

文系・理系問わず!大学のデータサイエンス関連施設を有効活用しよう

データサイエンスの教育が進む近年、さまざまな大学において、文系・理系を問わず学生が利用できるデータサイエンス関連施設の設置が進んでいる。このような施設の役割と設置大学についてまとめてみた。
大学のデータサイエンス関連施設の役割とは?
大学のデータサイエンス関連施設では、主にデータサイエンスに関する研究や教育、企業への活用支援を行っている。
大学ごとにその施設の役割はさまざま。文系・理系を問わず、データサイエンスに関する授業・教材の開発や所属研究者と企業による産学連携への参画など、その大学における教育・研究を行うセンターとして、幅広い役割を担っている。
大学のデータサイエンス関連施設の役割の例はこちら
大学におけるデータサイエンス系の教育強化やそのための大学施設は、来たる「超スマート社会」に向けて必要とされている。
そこで文部科学省によって、「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」の拠点校も選定されている。拠点校では、全国的なモデルとなる標準カリキュラムや教材の作成や、他大学への普及方策の検討などが行われている。
文部科学省「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」の拠点校
- 北海道大学
- 東京大学
- 滋賀大学
- 京都大学
- 大阪大学
- 九州大学
これらの拠点校には、標準的なカリキュラムや教材の作成、全国の大学への展開・普及活動などを行うことで専門人材の専門性の強化や他分野への応用展開の両方を実現し、相乗効果を生み出すことが期待されている。
こうした拠点校としての取り組みに際しても、各大学のデータサイエンス関連施設が地域や分野のセンターとしての機能を求められている。
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文部科学省「大学の数理・データサイエンス教育強化方策について」の公表について
文部科学省「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」の拠点校の選定について
この事業の拠点校に限らず、受験を検討している大学が擁するデータサイエンス関連施設についてもおさえておくと、入学後の学びや研究にも役立つだろう。
東日本の大学のデータサイエンス関連施設
東京大学 数理・情報教育研究センター拠点校
全学教育や文系分野を含むさまざまな分野への展開を行う
文部科学省「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」事業の拠点校である東京大学の数理・情報教育研究センターの目的は、社会における課題抽出、問題解決、価値創造ができる人材の育成。気軽にデータ分析全般の相談や議論ができる場として、データサイエンス・コモンズを学内に設置。また、社会人にもデータサイエンスの普及・啓発活動を展開し、大学間や産業界とのコンソーシアムの形成や、産学連携のコンテストの開催なども行っている。
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東京大学 数理・情報教育研究センター
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一橋大学 大学院経営管理研究科 データ・デザイン研究センター
デザイン思考・デザイン経営と情報学の視点でデザイン・イノベーションを創出
一橋大学大学院経営管理研究科内のデータ・デザイン研究センターは、一橋大学が集積してきたデザイン思考・デザイン経営とビッグデータ・ソーシャルデータ等の情報学の知見を活かした活動を行う学部・研究科横断的な組織。ソーシャル・データサイエンス研究科の研究者や企業なども参加しており、学部横断型の教育プログラムの開発や、「デザイン経営の標準KPI策定」や「プラットフォーマー企業」に関する研究を担っている。
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一橋大学 大学院経営管理研究科 データ・デザイン研究センター
東京科学大学 データサイエンス・AI全学教育機構
共創型エキスパート人材の育成を目指す
東京科学大学データサイエンス・AI全学教育機構は、専門分野の境界を越えて課題解決・教育指導を行うことのできる「共創型エキスパート」人材の育成を目的としている。同機構が実施している教育プログラムは学士課程から修士、大学院までレベル分けされた全学的なもので、学生は自身の関心や習熟度に応じて履修できる。また、企業や他大学との連携や授業教材の一般公開といった、学外との連携も盛んに行われている。
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東京科学大学 データサイエンス・AI全学教育機構
電気通信大学 データ教育センター
AIを創り、AIを使い、AIを超える
電気通信大学データ教育センターでは、データサイエンスやAIの実践的なスキルを備えた人材の育成を目的に、「実践型UECデータサイエンティスト養成プログラム」を学内向けに展開している。また、データサイエンスやAIに関する教科書の刊行、初学者向けの理工系e-learning教材やサイバーセキュリティ教育の普及・展開にも取り組むなど、幅広い活動を行っている。
お茶の水女子大学 文理融合AI・データサイエンスセンター
公平性に満ちたAIやデータサイエンスの実現を目指す
