【立正大学】スポーツデータサイエンス座談会・前編「理論・現場・人をつなぐデータサイエンス教育」
立正大学データサイエンス学部
専門:トレーニング科学、スポーツパフォーマンス分析、チームビルディング

専門:スポーツ統計科学、統計物理学、社会物理学


専門:コーチング、メンタリング、スポーツマネジメント
立正大学データサイエンス学部では、「スポーツ」をテーマにした教育・研究が盛んだ。理論から実践、さらには人間理解に至るまで横断的な学びが展開されている。統計物理学を専門とする成塚拓真先生、トレーニング科学を専門とする永田聡典先生、コーチングを専門とする宮﨑善幸先生に、スポーツデータサイエンス教育の最前線を聞いた。
理論から実践、コーチングまで
――まずは、先生方の専門分野について教えてください。
成塚先生 物理学、特に統計物理学が専門で、サッカーを対象とした研究に取り組んでいます。私の関心は、スポーツという一見ランダムに見える現象の中に、どのような法則性が潜んでいるのかを明らかにすることにあります。例えば、サッカーであれば、選手がどのような行動原理にもとづいて動いているのかを、データを通して読み解いていく。個々のプレーの背後にある構造を探ることが研究の軸です。

永田先生 私はトレーニング科学やスポーツパフォーマンス分析を専門としています。主にスポーツの現場でデータを収集し、それを選手のパフォーマンス向上や怪我の予防にどう活かすかを探究しています。理論を学ぶだけでなく、実際のケーススタディを通して検証していくことを重視しています。

宮﨑先生 私はスポーツコーチング、メンタリング、スポーツマネジメントを専門としています。コーチングにおけるコミュニケーションの方法や、指導者をどのように育成していくかに関心を持って取り組んでいます。

データを集め、分析し、人に伝えるまでを学ぶ
――立正大学データサイエンス学部では、どのような授業が行われているのでしょうか。
成塚先生 データサイエンス学部ですので、まず1年次から2年次にかけて、数学、統計学、プログラミングといった基礎を体系的に学びます。その上で、2年次からは選択科目としてスポーツ分野などの専門領域に進み、3年次以降により発展的な内容へと段階的に取り組んでいきます。
例えば、前期と後期に分かれている「スポーツアナリティクス」の授業があります。前期では、一般公開されているスポーツデータや、企業から提供される大規模データを用い、授業内でテーマを設定して分析を行います。具体的には、100メートル走の1歩ごとの接地データを扱います。足が接地した瞬間に反応するセンサー機器「オプトジャンプ」を用いて取得した、どの位置に接地したのか、どの角度で接地したのかといったデータを利用して、時間変化に伴う加速度を解析します。

また、集団データとしては、サッカーの試合中における選手の位置データを扱います。100メートル走は1次元の直線運動ですが、サッカーの集団データは2次元空間での全選手の位置情報を扱うため、より複雑になります。ここではベクトルなどの数学的知識が不可欠です。多くの学生は入学後に基礎を身につけ、十分に対応できています。
後期では、分析にとどまらず、データ収集そのものも体験していきます。GPSデバイスを装着してデータを取得したり、「ラプソード」という機器を用いて投球の弾道データを計測したりします。データをどのように収集するのかを理解することも、重要な学びの一部になります。

永田先生 私からは、「スポーツパフォーマンス分析」という授業を紹介したいと思います。この授業では、データサイエンスの知識に加え、物理学、運動生理学、関節や筋肉の動きを扱う機能解剖学などの分野を総合的に考慮しながら、パフォーマンスを向上させる方法を理解していきます。授業では、トレーニングルームでの実践も取り入れています。
例えば、ウェイトトレーニング。単純にベンチプレスの重量を60キロ、80キロと増やしていくだけでは、筋肉量は増えても競技パフォーマンスに直結するとは限らないことが科学的に示されています。そこで重要になるのが「挙上速度」です。
物理学で言えば、運動方程式 F=maで表されるように、力は質量だけでなく加速度にも依存します。重さや回数に加えて「どれくらいのスピードで挙げているか」を測定することで、より競技特性に適したトレーニングが可能になります。授業では実際に簡易センサーを装着し、挙上速度を確認しながら、自分に適した負荷を検討していきます。
また、成塚先生もデータ収集の重要性をお話ししていましたが、私も計測精度は重要だと思っています。スプリントを手動のストップウォッチで計測すると、0.2秒程度の誤差が生じることがあります。これは100メートル走で換算すれば約1.4メートルの差になります。アスリートは0.1秒以内を争っているのですから、可能な限り高性能な機器を用いたデータ収集が必要になります。

