AIエンジニアの仕事内容と学べる大学
AIエンジニアの仕事内容
AIエンジニアの仕事は、AI(人工知能)を駆使したシステム開発やデータ分析を行い、社会やビジネスの課題解決をすること。具体的には機械学習やディープラーニング(深層学習)のモデルを使って、さまざまな現象を解明したり、AIを使った製品の質を向上させたりしている。
IT業界では、機械学習エンジニア、データサイエンティスト、データアナリストと呼ばれる職種が、これにあたることも多い。実際の現場では、これらの職種にほとんど境界はなく、分野を横断しながら業務に取り組むことになる。そこは新しい職種の宿命なのかもしれない。最近は、プロジェクト進行や管理を行うことを専門にするAIプランナーと呼ばれる職種が置かれることもあるようだ。
AIエンジニアの仕事は、大きく自社開発と受託開発に分けられる。
自社開発では、スマートスピーカーに搭載する音声認識に特化したAI、自動車運転に活用するためのAI、マーケティングのデータ分析を行うAIなどの研究・開発が例として挙げられる。ひとつの分野に深く関わりながら、高い専門性を発揮していくことが求められる。
一方の受託開発では、顧客企業からの依頼を受け、同社が抱える課題を解決するようなAIのシステム設計、データ分析をすることになる。ときには、顧客企業が発見できていない課題を洗い出し、その解決策を提案していくことも重要になってくる。受託開発では、プロジェクトごとに関わる分野も変化していくため、医療、金融、製造……など多くの業界の仕事に携わることができる。もちろん、それに合わせた幅広い知識習得や柔軟な対応力も求められる。
最近は主に機械学習(Machine Learning)を用いる業務が多いことから「機械学習エンジニア」「MLエンジニア」と呼ばれることもある。
AIエンジニアの年収や勤務先は?
AIエンジニアの初任給は月22〜30万円。30代での平均年収は600万〜1,000万円となっている。企業規模や職種によってばらつきが大きく、専門的な職務にあたるAIエンジニアは年収1,500万円を超えるケースも少なくないようだ。
AIエンジニアの勤務先として代表的なものは以下の通り。最近は、IT企業やAI系のスタートアップ企業だけでなく、コンサルティング企業、大手広告代理店、大手メーカーでもAIエンジニアを積極的に採用している。
- IT企業
- Web系企業
- AI開発企業
- コンサルティング企業
- 総合広告代理店
- 自動車メーカー
- 電機メーカー
- 大学研究機関
- スタートアップ企業・ベンチャー企業
AIエンジニアになるには?
AIエンジニアに必要な資格
AIエンジニアになるための特別な資格は特にないが、取得しておくと強みになる資格はいくつかある。
- G(ジェネラリスト)検定
- E(エンジニア)資格
- 統計検定
- データサイエンス検定
- Python3エンジニア認定
- 画像処理エンジニア検定
AIエンジニアに必要なスキル
AIエンジニアは、Pythonなどのプログラミング言語はもちろん、データを分析・解析するための数学や統計学、コンピュータサイエンスの高度な専門知識が求められる。
実務においては、顧客からのヒアリングをもとに作成した設計書・仕様書を正しく理解し、ミスなくコーディングしていくスキルが必要だ。そのため、日々新しくなるプログラミング技術を学び続けること、しっかりと機能として落とし込んでいく論理的思考力も必要になる。
仕様を実装に落とし込む際には、設計書ではカバーされていない課題を関係者と議論して解決するコミュニケーション能力も求められる。また、AIや機械学習に関する最新情報は英語圏のサイトから得る機会が多いため、英語ができると大きな強みになる。
以下のプログラミング言語や開発ツールを使いこなせると強みになる。
- プログラミング言語:
- Python、R言語、C言語、C++、JavaScript、SQL など
- 機械学習ライブラリ:
- TensorFlow、PyTorch、Keras など
- 開発ツール:
- VS Code、vi、Git、Docker、Kubernetes、*Unit、Selenium など
AIエンジニアを目指せる大学・学部・学科
AIや機械学習の専門知識を学ぶには、理工系大学の「情報」系学部・学科を選ぶのが一般的だ。「AI」や「データサイエンス」の名を冠する学部・学科でも機械学習を専門的に学べるチャンスはあるだろう。
最近では、北海道大学、東京大学、滋賀大学、京都大学、大阪大学、九州大学の6大学が、「数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム」を立ち上げるなどの取り組みも始めている。また、文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」で認定されている大学・学部にも注目したい。初級者向けの「リテラシーレベル」、中上級者向けの「応用基礎レベル」で、全国各地の大学が認定を受けている。
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文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」
いずれにせよAIエンジニアの仕事は専門性が高いため、大学院の修士レベルまで専門的な研究を続けたうえで、目指す職業となるだろう。さらに、業務で用いるプログラミング言語や開発ツールなどは日進月歩で新しいものが登場するので、就職した後も学び続ける意識が最も重要になるかもしれない。
Illustration by カヤヒロヤ