お茶の水女子大学文理融合AI・データサイエンスセンターは、教育部門と研究部門からなる全学的な組織。教育部門は学生向け相談室の設置や数学・統計や機械学習などを行えるソフトウェアの無料提供などで学内にAI・データサイエンスを普及。オンライン教材を開発し、周辺大学への波及も目指している。研究部門は、学内外との共同研究や研究環境の整備を通じ、学生がAIやデータサイエンスを活用しやすい環境づくりを進めている。
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お茶の水女子大学 文理融合AI・データサイエンスセンター
早稲田大学 データ科学センター
専門知識とデータ分析スキルを兼ね備えた実践的な人材を育成
早稲田大学データ科学センターは、早稲田大学のデータサイエンス・AI教育の拠点として総合知・新しい知の創造と複雑でグローバルな社会問題解決を行うことができる人材の育成を目指している。理工系・人文社会系の専門領域で得られた知見と最新のデータサイエンスとの融合を図るプラットフォームを提供。あらゆる分野の学生と教員がデータサイエンスを活用するために集まることで、新たなコラボレーションが生まれている。
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中央大学 AI・データサイエンスセンター
地の利、人の利を生かして産業界や公共機関等と協力
中央大学AI・データサイエンスセンターは、AIやデータサイエンス分野の研究・教育を推進する目的で設立された。文系・理系を問わず情報社会における社会人に必須のリテラシー教育や、在学生対象のデータサイエンス系イベントなどを実施している。また、後楽園キャンパス3号館14階に「産学官連携・社会共創フロア」を設置し、社会人向けセミナーの実施や産学連携の活動も積極的に展開している。
法政大学 データサイエンスセンター
新しい価値を創造し持続可能な社会の構築に寄与する人材を育成
法政大学データサイエンスセンターでは、文系・理系を問わず数理・データサイエンス・AIについて学べる全学部生対象の教育プログラムを実施。プログラムの質の保証も行い、新しい価値を創造し持続可能な社会の構築に寄与する人材を育成している。センターが開講する授業をフルオンデマンド形式として、各キャンパスの学生がいつでもどこでも学べる環境を整備。学生と社会をつなぎ、法政大学が目指す「実践知教育」も推進している。
成城大学 データサイエンス教育研究センター
専門分野の知識とデータサイエンスの視点を兼ね備えた、次世代の社会を担う人材を育成
成城大学データサイエンス教育研究センターでは、学部それぞれの分野の専門知識に加えてデータサイエンスの視点を兼ね備えた、次世代の社会を担う人材を育成している。どの学部の学生もデータサイエンス科目を履修できるよう科目群の管理・運営を行い、規定科目の修了者にはディプロマ認定も実施。データサイエンス関連の正課外ワークショップや研究・教育に関する講演会も行うことで、学内外への知見の共有にも力を入れている。
北海道大学 数理・データサイエンス教育研究センター拠点校
全学生に向けて数理・データサイエンスに関する基礎と実践的な教育を展開
文部科学省「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」事業の拠点校である北海道大学の数理・データサイエンス教育研究センターは、学内では文系・理系を問わず、全学生に向けて数理・データサイエンスに関する基礎および実践的な教育を展開している。学外では、前述の事業の他拠点校とのコンソーシアムだけでなく、道内の7大学とのネットワークも構成。横展開可能な実践的な教育プログラムの実現に向けた検討を進めている。
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北海道大学 数理・データサイエンス教育研究センター
城西大学 数理・データサイエンスセンター
学内の先進的な数理科学の教育・研究の基盤
城西大学数理・データサイエンスセンターでは、学内の先進的な数理科学の教育・研究の基盤としての役割を担うとともに、学部間、また学外の大学などの教育・研究機関や企業との教育・研究の連携・交流の場を構築している。学部生向けには全学部生対象の教育プログラムや科目を提供し、学外へは一般参加可能なシンポジウムや学外との研究・教育交流を促進するセミナーなどを開催することで知見を発信している。
西日本の大学のデータサイエンス関連施設
京都大学国際高等教育院 附属 データ科学イノベーション教育研究センター拠点校
データ科学者を養成し、Society 5.0をトップレベルで支える人材を育成
文部科学省「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」事業の拠点校である京都大学の国際高等教育院 附属データ科学イノベーション教育研究センターの目的は、データ科学者の養成や産業全般で同時進行するSociety 5.0をトップレベルで支える人材の育成。京都大学の学生や教職員、他大学の教職員、企業関係者、社会人を対象に講義やe-learningを実施している。シンポジウム等のイベントも開催し、知の共有と実践の場も提供している。
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京都大学国際高等教育院 附属 データ科学イノベーション教育研究センター
大阪大学 数理・データ科学教育研究センター拠点校
学内外で数理・データサイエンス教育の普及・展開を図る
