【東洋大学 総合情報学部】心理、スポーツからメディアまで!文理融合の情報学
東洋大学総合情報学部
学部長
データサイエンスの応用領域は、自然科学系の分野ばかりではなく、人文・社会科学系の分野も多く含まれる。東洋大学総合情報学部総合情報学科は、「システム情報コース」「心理・スポーツ情報コース」「メディア文化コース」の3コースを設置。「文理融合」の多彩な学びを提供している。加藤千恵子学部長に、総合情報学部の特長や魅力を聞いた。
「文理融合」の1学部1学科3コース
現代社会は、超スマート社会とも言われる「Society5.0」の時代を迎えようとしている。社会の課題解決には、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ロボット、ビッグデータの分析・解析など、最新の情報技術が活用され、新たな価値も次々と創出されていくという。そのような社会では、理系と文系の垣根を越え、新たな学問領域を開拓し、互いの利点や知見を融合させていくことが重要となる。すなわち情報分野を「総合」的に捉えて、多様な分野に活用していくことが必要なのだ。
以上の背景を踏まえ、東洋大学総合情報学部は、「文理融合」をキーワードに、「システム情報コース」「心理・スポーツ情報コース」「メディア文化コース」の3コースを設置。情報を基に、AI・データサイエンス、心理、スポーツ、メディア、アートなど、幅広い分野で活躍できる人材育成をめざしている。
「これからは、理工系分野だけでなく、文系分野でもデータサイエンスの活用が求められます。例えば、心理学には統計やデータサイエンスによる分析が必要不可欠ですし、メディア分野でも映像・画像生成や音声の自動化など情報・AI分野の知見は活かされます。経済学や金融分野においてもデータサイエンスは密接に関係していますし、データサイエンスが活用できない分野はないと言ってもいいと思います」
そう語るのは、東洋大学総合情報学部の加藤千恵子学部長。総合情報学部に所属する学生のおよそ半数は文系の学生であるため、はじめは情報・データサイエンス分野の基礎から学んでいくことになるが、学部における学びとして重視しているのは、どのようにデータサイエンスを活用していくかという「応用」の部分。
「基礎的な数学やプログラミングの知識、ソフトウェアの使い方など、情報・データサイエンスの基本は大切ですが、それをどのように活用していくかを考えることはさらに重要です。自らの興味ある分野にデータサイエンスを応用し、実践的に取り組んでいたら、いつの間にか数理的なスキルも身についていたというのが理想だと考えています。好奇心旺盛に楽しく学んでいくことが大切ですね」
加藤学部長の専門である臨床心理学の分野でも、文字や図形から心理状態を分析・評価する描画解析などにおいて情報・データサイエンスの活用が期待されており、そのような最先端情報技術を駆使した実践的な授業も行われるという。
「心理分野でデータ活用による客観的な評価を行えることは、正確な診断を可能にするだけでなく、類似例を導き出して早期の対処へとつなげていくこともできるはず。スポーツ分野においても、データを活用していくことによって、戦術評価だけでなく、選手のメンタル面やトレーニング計画などにも応用していけるでしょう」
東洋大学総合情報学部 3つの特色
1 ICTスキルを磨き、専門コースへ
総合情報学部の目標は、「情報の創り手・使い手」となること。そのスタートラインに立つため、まずは学部共通の「演習科目」や「総合情報概論」によって、ICT(情報コミュニケーション)の基礎を学ぶ。1年次から専門科目が開講されているため、2年次のコース選択の前に、各コースの専門科目を履修し、コース決定の参考にすることもできる。
2 クラス編成による少人数教育
入学時に10名程度のクラスを編成し、専任教員が学習・生活について適切な指導を行うきめ細やかな少人数教育も総合情報学部の魅力だ。教員との距離が近いことで、情報・データサイエンスの疑問も素早く解消。学びの吸収を手助けする。
3 充実のグローバル化教育
