが、どう活用するべきかわからずに“宝の持ち腐れ”になっている企業であれば、役に立つ指標(データを可視化したもの)の作成や、データ分析業務を自動化・効率化するツールの導入などを提案する。また、そもそもデータを扱える人材が現場にいないというクライアントであれば、スキルが身につくまでの“伴走”として分析のお手伝いをすることもあるという。
「当社には『営業』という職種がないので、クライアントとの窓口になるのも私たちです。そして、実際にシステムを導入する段階になれば、社内のエンジニアチームと連携しながら開発を進めていきます」
ITコンサルタントに求められる資質とは?
エンジニアからITコンサルタントに転身
岩本さんは大学時代に情報系の学部でプログラミングをはじめとするITの学びに触れ、新卒で大手のSI企業に入社した。システム開発の上流から下流まで知ることができたのは刺激的だったという。当時は医療機関や官公庁など、機密性の高いデータの保守運用に携わっていた。その後、もう少し幅広くデータを扱ってみたいとマーケティング分野の企業に転職。さらに視野を広げてビジネスサイドとも深く関わりたいと考えたことから、アルサーガパートナーズでITコンサルタントとして働く道を選んだ。
「ITコンサルタントの難しいところは、絶対的な正解がないということです。最新の技術を用いるよりも、既存の技術を組み合わせたほうが満足のいく結果になることもあります。何より重要なのは、クライアントの課題を解決するために最適な提案をすることなんです。そのためには、クライアント、そして社内チームとのコミュニケーションが欠かせません。私はエンジニアからITコンサルタントに転身して、そのウェットな人間関係に面白さを感じました。幸い、私にはエンジニアとしての経験があるので、テクニカルな部分についても知識を持っています。エンジニアチームとの連携を重ねて提案したシステムをクライアントに使ってもらい、実際に現場で役立っていると言っていただけたときには大きな達成感を味わうことができますね」
IT業界で自分に合ったキャリアパスを選択できる
もちろん、新卒からITコンサルタントをめざすこともできる。ただ、岩本さんは実体験として、エンジニアからキャリアをスタートしたことが強みになっていると感じている。経験による裏付けがない提案は、机上の空論になってしまうこともよくあるのだと話す。
また、エンジニアになったからといって、必ずITコンサルタントになることが正解だとも岩本さんは思っていない。現場でプログラミングの技術を磨き、開発に携わり続けるというのも十分実現可能なキャリアパスだという。そのなかで、ビジネス分野に興味を持つことがあれば、ITコンサルタントを選択肢として考えればいいのだ。
「若い人からセカンドキャリアとして飛び込んだ人まで、門戸の広いところがエンジニアの魅力です。一方で、ITコンサルタントには熟練の経験を積んだ人が多く、周囲から知識やスキルを吸収しながら働けるところが醍醐味だと考えています。そういう意味では、どちらも楽しめる環境だと思いますね」
ITコンサルタントの未来像とは?
あらゆる分野のビジネスに携われるところが魅力
エンジニアやITコンサルタントをめざす人には、どんな些細なものでもいいので自分でアプリをつくってみてほしいと岩本さんは語る。ひとつ開発するだけでもシステムに関する理解度が深まり、視野が大きく変わってくる。また、可能な範囲でいいので最新の技術にも興味を持ち実際に触れてみるのも大切だという。
さらに、ITコンサルタントには、クライアントや社内のメンバーと円滑に話すためのコミュニケーション能力も求められる。ビジネスとも深く関わることになるので、ニュースなどを見て社会的な課題にもアンテナを張っておくと強みになるだろう。
「たくさんの分野に興味があって、将来の目標が定まらないという学生の方も多いと思います。それは決してネガティブなことではありません。むしろそういう人こそITコンサルティングという仕事に面白さを感じられるのではないでしょうか。というのも、私たちはコンサルティングを通じてあらゆる業界のビジネスと関わることができるからです。買い物が好きな人や音楽が好きな人、医療分野に関心がある人。どんな方にとっても好きな分野との接点が生まれる仕事だと考えています」
IT技術とビジネス、双方の深い知識を持ってクライアントの要求に応えなくてはならないという点で、ITコンサルタントには多くの難しさがある。しかしその反面、人との関わりのなかで大きなやりがいを感じることができるという。今後、IT技術が進化するとともに提案の幅も広がっていくはず。ビジネスの新たな可能性に関心のある人はチャレンジしてみるといいだろう。
【取材協力】
アルサーガパートナーズ株式会社
DX領域において、コンサルティングからシステム開発、運用までを一貫して行う。事業領域は、DXからWebシステム開発、アプリ開発、Webマーケティングまで多岐にわたる。社名のアルサーガパートナーズは、「技術・芸術(=ars)の力で、デジタルの物語(=saga)を、パートナーシップを以て紡いでいく」という意味。“日本のDXを世界で誇れる産業へ”というビジョンのもと、国内生産、国内IT人材の育成に携わることで、社会課題の解決に取り組んでいる。
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アルサーガパートナーズ株式会社
Text by 上垣内舜介(minimal)