

【東洋大学INIAD】データサイエンスとビジネス。2つの軸で論理的思考が身についた

情報連携学部(INIAD) 4年
東洋大学情報連携学部(INIAD)では、「文・芸・理」の幅広い知識を連携させ、組織や社会を変革できる人材育成のための実践教育を行っている。学部4年生のTさんは、生成AIとビジネスを掛け合わせた研究に挑戦中。プログラミング初心者からスタートしたというこれまでの学びと、Tさんが運営に携わってきたINIAD独自の大学祭での経験について話を聞いた。
情報分野だけでなく経営についても学べる学部を探していた
――東洋大学情報連携学部(INIAD)を志望したきっかけを教えてください。

もともとは経営分野に興味を持っていました。将来的に仕事をしてお金を稼いでいく上で、経営学の知識は必ず役に立つと考えたんです。しかし、高校時代は理系を選択しており、そこから経営学部に進むのは少し違和感がありました。そんなときに知ったのが、経営の課題を工学的なアプローチから解決する「経営工学」という分野。同時に、経営工学とデータサイエンスが密接に関わっていることを知り、情報系に強い大学を調べているうちにINIADに辿り着きました。特に魅力を感じたのは、文系からも理系からも広く受験生を募っているところ。プログラミングのような理系科目はもちろんのこと、私の学びたかった経営分野についてもバランスよく学べると考えました。
――実際に入学してみて印象の違いはありましたか?
幅広い分野を学ぶことの重要性は、入学してからより強く感じるようになりました。INIADでは、1年次にはプログラミングや数学・統計学、コミュニケーションといった基礎的な能力を重点的に学びます。そして、2年次以降はそれぞれのキャリア設計に基づき、興味のある科目群を専攻して授業を履修します。私の場合は「ビジネス構築」と「データサイエンス」を専攻。情報系の科目だけでなく複数の分野を並行して学び、物事を多角的に見ることの大切さに気づかされました。
――ちなみに、大学に入学するまでプログラミングに触れたことはありましたか?

いえ、まったくの未経験でした。入学した時点では「Python」という言葉も知らなかったくらいです(笑)。INIADで最初に触れたのは、「タートルグラフィックス」という教育用のプログラミングツール。プログラムによって画面上のカメの動きを制御し、さまざまな図形を描くことができます。ゲームのような課題を通じてプログラミングの楽しさを知り、次第に抵抗感が薄れていきました。
また、INIADには大学生活を過ごしているだけで自然にデジタル技術に触れられる環境が整っています。情報連携学部のビルであるINIAD HUB-1では、空調や照明などさまざまな設備や機器がクラウドに直結。学生にもAPIが共有されており、自らのプログラミングによって権限の範囲でコントロールすることが可能です。学生にとって不可欠なロッカーも、プログラムでICカードと紐づけることによって初めて使えるようになります。こうした仕掛けがキャンパス内に散りばめられており、自主的な学びを促進してくれます。

大好きなアイドルを通じてAIとビジネスを結びつけた研究に取り組む
――もうひとつの軸である「ビジネス」の面で印象に残っている授業はありますか?
2年次に履修した「経営論」には、新鮮な学びが多くありました。ここでは、提示された課題に対して新しい経営戦略を考えていきます。さまざまなフレームワークを活用しながら、考案した戦略の根拠を探していく。単に「机上の空論」を並べるのではなく、具体的な効果を示しながら学びを深められたのは面白かったです。
――データサイエンスと経営分野をあわせて学ぶことの魅力はどこにありますか?
データサイエンスは、「根拠を探していく作業」だと思っています。社会の課題に対し、データを用いた分析で解決方法を探る学問ですね。同時に、経営分野でも根拠に基づく論理的な思考力が求められます。そのため、この両者は非常に親和性が高いと感じています。例えば、ある企業の売上が大幅に伸びている場合。POSデータや取り扱う商品のデータ、時代のトレンドなどを分析することで、その背景に迫ることができます。そして、理由を明らかにすることで次の経営戦略の精度を高めることもできる。こうした相乗効果こそが2つの分野を学ぶ面白さであり、INIADで勉強する魅力だと考えています。