――たしかに、データを扱う以上、その前提となる計測の正確性が重要になりますね。
宮﨑先生 そう考えると、私の専門であるコーチングは、さらにその前提にある部分を扱う分野だと言えるかもしれません。「コーチング基礎」では、まず自己認識の重要性を学びます。例えば、自分がこれまで小学校、中学校、高校で受けてきたコーチングを漢字1文字で表現してみる。その1文字からさらに言語化を進め、自分が何を大切にしてきたのかを掘り下げていきます。
スポーツにおいて、技術分析やトレーニング理論は数多くあります。しかし、「自分は何を目指しているのか」「どのような強みや弱みを持つ選手なのか」といったことが自分の中ではっきりとしていないと、その後のトレーニングや試合での成果につながっていきません。そのため、コーチングにおいてそういった問いから始めることが大切なのです。コーチングには、質問を通して考えを引き出す方法もあれば、課題を提示して見守る方法もある。「コーチング実践」では、そうした多様なアプローチを実際に体験しながら学んでいきます。ただし、その前提としてまず自分自身を知ることが出発点になります。その過程を通じて、コーチングとは何かを理解していくのです。

永田先生 最終的にスポーツを行うのは人間です。理論を構築し、現場の課題に照らし合わせ、最後にそれをどのように人に伝え、共に取り組んでいくのか。そこまで一貫して学べる点に、立正大学データサイエンス学部の意義があると感じています。
宮﨑先生 データや理論が整っていて、「これをやれば勝てる」と示されたとしても、選手が納得し、自らの意思で取り組まなければ成果には結びつきません。だからこそ、データと理論、そして人間理解を往復する姿勢が不可欠なのだと思います。
※掲載情報は、2026年1月時点のものです。
Text & Photo by データサイエンス百景編集部
この記事は前・後編の「前編」です。「後編」はこちら

【立正大学】スポーツデータサイエンス座談会・後編「スポーツ好きこそデータサイエンス!幅広い学びが専門性を深める」
立正大学データサイエンス学部
立正大学が、2026年も【来校型オープンキャンパス】と【WEBオープンキャンパス】を開催する。
オープンキャンパス情報は、2026年4月下旬に公開予定の特設サイトにて詳しく紹介。お知らせ情報だけでなく、各種説明動画やスペシャル企画も予定されている。
- 来校型
- 2026年6月14日(日)、7月19日(日)、8月15日(土)、8月16日(日)
- 2027年3月14日(日)
- WEBイベントLIVE配信
- 2026年12月13日(日)
UNIVERSITY INFO
Faculty of Data Science
幅広いデータサイエンスの応用を実践的に学ぶ
立正大学データサイエンス学部は、「文理融合型」のカリキュラムで、データサイエンスを広く実社会に応用し、社会のあらゆる現場で新たな価値を生み出す即戦力となるデータサイエンティストを養成することを教育目標としている。金融、マーケティングから観光、スポーツ、政策立案まで、幅広いデータサイエンスの応用を実践的に学ぶことができる。
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- 【データサイエンスを学べる学部】
- ■データサイエンス学部 データサイエンス学科
- 【その他の学部】
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主な就職実績(2024年度卒業者)
- データサイエンス学部
- 【一般企業】富士通/BENEVASE/DYMキャリア/iHack/RIZAPグループ/SBテクノロジー/SOLIZE/spark vision/TDCソフト/アルファテクノロジー/イオングローバルSCM/いすゞ自動車中国四国/オリエンタルモーター/コーンズ・モータース/セコム三重/ニッセイ情報テクノロジー/パーソルクロステクノロジー/パナソニック産機システムズ/バリューコマース/ビートテック ほか
【公務員】警視庁/銚子市役所/上越市役所/寄居町役場
【大学院進学】上智大学大学院 応用データサイエンス学位プログラム/明治大学先端数理科学研究科現象数理学専攻
所在地・アクセス
熊谷キャンパス(データサイエンス学部)
〒360-0194 埼玉県熊谷市万吉1700
熊谷駅(JR高崎線、新幹線、秩父鉄道)南口より国際十王バス立正大学行、立正大学下車
森林公園駅(東武東上線)北口より国際十王バス立正大学行または熊谷駅行、立正大学下車
問い合わせ先
TEL : 048-539-1426
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