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【関西学院大学】生体信号データ解析で病気の早期発見をサポート 【関西学院大学】生体信号データ解析で病気の早期発見をサポート

【関西学院大学】生体信号データ解析で病気の早期発見をサポート

関西学院大学 医療生体データサイエンス研究室

吉野 公三 教授
吉野 公三 教授
YOSHINO Kohzoh
関西学院大学
生命環境学部 生命医科学科 医工学専攻
医療生体データサイエンス研究室
専門:生体医工学/生体信号解析

AI・データサイエンス系大学・学部の研究室では、どのような研究が行われている? さまざまな分野で活用されているデータサイエンスの知見は、医療分野にも活かされる。関西学院大学生命環境学部生命医科学科医工学専攻の吉野公三教授も生体信号データを解析し、疾患の早期発見に役立てる研究に取り組んでいる。「医療+データサイエンス」の最新研究について聞いた。

データサイエンスを医療分野で役立てる研究

PC

「脳波や心拍数などの生体信号を計測して、人の心と身体の健康を評価する技術を開発しています」

そう語るのは、関西学院大学生命環境学部生命医科学科医工学専攻「医療生体データサイエンス研究室」の吉野公三教授だ。研究室名の通り、データサイエンスを医療分野で役立てるための研究に取り組んでいる。

データサイエンスを医療分野で役立てる研究

吉野教授が研究室で扱う生体信号データは実にさまざまだ。例えば、脳活動を反映する脳波、心臓の活動を反映する心電図、発汗活動を反映する皮膚電気コンダクタンスなどがある。これらのデータは、健康状態や心の状態によって変化する。その変動パターンの中に、心身の健康に関わる重要なサインが潜んでいるという。

パーキンソン病の早期スクリーニング検査技術の開発

最近、特に力を入れているのが、パーキンソン病の早期スクリーニング検査技術の開発だ。パーキンソン病とは、主に高齢者がかかりやすい疾患で、手足が震える、動作が億劫になる、筋肉や関節が硬くなるなどの症状がよく知られている。スクリーニング検査とは、ふるい分け検査のこと。未診断の患者の生体データに疾患に特徴的な傾向が見つかった場合、精密検査へ誘導するための早期検査にあたる。

早期検査にあたる

パーキンソン病は、根治できる治療法がなく、疾患の進行を止める対症療法しかない。詳しくいうと脳内の黒質ドーパミン神経細胞が減少することで起きる病気なので、これを補う薬を飲むことになる。認知症などと同様に、パーキンソン病の治療には、早期発見が何より重要になるといわれている。

「身体に異常が出て自覚できてからでは、パーキンソン病の症状としては、かなり進行しています。そこで、パーキンソン病特有の非運動症状から疾患の傾向を捉えられないかと考えています。具体的には、生体信号データから自律神経障害、睡眠パターンの異常などの傾向を見つけ出し、パーキンソン病のスクリーニング検査に応用できるか検討しています」

睡眠ポリグラフ検査で睡眠時の生体信号を取得

この研究で、吉野教授が着目したのが、睡眠時の生体信号だ。睡眠ポリグラフ検査(PSG)の装置を用いて、脳波や自律神経応答、睡眠中の状態変化などのデータを取得し、これらの時系列データをコンピュータを用いて解析して、パーキンソン病の疾患傾向を明らかにしている。まさにデータサイエンスの研究だ。

コンピュータを用いて解析

実験に使用するのは、共同研究パートナーである医療機関で取得したPSGのデータ。睡眠時無呼吸症候群の患者の診断で使用したものを個人情報が特定できない形式で提供してもらっている。睡眠時無呼吸症候群とパーキンソン病は、少なくない併発率が報告されている。そのため、パーキンソン病の傾向を調べる上でも貴重なデータといえるのだ。

「PSGでは、被験者が睡眠中の約8時間に及ぶ時系列の生体信号データを取得できます。生データのままではなかなか疾患の傾向はつかめません。そこで、時系列解析と機械学習を用いて、パーキンソン病に特徴的な生体信号の変動パターンを抽出し、どの特徴量がスクリーニング検査の基盤になるかを模索しています。流行りのビッグデータ解析というよりは、医療機関から提供された少数かつリアルなスモールデータを最大限に活用するデータ解析になりますね」

睡眠ポリグラフ検査装置

最近、吉野教授の研究室にも睡眠ポリグラフ検査装置が導入され、さらに詳細なデータ取得が可能になった。今後は、睡眠時無呼吸症候群や健常者の睡眠時のデータを取得し、比較分析を進めていく計画だという。

自律神経のモニタリングから生理心理計測,スポーツ生理計測まで

吉野教授率いる「医療生体データサイエンス研究室」の研究テーマは、疾患の診断補助技術開発だけではない。生体信号データを用いて、日常的な心理状態や健康状態を「見える化」する幅広い研究を行っている。その領域は、自律神経のモニタリングからペット癒やし効果やお笑いによるポジティブ感情の可視化や虚偽検出、スポーツ時の生理計測まで実にさまざまだ。

「医療生体データサイエンス研究室」の研究テーマ

「最近は、スマートウォッチはもちろん、生体データを取得できるさまざまなウェアブルデバイスが開発されています。医療分野では、心拍数や脈波や呼吸を計測できるデバイスを備えたイスやベッドなどもあります。当研究室では、こうしたハードウェアにあたるデバイスの開発はできませんが、ここに搭載するソフトウェアの開発は可能です。その点で、研究室の学生たちは、医学や生理学の専門知識だけでなく、データサイエンスやプログラミングなど情報系の知識も身につけられます。研究の目的は、『誰もが健康でイキイキと暮らせる社会づくり』に少しでも貢献すること。日常生活の中で、自然に健康状態を評価できるシステムの基盤技術をここで開発できればと思っています」

吉野教授によれば、医学や生理学の分野とデータサイエンスの融合領域は、今後ますますエキサイティングな研究分野になっていくとのこと。医療系学部への進学を検討している人や医療(生体)と工学部両方とも興味のある人は、関西学院大学生命環境学部生命医科学科の学びや研究内容も調べてみるといいだろう。

研究室の詳細

医療生体データサイエンス研究室

医療とデータサイエンスを融合した研究領域に取り組む研究室。キーワードは、「睡眠」「パーキンソン病」「心疾患」「心理」「生体信号」「データ解析」。さまざまな生体データを解析し、心と体の健康評価技術の開発を目指している。特長は、病院との共同研究による医工連携研究(疾患早期スクリーニング技術開発)を行っていること。研究室でも人間を対象とした生理計測実験を日常的に行っている。
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医療生体データサイエンス研究室

Text by 丸茂健一(minimal)/Illustration by カヤヒロヤ

UNIVERSITY INFO

関西学院大学
KWANSEI GAKUIN UNIVERSITY
「AI活用人材育成プログラム」を日本IBMと共同開発
関西学院大学
「AI活用人材育成プログラム」を日本IBMと共同開発

AI・データサイエンス教育を全学で展開

14学部と大学院14研究科を擁する総合大学である関西学院大学。日本IBMとの共同開発による「AI活用人材育成プログラム」を2017年に立ち上げ、2019年度から全学で開講している。AI・データサイエンスを活用して、新たなビジネスの創出や社会課題を解決できる「AI活用人材」を育成していく。

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