文部科学省「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」事業の拠点校である大阪大学の数理・データ科学教育研究センターでは、数理・データ科学に関する先駆的な教育プログラムを開発している。在学生に向けて、文系・理系問わず数理・データ科学の基礎と最先端の応用を学ぶことができる文理融合型の多彩なカリキュラムを提供。学外ではコンソーシアムを形成し、数理・データサイエンス教育の全国の大学への普及・展開を図っている。
滋賀大学 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター拠点校
データサイエンスとAIが創る新たな社会を先導する
文部科学省「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」事業の拠点校である滋賀大学のデータサイエンス・AIイノベーション研究推進センターは、研究の社会実装、先端研究の牽引、教育基盤の拡充、高度専門人材の育成を使命としている。130社以上との産官学連携や、高校生・大学生向けのオンライン学習サービス教材の開発、高大連携協定の締結、社会人のための講座開設やデータ関連の人材育成などに取り組んでいる。
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滋賀大学 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター
神戸大学 数理・データサイエンスセンター
データに関わる課題解決や価値創造のためのグローバルデータイノベーション拠点
神戸大学数理・データサイエンスセンターは、データサイエンスに基づいた課題解決や価値創造を可能にするデータイノベーションの拠点を構築している。在学生向けの数理・データサイエンス系授業・プログラムの開発や受講促進に加え、企業向けのデータ人材育成プログラムやセミナーを実施。地域間や高大、産学の連携も積極的に推進し、さらに中高生対象のコンテストや社会人対象のDXに役立つ知識の学び直しの場も提供している。
岡山大学 AI・数理データサイエンスセンター
ビッグデータから新たな価値を創造し、未来を担う人材を育成
岡山大学AI・数理データサイエンスセンターでは、3つの部門が連携してデータ活用を推進している。教育推進部門は、全学的な教育推進のために企画戦略と教育プログラムを開発・改善。研究推進部門は、専門家集団の組織化による研究の効率化と質の向上などを目指している。サービス推進部門は、岡山大学 教育学研究科附属実践データサイエンスセンターの関連部門とともに新型eラーニングや高度人材養成のサービスの開発・提供などを行っている。
広島大学 AI・データイノベーション教育研究センター
AI・DS・ICT教育を開発・普及し、企業との連携による研究力の強化を推進
広島大学AI・データイノベーション教育研究センターは、AI・DS・ICT教育の開発と普及、企業との連携による研究力の強化の推進を目的に設置された。主な取り組みは、AI・データサイエンス・計算科学の基盤研究や、企業・行政機関等との連携・データ分析など。教育対象は在学生と企業、行政機関、社会人で、在学生にはカリキュラム・教材の提供やデータ分析に関する助言などを行い、企業や行政機関、社会人にはセミナーや講座を開催している。
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広島大学 AI・データイノベーション教育研究センター
福知山公立大学 数理・データサイエンスセンター
福知山公立大学と北近畿地域における数理科学・データサイエンスの研究拠点
福知山公立大学数理・データサイエンスセンターは、同大学と北近畿地域における数理科学・データサイエンスの研究拠点として設置された。教育プログラムの実施や数学・統計処理や機械学習などを行えるソフトウェアの無制限使用を可能とするなど、学内の数理・データサイエンスの教育・研究を推進。行政機関や企業との共同研究も行っており、活動を通した地域貢献を目指している。
愛媛大学 データサイエンスセンター
Innovation with Data Science
愛媛大学データサイエンスセンターは、数理・データサイエンス・AI関連の人材育成や学術研究等への実装と利活用と、これらの有機的かつ継続的な発展に積極的に取り組み、愛媛大学の教育研究力の向上や地域の活性化を推進している。在学生向けの教育プログラムの企画・実施や社会と学生の交流の場の提供、高大連携の教育推進といった教育機会の整備・提供や研究プラットフォームの構築、地域企業・自治体との連携活動を行っている。
九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター拠点校
Open Science and Open Education with Open Mind
文部科学省「数理及びデータサイエンスに係る教育強化」事業の拠点校である九州大学の数理・データサイエンス教育研究センターは、“Open Science and Open Education with Open Mind”をスローガンに、データ解析の面白さと重要性を広く伝えるべく活動している。データ解析が苦手な人から得意な人まで、学内の学生・教員のみならず、産業界や他大学の関係者も対象に、講義やイベント、教材開発、カリキュラム整備に取り組んでいる。
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九州大学 数理・データサイエンス教育研究センター
Text by 編集部/Illustration by カヤヒロヤ