――そうした学びを経て、現在はどのような研究に注力されているのでしょうか?
生成AIとビジネスを結びつけた研究に取り組んでいます。具体的には、自分の好きなアイドルに関連する作品に着目し、その表現やテーマの変遷を分析することで、時代やグループごとの傾向を探っています。社会のトレンドとともに、どのような表現が人々に受け入れられてきたのかを読み解き、今後の音楽ビジネスにおける戦略を考えることを目指しています。

――大学生活において、研究以外に熱意を持って取り組んできた活動はありますか?
1年次から「赤羽台祭」の実行委員会に所属し、企画や運営に携わってきました。赤羽台祭はその名の通り、赤羽台キャンパスで開催される大学祭。この場所を修学キャンパスとするINIADと福祉社会デザイン学部(WELLB)、健康スポーツ科学部(HELSPO)が共同で開催していますが、運営は各学部の学生に任されており、それぞれの学部で学んでいる分野の専門性を発揮しながら企画を考えています。
私が所属するINIAD部門では、「学生の発想や工夫を活かした企画で来場者に楽しませる」という方針が大切にされていると感じています。例えば、2024年の大学祭では、複数名の実行委員が主体となって「謎解き」企画を立ち上げ、使用する冊子のデザインや出題する謎(問題)の考案から、実際に来場者が謎解きを楽しむまで、デジタルツールの知識やデザインなど、それぞれの得意分野を活かして、委員同士が協力しゼロから作り上げました。このように、1人でゼロから作ることは難しくても、チームを組み、様々なツールと連携し、アイデアを形にできるのもINIADでの学びの魅力だと思います。

未経験からでも好きな分野を見つけて探究できる環境
――今後の目標を教えてください。

これまで授業で学んできたデータサイエンスとプログラミング、ビジネスの知識を使って、ひとつの集大成となる論文や企画をつくりあげることが直近の目標です。大学卒業後は企業に就職する予定ですが、フィールドを問わずAIを活用できる人材として活躍できればと考えています。これからますますAIが発展していくなか、その技術を使いこなせるかどうかが企業の評価に差をつけていくでしょう。INIADで学んだ経験を活かし、ビジネスとAIを結びつけて企業の発展に貢献したいと思います。
――INIADに興味を持つ高校生へメッセージをお願いします。

高校生のなかには、プログラミングに対して難しいイメージを持っている人も多いように感じています。しかし、INIADには未経験者にも徹底的に教えてくれる先生たちがいますし、一緒に協力してくれる仲間もいます。さらに最近では、AIも心強い味方になってくれます。周囲の力を借りれば絶対に知識が身につく環境なので安心してください。
また、INIADは入口も出口も広い学部だと考えています。自分が関心を持つ分野に対し、情報系の技術を使って多角的にアプローチすることができます。やりたいことがわからない状態で入学しても、授業に参加しているうちに自然と目標が見つかります。もちろん、AIやデザインなど好きな分野が決まっている人は、それを基礎から応用まで深掘りすることも可能です。学びに関しては制限がなく、好きな分野にとことん時間を費やせる。情報分野に興味を持っている人にとっては、本当に理想的な学部だと思います。そして、INIADに入学した際には、ぜひ赤羽台祭の実行委員になっていただけたらうれしいです!
※掲載情報は、2025年5月時点のものです。
Text by 上垣内舜介(minimal)/Photo by 石垣星児
東洋大学情報連携学部(INIAD)が、高校生向けの「INIADプログラミング講座」を実施する。INIADに入る前に、INIADで何をどのように学ぶのか、体験する機会となっている。
また、INIADのAO型推薦入試(INIAD MOOCs型)における事前適性審査の「プログラミング」が、この講座内容の範囲から出題される。
- 第1回 7月5日(土)、第2回 7月19日(土)、第3回 8月2日(土)、第4回 8月16日(土)
- 時間:14:30~16:20
- 対象:INIADへの進学を検討する高校生(学年は問いません)
- 方法:オンライン
- 申し込み方法:ホームページのフォームから、6月27日(金)までにお申し込みください。受講方法を、7月2日(水)までにご案内します。
- ※申し込みの際はGoogleアカウントが必要です。なお、高校で付与されているGoogleアカウントは使用できません。個人所有のGoogleアカウントを使用してください。
- ※Googleアカウントをお持ちでない場合は、アカウント作成後に申し込みください。