【みんなの疑問】データサイエンス学部の「総合型選抜」ではどんな課題が出る?<滋賀大学の場合>

データサイエンス百景には、AI・データサイエンス系学部の入試についてさまざまな質問が寄せられます。なかでも関心が高いのが、年内に合否がわかる「総合型選抜」の情報。今回は、2017年に日本で初めて「データサイエンス学部」を設置した滋賀大学データサイエンス学部に注目し、大学入学共通テスト不要の「総合型選抜」について、入試を担当する同学部の佐藤正昭教授に詳しく聞きました。
提供:滋賀大学
データサイエンス学部にも年内に合否が決まる「総合型選抜」がある
滋賀大学データサイエンス学部といえば、日本で初めて「データサイエンス」を冠する学部をつくったことで知られています。同学部では、毎年、通常の前期、後期試験に加えて、総合型選抜を実施しており、総合型選抜Ⅰ【オンライン講座受講型】と総合型選抜Ⅱ【実績評価型】の2方式でも受験が可能です。このうちⅠ型は、大学入学共通テストを課さない方式で、9月に出願し、11月に合否が発表される——つまり国立大学ながら、年内で決着する選抜方式です。Ⅰ型とⅡ型は併願可能です。
【総合型選抜Ⅰ出願期間】2026年9月1日(火)~9月7日(月)
詳細はこちら
滋賀大学入試カレンダー
総合型選抜Ⅰの募集定員は計40名となっています。最大の特徴は、出願に先立ってオンライン講座(MOOC)「高校生のためのデータサイエンス入門」を受講する必要があること。受講自体は無料で、出願しない受験生を含む誰でも視聴できます。今年度(2026年度)もすでにオンライン講座は公開されています。
【受講期間】2026年6月19日(金)~9月25日(金)

オンライン講座で基礎を学び、データ分析に挑戦する
総合型選抜Ⅰの提出書類で最も重要なのは課題レポートです。これは、入門的なデータサイエンスの知識を使って、世の中の課題を自分なりに分析し、レポートとしてまとめる試験になります。そのため、オンライン講座でデータサイエンスの基礎を予め学び、大学から指定される「課題テーマ」に合わせたデータ分析に挑戦します。
昨年のテーマは『物価』。何をどう分析するかは自由で、日本国内の物価が戦後どう推移してきたかを時系列データで調べたり、ハイパーインフレを経験した国との国際比較をしたり……という具合に、切り口は受験生に委ねられています。

「データ分析で得られた結果について考察してくださいという課題です。データから何が見えたか、自分はどう考えたかを述べてもらいます。ただ、調べたデータを並べるだけでなく、データからどのような発見があり、どのような傾向が見えたかを伝えるのがポイントです。普段から社会情勢をどう見ているか、データをどう扱っているかが問われることになりますね」
レポートはA4用紙両面、つまり2ページ程度にまとめます。表やグラフを入れても構いません。字数制限は特に設けられていませんが、分量よりも論理的な構成が重要だといいます。
「私が設定した課題はこれで、こう調べて、結論はこうだという、研究レポートの基本の形になっていることが重要です。夏休み期間を使って家で書けるので、先生や保護者と相談しても構いません。むしろ、いろいろな人とディスカッションしながら、考えを深めてほしいですね。自分で課題を設定し、しっかり調べた成果が問われます」
総合型選抜Ⅰには、定員20名の「女子枠」がある
総合型選抜Ⅰの定員40名は、「一般枠」20名と「女子枠」20名に分かれています。両者の選考プロセスは基本的に同じですが、違うのは調査書の扱いです。一般枠では、志望理由書と課題レポート(合わせて100点)を中心に評価し、調査書は判定の参考にとどめます。一方、女子枠では、これに加えて調査書の「全体の学習成績の状況」(いわゆる評定平均)を50点満点でスコア化し、評価に組み入れます。

