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分析化学技術者/化学分析員 分析化学技術者/化学分析員

分析化学技術者/化学分析員

化学分析を行い、環境保全や製品開発、
安全性の確保に活かすエキスパート

排水や河川、土壌の汚濁、大気中の二酸化炭素濃度などを調べる環境分析、化学工業や鉄鋼・非鉄金属など、錆びない鉄や強い鋼をつくるための工業分析、食品の栄養成分を調べる食品分析、医薬品の安全性確保のための医薬品分析など、多様な業界で活躍しているのが分析化学技術者/化学分析員だ。民間企業、行政機関などさまざまな場所で求められている。

分析化学技術者/化学分析員の仕事内容と学べる大学

分析化学技術者/化学分析員の仕事内容

分析化学技術者/化学分析員の仕事は、化学分析を行い、環境保全や製品開発、安全性の確保に活かしていくこと。基本的な分析方法としては、計画策定→試料採取(サンプリング)→試料調製(前処理)→測定→データ処理→報告といった手順を踏んで行われる。

まず、何のために分析するのか、どのような分析方法を用いるのかといった計画策定を行う。長期にわたって分析をする場合には、適宜、修正していくことが大切になる。次に、分析する対象のすべてを測定することはできないため、試料採取(サンプリング)を行い、対象物から一部分を抜き出していく。このとき抜き出したものをサンプルと呼ぶ。

試料調製とは、試料に手を加えて分析しやすい状態にすること。例えば、試薬を加えて腐敗の進行を遅らせたり、ろ過したりして、液体を濁りのない状態にしていく。その後、準備が整い次第、測定を行なう。機器を用いての測定が主流であるが、場合によっては肉眼で観察する場合もある。

測定後、測定値を試料中の濃度に変換したり、仮説通りの結果になったか比較したりして、同じ物質かどうかなどを判定していく。最後に、報告書としてまとめ、提出することで分析の任務完了となる。この仕事をさまざまな現場で繰り返す。

分析化学技術者/化学分析員の年収や勤務先は?

分析化学技術者/化学分析員の平均年収は500〜600万円。日本の平均年収と比較して高い水準と言える。化学系専攻の大学院を修了し、専門的な分析技術を修得している人なら、30代で年収1,000万円近くを得ているケースもある。

分析化学技術者/化学分析員の勤務先として代表的なものは以下の通り。

  • 各種業界のメーカー
  • 分析受託会社
  • 検査機関
  • 国家公務員
  • 地方公務員

分析化学技術者/化学分析員になるには?

分析化学技術者/化学分析員に必要な資格

分析化学技術者/化学分析員を目指すなら、化学分野で唯一の国家資格である「化学分析技能士」を取得しておくと有利になるだろう。ほかにも取得しておくと強みになる資格はいくつかある。

  • 化学分析技能士
  • 環境計量士
  • 環境測定分析士 など

分析化学技術者/化学分析員に必要なスキル

分析化学技術者/化学分析員は、化学分野や分析についての知識はもちろんのこと、ルーティンワークの中でも些細な差異を見逃さない注意力や忍耐力、丁寧な仕事が求められる。また、どのような場合も安全・正確に作業を行う倫理観も強みになるだろう。

分析化学技術者/化学分析員を目指せる大学・学部・学科

分析化学技術者/化学分析員を目指すには、理工系学部の「化学」「応用化学」系学科を目指すのがいいだろう。「化学分析技能士」の受験資格が化学分析技能士に関する学科に在籍または卒業、もしくは実務経験となっているため、資格取得にも役立つ。

企業によっては、大学院の化学系専攻修了者を条件にしていることもあるので、志望する企業の募集要項を調べておくといいだろう。

Illustration by カヤヒロヤ

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