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【芝浦工業大学】データ活用で箱根を目指せ!――駅伝競技を研究面から支援する「芝浦工大たすきプロジェクト」 【芝浦工業大学】データ活用で箱根を目指せ!――駅伝競技を研究面から支援する「芝浦工大たすきプロジェクト」

【芝浦工業大学】データ活用で箱根を目指せ!――駅伝競技を研究面から支援する「芝浦工大たすきプロジェクト」

芝浦工業大学

山田 純 学長
山田 純 学長
YAMADA Jun
芝浦工業大学

2027年の箱根駅伝出場を目指す芝浦工業大学。2026年4月に「スポーツ工学コース」を開設し、駅伝競技を研究面から支援する学際プロジェクト「芝浦工大たすきプロジェクト」も本格始動している。駅伝を研究対象として捉えながら、競技力向上にとどまらず、教育や産業創出へとつなげようとしている。山田純学長に話を聞いた。

芝浦工業大学が提示する「スポーツ工学」とは何か

正月の風物詩として親しまれ、日本の大学スポーツを代表する大会として高い注目を集める「東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)」。数多くの大学がその舞台を目指す中、スポーツと工学を融合させた独自の挑戦を進めているのが、芝浦工業大学だ。

芝浦工業大学は、創立100周年記念事業の一環として、2018年から「駅伝プロジェクト」を推進している。目標に掲げるのは、「2027年までの箱根駅伝出場」だ。その挑戦をさらに加速させる動きとして、2025年4月には駿河台大学から徳本一善氏を監督に招聘した。

一方で、大学全体の教育・研究体制においても新たな動きが進んでいる。2026年4月、システム理工学部を課程制へ移行。生命科学課程には新たに「スポーツ工学コース」を開設した。それに伴い、大宮キャンパスには、2025年12月に完成した創発棟を中心に、走行動作や生理状態を高精度に計測・解析できる研究環境を整備している。具体的には、フォースプレートを組み込んだトレッドミル、モーションキャプチャ解析システム、呼吸ガス分析装置を備えた「トレッドミル室」をはじめ、各種生体情報を取得・分析する先端機器が並ぶ。

目標に掲げるのは「2027年までの箱根駅伝出場」

「2026年4月からスポーツ工学コースをスタートさせるにあたり、スポーツを工学の枠組みの中で扱う意味を、しっかりと考える必要がありました。例えば、現在でもさまざまなデバイスを用いてランニング中の体内データを取得することは可能です。ただ、将来的には、選手に余計な負担をかけることなく、トラックを走っているだけで生体情報を電気信号として取得し、テレメトリーでリアルタイムに送信・活用できるような仕組みも考えられるでしょう。そうした計測技術や解析システムそのものを開発していくところに、スポーツ工学としての可能性があります」

そう語るのは、芝浦工業大学の山田純学長だ。山田学長は、日本の大学スポーツにおいても、まだ大きな可能性が残されていると考えている。

「駅伝に限らず、野球やサッカーも含めて、大学スポーツを一つの産業として成熟させていく余地は十分にあると思っています。観客がお金を払って価値を感じる仕組みが生まれれば、そこから得られた収益をトレーニングや研究開発に還元することもできる。さらに、スポーツ産業が広がることで、関連する技術やサービスも発展していくはずです。例えば、大谷翔平選手も活用しているように、メジャーリーグの投手の球筋やフォームなどを再現できるピッチングマシンが登場しています。こうした技術も、スポーツと工学が結びつくことで生まれた新たな産業の一つだと言えるでしょう」

そうした考えの延長線上にあるのが、駅伝競技を研究面から支援する学際研究プロジェクト「芝浦工大たすきプロジェクト」だ。スポーツ工学に取り組む上で、駅伝は非常に良い実践の場になると山田学長は話す。

「スポーツ工学の力で駅伝を支える。その挑戦を、本学ならではの形で進めていきたいと考えています」

「芝浦工大たすきプロジェクト」を一つのモデルケースに

「芝浦工大たすきプロジェクト」は、スポーツ工学、生理学、バイオメカニクス、データサイエンスなど、多様な研究領域の知を結集し、駅伝競技におけるパフォーマンス向上と健康管理の高度化を目指す学際プロジェクトだ。現在、学内のさまざまな専門分野の教員が参画し、競技力向上を研究面から支える体制づくりが進められている。そして、山田学長は、この取り組みを単なる競技支援にとどめるつもりはないという。

「スポーツ、あるいは駅伝を起点として、さまざまな産業が生まれていく可能性があると思っています。そして、その中から日本の経済を活性化させるような新しい技術やサービスが生まれてくる。今回立ち上げた『芝浦工大たすきプロジェクト』を、そうした未来へとつながる取り組みにしていければと考えています」

プロジェクトの先に見据えるのは、スポーツを軸に、研究、教育、産業創出を結びつける、新たなモデルの構築だ。一方で、山田学長には、もう一つ強い思いがある。自身の学長任期が2028年3月までとなる中、「その年までには、何とか芦ノ湖と大手町で学生たちを迎えたい」と、徳本監督にも伝えているという。

「最初の頃は『頑張ります……』という感じだったのですが、最近は『必ずいきます』と言ってくれるようになりました。期待したいですね。大学としても、『芝浦工大たすきプロジェクト』を通じて、さらに支援を続けていきたいと思っています」

『芝浦工大たすきプロジェクト』を通じて、さらに支援を続けていきたいと思っています

芝浦工業大学駅伝部の特徴は、“文武両道”にある。選手たちは、上級学年では研究室にも所属し、それぞれの専門分野を学びながら、箱根駅伝出場という目標に挑戦している。だからこそ、もし箱根駅伝出場を実現できれば、学びと競技を両立する理工系大学の教育モデルとして、大きなアピールになる。

「アスリートの世界は厳しく、競技だけで生きていくことは簡単ではありません。しかし、スポーツに関わりながら社会で活躍していく道は数多くあります。その意味でも、研究にしっかり取り組んできた経験は、将来必ず大きな強みになるはずです」

さらに山田学長は、スポーツ工学コースの可能性についてもこう語る。

「自分自身がアスリートでなくても、スポーツが好きで選手を支えたい、あるいは、ものづくりを通じてスポーツに貢献したいという学生は多いと思います。スポーツ工学コースでは、そうした学生たちが多彩な学びを得られる環境を整えています」

駅伝を通じて、教育を変える。研究を社会につなげる。そして、スポーツと工学を結びつけながら、新たな産業を生み出していく――。「芝浦工大たすきプロジェクト」には、単なる強化プロジェクトを超えた、芝浦工業大学の挑戦が込められている。

※掲載情報は、2026年5月時点のものです。

Text by 仲里陽平(minimal)/Photo by 丸茂健一(minimal)

UNIVERSITY INFO

芝浦工業大学
SHIBAURA INSTITUTE OF TECHNOLOGY
世界に学び、世界に貢献するグローバル理工系人材を育成する
芝浦工業大学
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「ひとつの分野のプロ」から「多岐にわたる知識やスキルを融合できるプロ」へ

2024年に工学部を課程制へ改組し、2025年にはデザイン工学部を3コースに再編。さらに2026年からは、システム理工学部も課程制へ移行するなど、一つの専門分野にとどまらず、複数領域を横断して学べる教育体制の構築を進めている。創立100周年を迎える2027年に「アジア工科系大学トップ10入り」を掲げ、世界に貢献するグローバル理工系人材の育成を加速させている。

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