「学生の多様性を確保するという観点から、データサイエンスに関心のある女子学生を積極的に受け入れたいという学部の方針を反映した選抜方式です。女子枠は、調査書の点数が加算されるので、高校時代にしっかり勉強してきた生徒に有利な方式になります」
出願資格を満たす女子生徒であれば、どちらか一方を選んで出願することになります。2026年度入試の総合型選抜Ⅰでは、女子生徒の出願者46名のうち、3名が一般枠で、43名が女子枠で出願しました。
「『文系だから』『数学が苦手だから』と尻込みする必要はありません。データサイエンスは必ずしも理系に偏った学問分野ではありません。スポーツ、医療、ビジネスなど、毎年さまざまな興味・関心を持つ学生がデータサイエンス学部に入学しています。ただ、データサイエンスを学ぶうえで、数学を避けて通ることはできません。総合型選抜Ⅰの合格者には、入学前教育として高校数学(数学Ⅰ・Ⅱ・A・B・C)の復習にも取り組んでもらいます」
面接は「課題レポートの口頭試問」の位置づけ
総合型選抜Ⅰの第1次選考(書類選考・総合問題)を通過すると、第2次選考は個人面接です。ここでは、提出した課題レポートや志望理由書の中身について、深掘りされることになります。面接は、対面・オンラインのいずれかを選ぶことができます。
「課題レポートを自分なりに理解して書いていないと、面接で困ることになります。仮に誰かに代筆してもらっていたら、話を聞けばすぐにわかります。どんな問題意識を持ったのか、なぜそう考えたのか、そのデータはどこから持ってきたのか——根拠まで含めて、自分の言葉で説明してもらいます」
逆に言えば、しっかり自分で調べ、考え抜いた人にとっては、面接はアピールの場になります。なお9月に実施される「総合問題」は、データや図表を含む資料を読み、設問に対する論述を行うという内容。資料や設問には、英文や数式を含むことがあります。前年度分の過去問題が公開されているので、対策の手がかりになりそうです。

資料Aの内容は以下からダウンロードして確認を。
2026年度入試「総合問題」
第1志望ならば2度のチャンスを得られる
滋賀大学データサイエンス学部の総合型選抜は、「専願」になります。合格したら入学を確約する必要があります。滋賀大学の試験に合格した場合、他の国公立大学の個別試験を受けても入学許可は得られません。もちろん、総合型選抜が不合格だった場合に備えて、大学入学共通テストに出願することは可能です。つまり、滋賀大学データサイエンス学部を強く志望する受験生にとっては、年内の総合型選抜と、その後の一般選抜とで、2回のチャンスがあることになります。最後に、佐藤先生から受験生に向けたアドバイスをいただきました。
「データを使って社会課題と向き合い、解決のために具体的な提案をできる人材を育成したいと思っています。特別な経歴や資格がなくても、データサイエンスに強い関心があれば大歓迎です。滋賀大学データサイエンス学部は、AI分野と気象分野、ロボット分野と応用数学分野など幅広い研究分野を組み合わせて学べる点も魅力です。入学後も常に学び続ける姿勢を持った受験生の皆さんを待っています」
【先輩体験談】
総合型選抜Ⅰを利用して入学しました!

東京都出身/総合型選抜Ⅰ・女子枠利用
高校1年次から総合型選抜を意識していた
もともと科学技術系の高校に通っており、情報系学部への進学を志望していました。データサイエンス学部という選択肢を知ったのは、担任の先生からのアドバイスがきっかけです。情報学部はモノをつくる、基盤をつくるというイメージでしたが、データサイエンス学部はデータから価値を創造する分野だと聞き、魅力を感じました。そこで進学先を調べ、日本で初めてデータサイエンス学部を設立した滋賀大学を志望しました。
高校の探究活動では、月を観測してスペクトル(光の色のエネルギー分布)を分析する気象分野の研究をしていました。滋賀大学データサイエンス学部には気象を専門とする研究室があり、その点も決め手のひとつになりました。
総合型選抜という存在は、高校1年生の頃から知っていて、探究活動や生徒会の経験を活かせるのではないかと考えていました。その後、進学先を調べるなかで、滋賀大学にも総合型選抜があることを知りました。