1年次から4年次まで継続的な英語教育や海外の異文化を知る科目群などを通じて、国際人としての素養を身につける。総合情報学部が主催する短期の海外インターンシップなどもあり、欧米からアジアまでさまざまな大学との研究・教育連携の交流も盛ん。英語や中国語の専任教員が常駐する「SUGルーム」では、英語や中国語の学習相談だけでなく、TOEICなどの資格取得支援、留学相談も行っている(詳しくは後述)。
【特徴的なプログラム】
実践的なスキルを身につける産学連携プログラム
総合情報学部では、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4つの教育分野を重点的に強化するSTEM教育を実施。その一環として取り組まれている産学連携プログラムで、実践的なスキルを身につけることができる。
例えば、腹筋などを効率よく鍛える器具「シックスパッド」で有名な株式会社MTGと共同研究を行い、高齢者の健康増進を支援したり、社会貢献事業として少年サッカークラブと連携して、ポジショニングなどのデータを収集・分析し、スポーツをデータで読み取ることの楽しさを普及したりしている。
「総合情報学部の学生自身がデータサイエンスの実践の場として活用するだけでなく、データや数値を扱うことは楽しいなと子どもたちに実感してもらったり、社会に役立てるとはどういうことかを理解してもらったりするプログラムとなっています」
さらに、東洋大学総合情報学部は、情報オリンピックをめざす地域の中学生や高校生に対して、プログラミングなどの指導を行う「レギオ」という社会貢献活動事業(講習会)も行っている。情報・データサイエンスの学びを地域に還元していくこの活動は、10年以上継続して実施されており、大学と地域のつながりが強いのも東洋大学総合情報学部の特長のひとつだ。
【注目すべき施設】
総合情報学部SGUルーム
総合情報学部は、教育活動のグローバル化の一環として、学生向けの外国語スタディや異文化コミュニケーション、学習・留学相談など多岐にわたる支援を行う場として、「総合情報学部SGUルーム」を設置している。
SGUルームは、Super Global University Communication Roomの略称。英語に加えて中国語のネイティブ教員とTA(Teaching Assistant)が常駐している。中国語学習講座を定期的に開催しており、多彩な外国語学習を展開している。また、中国やベトナムをはじめとする多国籍のTAが留学生のキャンパスライフをサポートし、アジア地域における異文化交流・留学生支援にも力を入れている。
TOEICやTOEFL、IELTSなどの語学資格に関する参考書はもちろん、英語の雑誌や文学作品、さらに本場から調達した海外映画が名作から新作まで揃っており、学生への貸し出しも行っている。
【入試制度】
文系型や理系型の入試方法
「文理融合」を掲げる東洋大学総合情報学部は、一般入試において「文系型」と「理系型」を用意。「外国語(英語)」の偏差値換算点を2倍にする英語重視型試験や「数学」の偏差値換算点を2倍にする数学重視型の試験などがある。
「一般入試において、文系であれば数学や物理を、理系であれば国語総合や日本史・世界史を試験対象としない選抜方法を実施。そして、文系型と理系型で定員を同数にしています。そうすることで、総合情報学部に所属する学生の文系と理系の割合をなるべく均等にし、文理融合の体制を意図的につくり出しています。文系と理系の学生が相互に影響を与えながら、学びを深めていけるのが総合情報学部の魅力です」
【想定される進路】
活躍できるフィールドは幅広い!
データサイエンスは、さまざまな業界で応用可能。そのため総合情報学部の卒業後の進路も、IT、保険、銀行、流通、ゲーム、広告、スポーツなど幅広い業界が想定される。
「文理融合を謳う総合情報学部では、入学してからさまざまな分野を学び、自分が熱中できる研究分野を探していくことが可能です。そのため、卒業後の進路も幅広くなっています。プログラミングを極めてIT系企業に就職する学生もいますし、データサイエンスをスポーツ分野に活用して、プロスポーツのコーチになった学生もいます。データサイエンスはさまざまな業界で必要とされています。まず、データサイエンスを学び、それから自分が興味のありそうな業界を模索することもできると思います。ぜひ総合情報学部で自分の熱中できるものを見つけてください」
Text by 仲里陽平(minimal)