農業技術者・研究者の仕事内容と学べる大学
農業技術者・研究者の仕事内容
その名の通り、農業に関する研究に取り組み、その技術を広く普及させることが農業技術者・研究者の仕事である。主に生産技術の向上やバイオテクノロジーの応用に取り組み、農家をサポートしている。活躍の場は幅広く、大学や農業試験場などの公的な研究機関で実験に取り組むほか、農協・農業団体にて経営面や生産面で農家への指導を行う道もある。なかには、官公庁に所属して日本全体の農業を活性化させるための施策を考案する研究者や技術者もいる。また、農業機器メーカーや食品メーカーなど、民間企業においても需要のある仕事である。
仕事内容は職種によってさまざまである。研究機関であれば室内での実験や論文の執筆に取り組むことが多くなる。一方、実際に農業に関わる職種であれば、屋外での作業が中心となる。農産物の輸入や輸出に関わる職種であれば、海外で働くことも視野に入れておく必要があるだろう。
農業技術者・研究者の年収や勤務先は?
農業技術者・研究者の平均年収は職種によって大きく異なる。大学で研究のみを行う研究者の場合は年収100万〜300万円程度の助手からスタートし、助教、講師、准教授、教授とキャリアアップに従って上昇する。大学教授の年収は500万〜2,000万円と大学や研究領域によってさまざまである。国家公務員の研究職(大卒)として働く場合は、300万〜400万円からのスタートとなるだろう。
農業技術者・研究者の勤務先として代表的なものは以下の通り。
- 大学・大学院
- 国立の研究所
- 農業試験場
- 農協・農業団体
- 官公庁(農林水産省など)
- 農業機器メーカー
- 食品メーカー
農業技術者・研究者になるには?
農業技術者・研究者に必要な資格
農業技術者・研究者になるための国家資格はない。しかし、大学院へ進んで農学の博士課程を修了しておくのがよいだろう。また、都道府県の職員として農業技術や農家経営への指導を行う場合は、所定の実務経験を経たのち、「普及指導員」の資格取得が必須となる。
農業技術者・研究者に必要なスキル
農業技術者・研究者は、専門的な知識や実験スキルに基づいて研究を発展させることが求められる。農業や食糧問題に強い関心を持ち、地道に研究に取り組む素質が必要となるだろう。もちろん、研究者には必須の創造性や探究心、チャレンジ精神、主体性、課題解決能力、論理的思考力なども重要となる。また、学会での発表や論文の執筆においては英語の使用が一般的であり、語学力や国際的なコミュニケーション能力が不可欠である。さらに、農家への指導を行う際は、生産者との信頼関係を築く力も求められる。
農業技術者・研究者を目指せる大学・学部・学科
農業系研究・技術者になるには、大学の農学系学部で専門的な知識や技術を身につけるのが一般的だ。農学に関連する学部として、農学、農芸化学、生物資源学部、農業経済学、農業工学などの分野が挙げられる。最近は、理工系学部の「情報」系学科で、「スマート農業」の研究に取り組むような選択肢もあるだろう。
いずれの場合においても、自分の進みたい方向を見定め、慎重に学部を選択することが重要である。また、民間企業や官公庁の研究職を志望する場合は、大学院に進学すれば有利になる。
Illustration by カヤヒロヤ