課題レポートでは衣服の価格動向を分析
私は、総合型選抜Ⅰ【オンライン講座受講型】の「女子枠(20名)」を利用して入学しました。女子枠は、調査書をベースに50点が加点される仕組みです。高校で取り組んできた学びを評価してもらえるため、一般選抜よりも挑戦しやすいと考えて選びました。Ⅰ型ではMOOCを利用して、事前にオンライン講座を受講する必要があります。ここで、相関係数やクロス集計など、データサイエンスの入門的な内容を学びます。総務省統計局のe-Stat(政府統計)や内閣府のRESAS(地域経済分析システム)といった公的な統計データの扱い方も教わることができます。
総合型選抜Ⅰでは、オンライン講座の内容を踏まえて、課題レポートをA4用紙2枚程度にまとめる試験が課されます。私が受験した2026年度入試のテーマは「物価について」でした。私は衣服の物価に焦点を当てて、データを分析しました。SHEIN、Temuなど海外の通販サイトの影響で衣服が安くなっているのではないか、という仮説を立てて、e-StatやRESASなどの統計データを使って分析しました。具体的には、アパレル業界の売上高や従業員数、家計調査と消費者物価指数、ネットショッピングの普及率と名目支出額、海外からの衣服の輸入量などを調べて、グラフと一緒に自分の見解をまとめました。分析の結果、消費者が「安くなった」と感じる要因はデジタル化で購買の効率が上がったことにあり、実際の衣服の平均価格はむしろ上がっていることが消費者物価指数などから結論付けられました。こうした仮説→データによる検証→考察の流れをレポートに記載します。課題レポートは、出願期日にあたる9月末までの夏休みの期間を使って仕上げました。内容は、高校の先生にも添削してもらいました。
課題レポートのほかに面接試験もあります。時間は15分で、主に課題レポートの内容について聞かれます。「ここはどういう意味ですか?」と詳しい説明を求められるので、自分でデータを分析し、最後まで書き切ったかどうかが問われます。

面接では、志望理由と入学後に何をしたいかも聞かれました。時間が短いので深く掘り下げるというより、基本的なことをしっかり答えられるかが問われた印象です。入学後については、高校時代に気象の研究をしていた経験を活かし、「1年生から参加できる自主ゼミに所属して、気象データの分析に挑戦したい」と伝えました。
高度な数学も先生が丁寧に教えてくれるから安心
無事、データサイエンス学部の1年生になった現在は、解析学の授業に力を入れています。「解析学への招待」という、数学Ⅲの範囲を扱う授業なのですが、一般受験をしてきた人と比べると実力の差を感じて、難しいなと思うこともあります。ただ先生の教え方がうまくて、わからないところを聞くととても丁寧に教えてくれるので安心です。プログラミングの授業では、主にPythonを学んでいます。私は高校時代からC++やRubyを学んでいたので、スムーズに課題に取り組めています。現在は、統計検定2級の取得を目指して勉強中です。また、面接で語った通り、琵琶湖に関する自主ゼミに所属し、空の画像処理の研究をしています。
データサイエンス学部は、「この分野がやりたい」とまだ定まっていない人にも向いていると思います。データ分析を学べば、IT系はもちろん、環境、食品、アパレルなど、さまざまな業界の仕事で応用できます。学ぶなかで、自分に合った将来像を見つけられるのもデータサイエンス学部の魅力だと思います!

Text by 丸茂健一(minimal)/Illustration by emma / PIXTA
UNIVERSITY INFO
Faculty of Data Science
企業と一緒にリアルな社会課題の解決を経験できる
滋賀大学データサイエンス学部では、企業や公的機関と連携した課題解決型のプロジェクト学習を多数展開。学生たちが企業と一緒にリアルな社会課題の解決を経験できる環境が整っている。また、情報学、統計学などデータサイエンスの基盤となる専門分野の教員が多数在籍し、幅広いテーマの研究室を探すことができる。
カテゴリ
国立大学
学部・学科
- 【データサイエンスを学べる学部】
- ■データサイエンス学部/データサイエンス学科
- 【その他の学部】
- ■経済学部 ■教育学部
主な就職実績(2022年度〜2024年度卒業生の実績)
- データサイエンス学部
- 【一般企業】日清食品ホールディングス、関西電力、パナソニック オートモーティブシステムズ、任天堂、京セラコミュニケーションシステム、オムロンソーシアルソリューションズ、トヨタ自動車、Sky、アビームシステムズ、アクセンチュア、大塚商会、みずほリサーチ&テクノロジーズ、サイバーエージェント、富士通、村田製作所、イシダ、ヤンマーホールディングス、セイコーエプソン、日立ソリューションズ・クリエイト、山田コンサルティンググループ、三井住友銀行、滋賀銀行、西日本旅客鉄道、ファーストリテイリング、ファミリーマート、日本航空 ほか
- 【公務員】大阪航空局、大津市役所、京都市役所、滋賀県庁
- 【大学院進学】滋賀大学大学院データサイエンス研究科、東京大学大学院、大阪大学大学院、東京工業大学大学院、京都大学大学院、名古屋大学大学院、奈良先端科学技術大学院大学 ほか
所在地・アクセス
彦根キャンパス(データサイエンス学部)
〒522-8522 滋賀県彦根市馬場1-1-1
JR琵琶湖線「彦根」駅西口より直通バスで約9分
問い合わせ先
経済学部・データサイエンス学部共通事務部
TEL:0749-27-1045
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