スマホのようにChatGPTを使いこなす時代が来る!

取締役CTO
今や誰もが使いこなす便利ツールとなりつつあるChatGPTだが、そもそもどのようなAI技術を使って、どうやって自然な会話を実現させているのだろうか? 今さら聞けないChatGPTのキホンをAIの専門家に聞いてみた!
スマホやYouTubeのように、ChatGPTを使いこなす時代が来る!
話題のChatGPTはめちゃめちゃ頭のいいAI
何かと話題のChatGPT。すでにスマホにChatGPTのアプリをダウンロードしている人も多いだろう。まるで人間のように自然な会話で質問に答えてくれるChatGPTとはいったいナニモノなのだろうか?
「簡単にいうとめちゃめちゃ頭のいいAI(人工知能)ですね」
そう語るのは、株式会社デジタルレシピ取締役CTO(最高技術責任者)の古川渉一さんだ。東京大学工学部でAI研究に従事しながら学生時代に起業し、現在はAIを使ったさまざまなサービスを提供している。ChatGPTに代表される「生成AI1」にも詳しく、2020年頃からすでにテキスト生成AIを活用した国内向けサービスを開発していたという。
「ChatGPTは、アメリカのOpenAI社が開発した一般向けテキスト生成AIで、GPT-3.5(リリース時)という言語モデルをベースにしています。GPTはGenerative Pre-trained Transformerの略で、TransformerというGoogleが開発した自然言語処理2に特化したディープラーニング(深層学習)のモデルを活用しています。実はChatGPTの先代モデルにあたるGPT-3が2020年5月にリリースされたときに、英語圏の研究者の間ではすでに話題になっていました。AI研究に従事していた私もGPT-3に可能性を感じ、2022年6月にGPT-3を活用した国内向けテキスト生成AI『Catchy(キャッチー)3』を開発しました。その後、2022年11月にGPT-3.5を使ったChatGPTが登場し、現在に至る社会現象となります。対話型機能が付いたことで、一般ユーザーにも使いやすくなったことが大きかったと思います」

2023年3月には、次のバージョンであるGPT-4がリリースされ、ChatGPTの性能はさらに向上している。GPT-4は、難関といわれるアメリカの司法試験に合格するレベルまで到達しているという。
ChatGPTの基盤となるのは、LLM(大規模言語モデル)と呼ばれるディープラーニングを用いたモデルだ。Web上の大量のテキストデータをAIに事前学習させたもので、「データ量」と「パラメータ数」が圧倒的に多くなったのがGPT-4なのだ。
「パラメータ数というのは、文章を生成する際の『判断基準』と考えてもらえばいいでしょう。データ量とパラメータ数が大量になり、それを処理するコンピュータの計算量も膨大になったことで、ChatGPTが生成する自然な長文の会話が実現できるようになったのです」
膨大なデータの中から確率論で単語を並べる
専門用語がズラリと並び、肝心の「ChatGPTはナニモノか?」という疑問の答えが、よくわからなくなってきた……。Web上の大量のデータを学習して、テキストを自動生成する仕組みとは、はたしてどのようなものなのだろう?
「人間の質問に対するChatGPTの回答は、Web上から学習した膨大なデータの中から確率に基づいてそれっぽい単語を並べた文章に過ぎません。『桜が』の次は『咲いた』が最適というように、前の文章に続く単語を確率論で選んで、並べているだけなのです。AIは質問の内容を理解しているわけではありません。なので、平気でウソや間違いを出力します。そのため、ChatGPTを使う際は、でき上がった文章を批判的な目でチェックする必要があります。レポートの課題をChatGPTに任せても最終的には人間がチェックする必要があるのです」

東京大学をはじめ主要大学がChatGPTおよび生成AIの使用について声明を発表したことが話題になった。これから大学生になる世代は、ChatGPTとどのように共存していけばいいのだろうか。古川さんの答えはこうだ。
「スマホやYouTubeが当たり前になったように、ChatGPTもすぐに特別な存在ではなくなるでしょう。高校や大学で、ChatGPTを補助ツールとして使う授業が行われても不思議ではありません。ただし、どんなにChatGPTのような生成AIが普及しても人間に残される領域は必ずあります。AIは特定のものを生成するのは得意ですが、どのような方向性で作品をつくるのか、その作品を通して何を伝えたいのかといった価値観を決めることはできません。なので、ChatGPTを使うならアイデアのサンプルをたくさん挙げてもらって、最後は人間が方向性を選び、仕上げていくというスタイルが理想的ですね。ChatGPTをはじめとする生成AIの進化は、今後ますます加速するでしょう。高校生の皆さんもChatGPTをはじめとする最先端の生成AIにいち早く触れて、今のうちからどんどん使いこなしてほしいと思います」
1 生成AI=大量の学習データの中からパターンを識別し、確率的に最適な情報を抽出することによって、テキストや画像、音声を生成する特化型AIのこと。英語でGenerative AI。詳細はこちら
2 自然言語処理=人間が日常的に使う日本語や英語のような「自然言語」を統計的に解析して、コンピュータでも理解できる形にするAIの研究分野。英語では、NLP(Natural Language Processing)と呼ばれる。詳細はこちら
3 Catchy(キャッチー)=古川さんがCTOを務める株式会社デジタルレシピが開発した日本語向けのAIライティングアシスタント。GPT-3を活用している。
プロフィール
古川渉一さん
株式会社デジタルレシピ 取締役CTO
1992年生まれ。鹿児島県出身。東京大学工学部卒業。大学生向けイベント紹介サービス「facevent」を立ち上げ、延べ30万人の大学生に利用される。その後、国内No.1 Twitter管理ツール「SocialDog」など複数のスタートアップを経て2021年3月より現職。パワーポイントからWebサイトを作る「Slideflow」やGPT-3を活用したAIライティング「Catchy(キャッチー)」を立ち上げ。著書「先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来」は8万部を突破。
CHECK!
『先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT』
(古川渉一著/インプレス刊)

ChatGPTの仕組みや活用法が、高校生にもわかりやすく説明されている入門書。
記事提供
「研究」で選ぶ大学進学情報サイト『F-Lab.(エフラボ)』
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