データサイエンス百景

未来の解像度を上げるデータサイエンス系大学進学情報サイト

【渋谷のIT社長に聞く!】DXコンサルティングってどんな仕事? 【渋谷のIT社長に聞く!】DXコンサルティングってどんな仕事?

【渋谷のIT社長に聞く!】DXコンサルティングってどんな仕事?

小俣 泰明 さん
小俣 泰明 さん
OMATA Taimei
アルサーガパートナーズ株式会社
代表取締役社長CEO/CTO

AI・データサイエンス分野を学んだ先には、どのような将来が待っている? 進化が加速するIT業界では、ひと昔前には聞いたこともない職種が増えている。そこで、東京・渋谷に本社を構えるアルサーガパートナーズ株式会社の代表取締役社長CEO/CTO小俣泰明さんに、IT業界の最新の仕事内容や職種について聞いてみた。取材には「先輩インタビュー」に登場した慶應義塾大学環境情報学部の杉山丈太郎さんに同行してもらいました!

杉山 丈太郎 さん
話を聞いた人
杉山 丈太郎 さん
SUGIYAMA Jotaro
慶應義塾大学
環境情報学部 2年

——アルサーガパートナーズが取り組む「DXコンサルティング」とは、具体的にどのような仕事なのでしょう?

DXコンサルティング

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略です。つまり、デジタル技術を使って、業務や組織を変革すること。中堅以上の企業には必ず5か年程度の「中期経営計画」というのがあって、今はそこに必ず「IT推進」「DX推進」という目標が掲げられています。その領域の施策を考えて、計画、実行まで支援するのが「DXコンサルティング」の仕事です。

具体的には、大手不動産会社の案件では、その会社が所有するオフィスビルやマンションの管理システムを刷新して、使いやすくするお手伝いなどをしました。ほかにも顧客向けシステム、社内向けシステム、製造工程のシステム、営業支援システムなど、あらゆる領域のITやDXを支援します。システムを開発して導入するだけでなく、DXの成果を中期経営計画の目標達成に直結させるのが私たちのミッションです。

——「IT推進」や「DX推進」を支援する会社はたくさんあるようですが、アルサーガパートナーズの強みはありますか?

コンサルティングからシステム開発・運用まで、一貫して請負える点です。一般的なコンサルティングの仕事は、中期経営計画実現に向けたDXの企画提案、そこに必要な技術の要件定義などを行うことで、システム開発は外部パートナーに任せることが多いです。ただ、それだとコンサルタントが考えた戦略と現場のシステム開発チームができることの間に齟齬が生まれがちです。そこで、アルサーガパートナーズでは、コンサルタントとエンジニアが責任をもって連携して、スピーディに顧客ニーズに対応できる体制をつくっています。このようなアプローチをできる会社は意外と少ないんですよ。

——貴社では、どのような職種の方が働いているのですか?

ITコンサルタント、エンジニア、プロジェクトマネージャー、データサイエンティスト、Webマーケターと呼ばれるような職種の人が働いています。

職種

まず、ITコンサルタントは、DXコンサルタントと呼ばれることもあります。すでにお話ししたような「IT推進」「DX推進」の企画を考え、実行計画を立てる職種です。

エンジニアは、フロントエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニア、アプリエンジニア、AIエンジニア、インフラエンジニア、QAエンジニアなどに細かく分かれています。簡単に説明するとフロントエンドエンジニアは、ITシステムやWebサービスのホーム画面などユーザーが使うフロント側の開発を担当するエンジニアです。逆にサーバーサイドエンジニアは、これらのサービスを動かすサーバーやクラウド環境など裏側の開発を担当します。アプリエンジニアは、iOSやAndroidのアプリ開発を強みとするエンジニア、AIエンジニアはAI機械学習を使った開発を担当します。インフラエンジニアはシステムの基盤となるITインフラの構築を担当し、最後のQAエンジニアは開発したシステムのテストをするのが仕事で、テスターと呼ばれることもあります。

プロジェクトマネージャーは、いわゆる進行管理を担当します。顧客と開発現場のエンジニアをつなぐ橋渡しの役割を担います。プログラミングの基礎的な知識は必要ですが、自らシステム開発をするわけではないので、文系出身の人も多いですね。

データサイエンティストは、各種データ分析を担当するスペシャリストです。さまざまなデータ分析の結果から「IT推進」「DX推進」のヒントを探ります。ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーと密に連携しながら、仕事をすることになります。

最後のWebマーケターは、顧客のWeb集客や自社サイトでの売上を最大化するための施策を考えます。顧客の課題を分析→戦略を立案→実行→分析→改善策の提案を一貫して行います。いわゆるWebマーケティングのエキスパートですね。

ほかにもここで紹介しきれなかった職種がたくさんあります。いずれも新しい職種なので、大学時代から少しずつ調べておくといいと思います。

——小俣社長は、これからのIT業界でどのような人材が求められるとお考えですか?

IT業界でどのような人材が求められる?

