【横浜市立大学】観光、防災、スマートシティ…「メッシュ統計」で世界の課題を解決!
横浜市立大学データサイエンス学部
佐藤彰洋研究室

データサイエンス学部
佐藤彰洋研究室
専門:メッシュ統計、情報科学
AI・データサイエンス系大学・学部の研究室では、どのような研究が行われている? データサイエンスは、昔から地図データや位置情報データと相性がいい研究分野だ。横浜市立大学データサイエンス学部の佐藤彰洋研究室では、人口や建物などの情報を標準化されたマス目で区切って集計する「メッシュ統計」を用いた研究に取り組んでいる。このメッシュ統計を用いたデータ分析手法を全世界に展開することを目指す佐藤彰洋教授の狙いとは?
人口や建物の数をマス目で区切って「見える化」する
「メッシュ」と聞いて何を思い浮かべるだろうか——。網目状の素材を使った洋服? 一部だけカラーを入れたヘアスタイル? メッシュ(MESH)とは、一般的には「網目状に区切られた構造」や「細かく分割された格子」を意味する。このメッシュ構造を用いたデータサイエンスの研究領域があるという。
「私たちの研究室では、人口や建物、天気などの情報を細かいマス目(メッシュ)に区切った地図上で集計し統計化する『メッシュ統計』の研究に取り組んでいます」
そう語るのは横浜市立大学データサイエンス学部の佐藤彰洋教授だ。メッシュ統計とは、日本全国の人や建物の数を約1km四方、500m四方などの標準化されたマス単位で「見える化」する手法のこと。日本では50年以上にわたり都市計画や災害対策などに活用されてきた。その証拠に、総務省統計局の公式サイトにも「地域メッシュ統計」のデータが公開されている。
「メッシュ統計は、簡単に言えば、空間をマス目で区切ってデータを整理する方法です。例えば、該当するマス目の中にどれくらいの人が住んでいるのか、どんな建物があるのかを数値として蓄積していきます。メッシュ統計の最大のメリットは、異なるデータを同じ形で扱えることです。人口データ、衛星画像、気象データなど、本来は形式の異なるデータでもメッシュという共通の単位に揃えることで、重ね合わせて分析することができます。また、行政区分に依存しないという点も重要です。市区町村の境界は時代とともに変わりますが、メッシュ統計は空間が固定されているため、長期的な比較や時系列分析が可能になります」
全世界をメッシュ化する「世界メッシュ統計」構想
佐藤教授によるとメッシュ統計には、大きく5つの使い方があるという。1つ目は人口や建物数など質的データの集計、2つ目は気象などの物理量のシミュレーション、3つ目はカーナビなど空間データの分割処理、4つ目は異なるデータの結合分析、5つ目は時間変化を扱う時空間分析だ。研究室の学生たちが取り組むテーマも観光、防災、交通、まちづくり、医療など実にさまざまだという。
佐藤教授は、日本独自のこの技術を世界に広めようと、「世界メッシュ統計」という新しい構想に取り組んでいる。世界中の都市構造物や交通、気候などのデータをメッシュ化することで、各地域の違いが可視化され、地球規模の課題にもアプローチできるようになる。そこで、膨大な範囲をカバーするコード体系をつくり、「世界メッシュ統計」のデータを分析するための基盤技術「MESHSTATS」を開発し、研究者が使えるように公開している。
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MESHSTATS for Research
「最近では、メッシュ統計をSDGsに応用する研究を行いました。SDGsの目標11『住み続けられるまちづくりを』の指標としてメッシュ統計を用いて、電車やバスへのアクセス効率を数字で評価できるようにしました。
こうした研究は、誰もが暮らしやすい社会をつくるための土台になります」
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SDG11.2.1
『空間情報×データ×数学』で世界の未来に貢献する!
佐藤教授は、「情報科学」の学位取得後、2000年代初頭から大規模データ分析の手法開発に取り組んできた。メッシュ統計という研究テーマと出合ったのは、2013年頃から。その後、京都大学や横浜市立大学でメッシュ統計を用いたさまざまな研究に取り組み、現在に至る。
研究者としての目標は、なんといっても「世界メッシュ統計」の構想を実現し、全世界規模のメッシュ統計を可能にする基盤を構築すること。すでに、ブータンやネパールで、メッシュ統計の導入支援が進められているという。
「AIやコンピューティングパワーの進展により、パターン認識や大規模データ分析の可能性もさらに広がります。私たちは、メッシュ統計の基盤を世界に広めて、さまざまな社会課題の解決に挑みたい。『空間情報×データ×数学』を組み合わせることで、世界の未来に貢献する方法を探っていきたいと考えています」
研究室の詳細
佐藤彰洋研究室
「メッシュ統計」をビッグデータ処理のコア技術と位置づけ、さまざまな研究テーマを取り扱っている。研究テーマは、観光、防災・減災、スマートシティ、感染症対策など多岐にわたる。目標は、世界中の都市構造物や交通、気候などのデータをメッシュ化する「世界メッシュ統計」の構想を実現すること。そのため、メッシュ統計のデータ分析基盤である「MESHSTATS」を独自開発し、運用している。
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佐藤彰洋研究室
Text by 丸茂健一(minimal)/Illustration by 高橋由季
横浜市立大学のオープンキャンパスは、3通り。春と冬に来校型を、夏にオンライン形式を開催している。
- 開催日程
- 春のミニ・オープンキャンパス
- 2026年3月26日(木)
- Online Open Campus 2026
データサイエンス学部 - 2026年8月6日(木)
- 冬のミニ・オープンキャンパス
- 2026年12月19日(土)
※ Online Open Campus 2026は、学部・学科により日程が異なる。







