【みんなの疑問】AI化が進んでもなくならない仕事は? 逆に需要が増える職業もあるの?
データサイエンス百景Twitterに寄せられた、AI・データサイエンスに関する質問の中で一番多かったのは、「AI化が進んでもなくならない仕事は何か?」というものでした。
今回は、IT業界で長年働いてきた経験を持つ編集部員がお答えします!
AI化が進んでもなくならないと思われる職業を教えてください。
まず思いつくのはAI自体を開発したり、維持運営したりする職業でしょう。ただ、この領域を担えるプロは世界でもそこまで多くなく、この仕事に就くのはかなり難しいかもしれません。
AIを活用する職業についても、AIの性能が上がることで人手が必要な部分は段階的に縮小していくでしょう。ただ、その中でも人間でなければできない領域を担当し、AIを道具として使いこなす職業は残ると思います。
コンピュータやインターネットの登場以前から仕事をしていた人たちも筆算や手書き、連絡などの業務がExcel、Word、eメールなどに置き換わり、より短時間で多くの仕事をこなせるようになりました。AIについても同様で、AIを理解して活用することができれば、多くの職業で必要な人材であり続けることができると思います。
具体的な職業名を挙げるのは難しいですが、AIを使ってより高度な仕事を追究していく職業はなくならないでしょう。
AIによるインパクトを受けやすい職業・受けにくい職業とは?
2023年5月のワシントンポスト記事で、AIによるインパクトを受けやすい職業・受けにくい職業という論文をまとめたものがありました。
影響を受けにくい職業のひとつにダンサーが挙げられています。ダンサーは、人間の動きの範囲内でできる限界を見せることが仕事です。そこから得られる感動は、ロボットでは代替できません。ロボットが人間を上回るダンスを踊っても喜ぶ人は少ないですよね。AIやロボットがよりすごくなっても残るという意味では、将棋の棋士なども同様です。そこには人間同士の能力の限界に挑むドラマがあるのです。
また、建設業・サービス業・第一次産業・運輸業などは影響が少ない職種が多いと言われています。医療職や事務職でも職種によっては影響が少ないと出ています。記事中でいろいろな職業へのインパクト予測がグラフ上にプロットされているので、興味があれば読んでみてください。
詳しくはこちら
Opinion|Type in your job to see how much AI will affect it(英語)
AIによって奪われていく仕事が数多くあると思いますが、反対にこれから新しく生まれる、あるいは需要の増える仕事というのは何でしょうか?
まず思いつくのはAIの運用に関わる職業です。現在の生成AIの背景にある機械学習技術については、機械学習(ML/Machine Learning)の管理運営(Operation)ということでMLOpsという職種名が生まれています。
生成AIについては正答を出すものではなく多数の案を出すものなので、出された回答の正当性を評価したり、有用な回答が出るように調整したりする仕事も増えていくことでしょう。
歴史を振り返れば、一部の進んだ人が活用していた検索エンジンも、今ではほぼすべての人が仕事に活用している現状があります。AIについても、多様な仕事に就く人がAIと協力し、それぞれの仕事を”+AI”のより進んだ仕事に変えて行くことになると思います。
将来の職業で何の仕事が伸びるか気になります
データ処理と人間、AIと人間の橋渡しをする仕事は社会の各所で必要となるのではと思います。
たとえ話になりますが、江戸時代には通訳という職業の人は長崎などごく一部の場所以外にはおらず需要もなかったけれど、幕末から明治にかけて通訳のできる人は、留学した武士の子弟などに限らず漂流した元漁師に至るまで、非常に重宝されるようになりました。
この通訳になった人たち、あるいは自ら外国語を学んで海外と商売をした人たちのように、データやAIがわかる人、データやAIを活用できる人がどのような職場においても伸びる人になる可能性はあるのかなと感じています。
Text by 編集部/Illustration by Turn.around.around / PIXTA