「人間らしく生きている人」です。どういうことか? ChatGPTに代表される生成AIが登場して、企業のほとんどの「ルーチンワーク」と呼ばれる仕事はなくなる可能性があります。逆にいうと、毎日頭を使わずにルーチンワークばっかりやっていた人は、“脳筋”が退化してしまって、ロボットと同じ価値しか出せなくなる。それでは人間である意味がないですよね。

つまり重要なのは、毎日頭を使っているか。常に自分で考えて、新たな挑戦を繰り返しているような人を私は、「人間らしく生きている人」と呼んでいます。これは決して難しいことではなくて、例えば、当社で働いているエンジニアのひとりは、ガンダムが好き過ぎて、学生時代にモビルスーツ(メカ)ごとの性能表をつくって、データベース化していたといいます。こういう誰にも頼まれてないのに自ら進んでやってしまう「主体性」が大切で、これが仕事においても活かされるのです。

——こうしたスキルを身につけるために、大学時代はどのような学びに取り組むべきでしょう?

「どうすればいいですか?」という受け身の姿勢ではダメということです。例えば、「データサイエンス百景」を見て、データサイエンティストになりたいと思ったら、Looker Studio(Google)やTableau(Salesforce)といったデータ分析のプラットフォームを自分で構築して、勝手に政府の公開データを分析し始めるくらいじゃないといけません。データ分析なら「R言語」、機械学習なら「Python」などと言いますが、ツールや言語はなんでも構いません。とにかく、やりたいことがあれば、誰に指示されなくても自分でできることを始める姿勢が大切だと思います。

——AIやデータサイエンスの分野に詳しい小俣社長は、5年後、10年後のビジネスの未来をどのように予測していますか?

生成AIの登場で、「検索エンジン」がなくなっているかもしれませんね。多くの人が生成AIのコンシェルジュとコミュニケーションをとって仕事を進める時代が来ると私は思っています。人間の役割は、生成AIが出した提案を判断し、決断すること。生成AIから出てきた提案に責任を持つのが人間の仕事になるでしょう。

その時代には、プログラミングのスキルはさほど重要ではなくなっているかもしれません。それでも生成AIが導き出した情報を理解する知識とスキルは必須です。ITだけでなく、経営学、心理学、生物学、物理学など幅広い教養を身につけて、判断する必要があります。

あとは、利用できるデータの統合が世界的に進むでしょう。特定の情報にアクセスできる企業や組織がますます有利になります。情報格差が広がるということです。このあたりは少し説明が難しいので、大学でデータサイエンスを学んでから、改めて考えてみてください。

——最後にAI・データサイエンス分野に興味のある高校生にメッセージをお願いします。

メッセージ

自分がワクワクすることを究めることが大切です。興味あるものがあるなら、今すぐできることを見つけて、やり切る経験をしてください。先ほども申し上げた通り、今は無料で使えるITツールがたくさんあります。ひと昔前では考えられないような高度なツールを誰でも使える時代です。

Webサイトでもスマホアプリでもいい。友達に見せられるレベルのものをつくり上げて、まわりの評価を受けて、成長するサイクルを回してください。重要なのは、アウトプット(出力)です。自分じゃない人が価値を感じられるものを学生時代につくれたら、それは将来に向けた大きな財産になると思います。

これからの時代、プログラミングを始めるのに、文系も理系もありません。むしろ文系の人のほうがエンジニアに向いているかもしれません。というのもプログラミングとは、機械への命令文なので、つまりコンピュータ言語を使ったコミュニケーションなんですよね。このまま「ノーコード」のツールが進化したら、文系の人が活躍する領域はますます増えると思います。当社でも新卒で営業職に就いた文系出身者が、「やっぱりものづくりをしたい」と転職してきて、エンジニアとして活躍している事例が多数あります。ぜひ先入観を捨てて、「DXコンサルティング」のような新しい時代の仕事にも注目してみてください。

【取材後記】

未来観の解像度の高さに驚いた!
慶應義塾大学 環境情報学部 2年 杉山 丈太郎

【取材後記】

小俣社長が持つ未来観の解像度の高さには、本当に驚かされました。 僕自身、AIの進化の速さを目の当たりにして、未来が予測不可能だと考えていたのですが、小俣社長は明確なビジョンをお持ちで、そのように未来を見据えることができていることに非常に驚きました。
DXの第一線で活躍しているからこその洗練された未来観には、その深い知見と先見の明が感じられました。

さらに、セグウェイで取材に登場したり、インタビュー後の撮影ではさまざまなポーズをとってくれたりなど、小俣社長からはユーモアに溢れる人柄を感じました。 撮影中でも他の社員の方から動画を撮られていたりなど、小俣社長がどれほど社内で親しまれているかが伝わってきました。
小俣社長の明確なビジョンと同時に、気さくで愛される姿には、僕も「この人と一緒に働きたい!」と思わせられました!

また、小俣社長の「人間らしく生きる」という考え方には、僕自身の考えとも合致し、深く共感しました。
好奇心を追求し、趣味や興味に基づいて創造的に活動することの大切さを、改めて感じることができました。

小俣社長のような、未来を見据えながらも社員に愛されるような人になりたいです!

【取材協力】

アルサーガパートナーズ株式会社

DX領域において、コンサルティングからシステム開発、運用までを一貫して行う。事業領域は、DXからWebシステム開発、アプリ開発、Webマーケティングまで多岐にわたる。社名のアルサーガパートナーズは、「技術・芸術(=ars)の力で、デジタルの物語(=saga)を、パートナーシップを以て紡いでいく」という意味。“日本のDXを世界で誇れる産業へ”というビジョンのもと、国内生産、国内IT人材の育成に携わることで、社会課題の解決に取り組んでいる。
詳細はこちら
アルサーガパートナーズ株式会社

Text by 丸茂健一(minimal)

TOP