自動運転車の未来|最先端の安全技術とAIが融合するとき新たな地平が拓かれる!

電子技術・システム技術開発本部
時代はAIを中核とした自動運転車の実現へ。
人間と同じ視覚情報を入力して
人間のような運転行動をするAI
AI(人工知能)の急速な発展により、完全自動運転の実現も夢の世界ではなくなってきた。米テスラなど自動運転の開発を積極的に進めるEV(電気自動車)メーカーが台頭し、AI系の新興ベンチャー企業も独自に自動運転技術の開発に取り組んでいる。
そこで気になるのが日本の自動車メーカーの動向だ。一般消費者にとって、業界をリードしている印象を受けるのが、日産自動車。高速道路で両手を離して運転できる「プロパイロット2.0」の映像をテレビCMで見たことがある人も多いだろう。同社で自動運転技術の開発を統括する電子技術・システム技術開発本部の飯島徹也さんはこう語る。
「時代は完全自動運転の実現に向けて動いています。現在の主力は、視覚情報、つまりカメラの映像データを高度なAIに学習させて、自動運転を実現する手法です。人間は主に目で世界を認識して、その情報をもとに難しい状況を的確に判断しながら運転をしています。そこで、人間と同じ視覚情報を入力して、人間と同じような運転行動をするAIの実現を目指しているわけです。最近急速に進歩している、対話型AIに使われている大規模言語モデル(LLM)は、完全自動運転の実現を加速させると思います」
日産自動車も独自の自動運転技術を開発している。基本的な考え方は、安全性を最優先するということ。ぶつからないクルマの実現は、完全自動運転の必須条件と考えている。
同社は、「セイフティシールド」というコンセプトのもと、2000年代初頭から先進的な運転支援技術の開発に取り組んできた。衝突回避などの領域において、計12もの世界初の技術を商品化している。特に自動ブレーキにおいては、2010年代にヨーロッパ各社が、30〜40kmで走行中に衝突を回避する技術を目指していたところ、60kmで走行中でもぶつからない技術を2013年にスカイラインに搭載して世界を驚かせたという。
「日産自動車は、常に世界をリードする先鋭的な安全技術の開発に取り組んでいます。最近、高く評価されているのが、交差点で危険を検知する技術です。判断要素が多い交差点においても、接近してくるオートバイなどを見分けながら的確に危険を回避できます。また、連続で危険を回避する技術も注目されています。交通事故の際、運転者は二重、三重の危険にさらされます。つまり、正面から逆走してくる車をよけたら、目の前に歩行者が……ということが起こりますよね。従来の自動ブレーキは、一度作動するとシステムが一旦停止してしまいます。そこで、日産自動車では連続して作動できる危険回避システムを開発しています」

日産自動車独自のセンシング・車両制御アルゴリズム
日産自動車の「プロパイロット」を支える
環境センシングシステムはこうなっている!

最先端の安全技術とAIが融合するとき
新たな地平が拓かれる!
カメラの視覚情報に加え
目に見えないデータを融合
日産自動車が完全自動運転実現に向けた研究を行っている実験車両に搭載しているシステムは、カメラだけでなく、レーダーやLiDAR(ライダー)と呼ばれるセンサーを融合して周囲の環境を検知する、独自のセンシング・車輌制御アルゴリズムとなっている。LiDARとは、Light Detection AndRaningの略で、光を照射して対象物までの距離を計測するセンサーのこと。レーダーは、電波を用いて同様の機能を実現している。カメラで捉えた視覚情報だけでなく、直接空間の構造を計測するセンサーも活用することで、ぶつからないクルマの実現を目指しているという。
「最初に申し上げた通り、自動運転技術は、AIを中核にして、急速に進化していくでしょう。ただ、それが高い安全技術に裏付けされていなければ、交通社会の未来に影を落とすでしょう。自動車会社が築き上げてきた安全哲学と最新のAI技術を正しく融合し、安全で快適な交通社会の未来を築き上げていかなければなりません」
ただ、未だ道のりは長い。完全自動運転が社会に普及するためには、人間と同じかそれ以上の能力が必要となる。この技術の完成には少なくとも20年はかかるだろうというのが現時点での飯島さんの考えだ。
「これからの技術者は、社会の正しい発展を自身で考え、それに向かって情熱をもって進んでほしいと思います。自動運転の完成により、社会はまた大きな進歩を遂げます。最先端の人工知能を学ぼうと志す学生は、ぜひ自動運転開発を活躍の場のひとつと考えてみてください」
プロパイロット2.0とは?
日産自動車の高速道路ルート走行支援技術

日産自動車が開発したインテリジェント高速道路ルート走行技術。ナビゲーションシステムで目的地を設定し、高速道路の本線に合流するとナビ連動ルート走行がスタート。追い越しや分岐なども含めて、システムがルート上にある高速道路の出口までの走行を支援する。ドライバーが常に前方に注意して道路・交通・自車両の状況に応じ、ハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて、同一車線内でハンズオフ走行が可能となる。現在、アリア、セレナに搭載されている。
プロフィール
飯島徹也さん
日産自動車株式会社
電子技術・システム技術開発本部 AD/ADAS先行技術開発部 戦略企画グループ 部長
記事提供
「研究」で選ぶ大学進学情報サイト『F-Lab.(エフラボ)』
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